もうすぐ40歳、新卒で入った会社から転職しようか迷っています。転職すると「退職金」にどのくらい影響がありますか?

配信日: 2025.03.14

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もうすぐ40歳、新卒で入った会社から転職しようか迷っています。転職すると「退職金」にどのくらい影響がありますか?
Aさんはもうすぐ40歳、新卒で入った会社から転職しようか迷っているとのこと。しかし、勤続年数は退職金に影響があると聞き、「今の会社に大きな不満があるわけではないので、退職金があまりに減ってしまうなら転職しないほうがいいのでは」と考えているそう。どのようにしたらいいかFPがアドバイスします。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

退職金とは

退職金とは、従業員が退職する際に、働いた年数や在職期間中の業績などに応じてその従業員に対しての功労の意味、あるいは定年退職であれば老後の生活保障の意味合いとしてのものです。法律上の支給義務はありませんが、日本国内では多くの事業者が退職金制度を導入しています。
 

退職金制度の仕組みは?

一般的に退職金制度には、一括で受け取る一時金方式と分割して受け取る年金方式があり、それぞれに事業者独自のもの、外部を利用してのものがあります。図にすると以下のようになります。
 

図表1

 
この制度は1つ、あるいは複数選択できます。また、従業員が選択できる場合もあります。
 

退職金のメリットは?

退職金のメリットを事業者側から見ると、退職金制度を導入によって従業員の勤続年数を延ばし、離職率を下げる効果が期待できます。当然金銭面での負担はありますが、その分優秀な人材を採用や離職率の低下による採用コストや教育コストの削減につながります。
 
従業員側のメリットは、将来(老後)の生活設計が立てやすくなったり、Aさんの会社のように勤続年数によって退職金額が増えたりするというメリットがあります。
 

どれくらいもらえるの

厚生労働省の令和5年就労条件総合調査概況によると、退職金がある定年退職者の勤続年数別の平均退職給付額(勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)は以下のとおりです。
 

図表2

 
あくまで平均ですので企業の規模や業種等によって異なりますが、就業年数が長いほうが退職金は多くなる傾向にあります。
 

退職金に係る税金は?

退職金は、一時金方式で受け取った場合は「退職所得」、年金方式で受け取る場合は「雑所得」となり、それぞれの所得には所得税と住民税がかかります。
 
まず、退職所得の金額は、原則として、以下のように計算します。
 
退職所得の金額=(源泉徴収される前の収入金額-退職所得控除額)× 1/2
 
退職所得控除額は以下のように計算します。
 

図表3

 
今回Aさんは40代、転職による退職で年金方式で受け取ることはないので、今回は説明を省略します。
 

今の職場に不満がないのであれば……

経済的なことを考えるのであれば、転職するよりそのまま勤めたほうが将来の見通しが立ちやすいでしょう。
 
Aさんがどのような理由で転職を考えたのかは分かりませんが、将来やりたい仕事があっての転職や、自分のスキルを生かせる仕事があって給与アップが見込めると考えたのであれば、転職ももちろん選択肢に入ります。
 
しかし、「今の会社に不満はない」という場合は、平均的な退職金額や退職所得控除額等の経済的条件を考えると、転職しないという選択も視野に入れて検討するのはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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