更新日: 2024.10.10 貯金
共済貯金ってなに?見落としがちなデメリット
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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「社内預金」とは?
「社内預金」は、会社が従業員の給与から天引きして社内預金として管理するものです。会社が「社内預金制度」を運用するに当たっては、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面で「貯蓄金管理に関する協定」を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。
また、貯蓄金に関する規定を作成し従業員に周知する必要があります。
会社が万一の場合の保全措置として、毎年3月31日現在の受入預金額の金額について、同日以後1年間を通じて、(1)金融機関等による保証契約 (2)信託会社との信託契約 (3)質権又は抵当権の設定 (4)預金保全委員会を設置し、かつ、貯蓄金管理勘定その他適当な措置を講じることのいずれかの方法を講じなければなりません。「社内預金」を利用する前に保全措置を確認しておくことが大切です。
さらに、毎年3月31日以前1年間の預金の管理状況を、「預金管理状況報告」により所轄労働基準監督署長に4月30日までに報告することになっています。
さて、「社内預金」のメリットは、預金の利率が最低0.5%保証されている点です。
これでも、某ネット銀行の1年定期預金が0.2%(2019年2月15日現在)ですから、かなり高い利率と言えるでしょう。「社内預金制度」のある会社で働いている方はぜひ活用したい制度ですね。
ただし、会社が倒産した場合には、銀行の預金と違い預金保険制度の対象ではないので、保全措置の内容によっては全額戻ってくるかどうか心配です。
「財形貯蓄制度」との違いは?
会社員には、「社内預金制度」よりも「財形貯蓄制度」のほうが、馴染みがあると思います。「財形貯蓄制度」には、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があります。住宅財形と年金財形には、「55歳未満」、「積立期間5年以上」などの制約がありますが、一般財形貯蓄にはない利子等の非課税措置があります。
なお、目的外の払い出しの場合、前5年内に支払われた利子等について遡及(そきゅう)課税されます。一般財形貯蓄に年齢制限はなく、使途も自由です。
「社内預金制度」も「財形貯蓄制度」も会社が従業員の給与からその一部を天引きし、自動的に貯蓄される点は同じです。
違う点は、預け先が「社内預金制度」が会社であるのに対し、「財形貯蓄制度」は提携している金融機関になります。会社が倒産した場合、「社内預金」は影響を受ける場合があります。
また、「社内預金」は利子が最低でも0.5%保証されるのに対し、「財形貯蓄」は提携の金融機関によります。例えば、財形貯蓄の預け先の、みずほ銀行の期日指定定期預金では0.01%(2019年2月12日時点)ですので、金利で比べると断然、「社内預金」のほうがお得ということになります。
「共済貯金」とは?
会社の「社内預金」に相当するのが、地方公務員が加入できる「共済貯金」です。「共済貯金」は都道府県ごとの共済組合が運営しています。
利率は共済組合により大きく異なります。2019年2月時点の各共済組合のホームページを見ると、0.4%(宮崎県市町村職員共済組合)というところもありますが、1.56%(神奈川県市町村職員共済組合)とかなり利率が高いところもあります。1.56%というのはかなりお得ですね。
預入限度額3,000万円という制約がありますが、気にするほどの制約ではないでしょう。
共済組合が破たんする可能性は低いと思いますが、「社内預金」と同じく「共済貯金」も預金保険制度の対象ではないので留意しましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。