無料のまかない目当てでアルバイト先を決めたのに「安くはなるが無料にはならない」と言われました。まかないって基本無料じゃないんですか?
配信日: 2025.01.20
本記事では、まかない付きアルバイトの実情や食事補助との違い、税務上の取り扱いなどについて紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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よく見かけるまかない付きアルバイト求人の実情
「まかない付き」と記載されたアルバイト求人は、主に飲食店でよく見られます。しかし、実際のまかない内容や条件は店舗によってさまざまです。一部の店舗では、従業員専用のメニューが用意され、無料で提供されることもあるでしょう。この場合、通常のお客さま向けメニューとは異なるシンプルな料理が提供されることが一般的です。
一方で、特にフランチャイズやチェーン店では、まかないとして通常のメニューから選べる代わりに、一定の割引価格が適用されるケースも多く見受けられます。
また、まかないを食べるタイミングについてもバラツキがあります。勤務中の休憩時間を利用する場合や、営業終了後に一斉に食事をとる店舗もあるようです。
ただし、すべての勤務時間でまかないが提供されるわけではなく、「○時間以上の勤務」といった条件が設けられている場合も珍しくないようです。さらに、ランチ終了時やラストシフトを担当する従業員のみが対象となるケースもあります。
「まかない付き」の求人に応募する際には、具体的な条件や提供内容について確認することが重要です。まかないが実際にどのように提供されるのか、費用負担があるのか、勤務時間に応じて異なるのかなどを事前に確認することで、予想外のギャップを避けられるでしょう。
まかないと食事補助の違いは?
飲食店で提供される「まかない」と「食事補助」は、実は異なる制度です。「食事補助」は従業員が働く店舗の通常メニューや特別なメニューを、割引価格で食べられる制度です。チェーン店やフランチャイズでは、このような食事補助が一般的で、従業員が気になるメニューを安価で楽しめます。
一方、「まかない」は通常、従業員専用の食事として、店舗で提供されるメニューとは別の、簡素な料理や特別メニューのことを指します。
多くの飲食店では、このまかないが無料で提供されることも多いのですが、店舗によっては割引価格で提供される場合もあるようです。まかないは、あくまで従業員が食べるために用意された料理であり、必ずしもお客さまと同じメニューが食べられるわけではありません。
無料のまかないは税務上違法にあたる可能性がある
まかないが無料で提供されると、一見すると余った食材や具材を利用しているだけのため、税金は発生しないと思われがちです。しかし実際には、まかないは税務上「現物給与」として扱われ、課税対象になります。現物給与とは、給与を金銭以外で提供する形で支給されるものです。
通常、給料は所得税から天引きされますが、物品で支払う場合、その分税金を納める必要が出てきます。もし無料のまかないが現物給与とみなされ、税金が適切に支払われていなければ、税務調査で指摘され、不納付加算税を支払う必要が生じます。
国税庁によると、食事を提供する際には、以下の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されないとされています。
・役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
・(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が1ヶ月あたり3500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること
したがって、無料のまかないは必ずしも当たり前とはいえず、法的な観点からは適切に税金を支払うべきものだと理解することが重要です。
無料のまかないは当たり前ではない
飲食店のアルバイトで、まかないが無料だという話を聞きますが、実は無料のまかないが提供されるのは当たり前ではありません。税務的には「現物給与」として扱われて課税対象となるためです。
このような理由から、無料ではなく割引価格での提供としている飲食店も多いでしょう。まかない付きのアルバイトを探すときは、内容や条件をしっかり確認し、理解した上で選ぶことが大切です。
出典
国税庁 No.2594 食事を支給したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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