ひとり親の子育てをサポートする制度とは
配信日: 2019.05.04 更新日: 2024.10.10
ここでは、ひとり親になった理由の如何にかかわらず、子育てをサポートする公的制度について解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
児童手当に加えて児童扶養手当を申請する
《児童手当》
児童手当は、ひとり親に限らず日本国内に居住し、0歳から中学校修了まで(15歳に達する日以降の最初の3月31日まで)の児童を監護、養育している親に対して支給され、その支給額は、子供の人数と年齢により一人当たり1万~1万5000円となっています。
また、所得制限があり、所得が限度額以上になると一律5000円に引き下げられます。なお、扶養人数は、前年の12月31日時点で判断します。
《児童扶養手当》
児童扶養手当は、父母の離婚などで、父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親)の、生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当で、次のいずれかに該当する18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)を監護している母または監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している方に支給されます。
・父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父または母と生計を同じくしていない児童
・父または母が死亡した児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・父または母が政令で定める障害の状態にある児童
・その他、父または母の生死が不明である児童等
・児童扶養手当の額は、子供の人数により下表のとおりとなっています。また、所得制限があり、限度額以上になるとその一部または全部が支給停止されます。
なお、児童扶養手当と遺族年金に代表される公的年金等の両方を受給する場合は、児童扶養手当の一部または全部が支給停止されます。
《両手当の申請先》
児童手当と児童扶養手当の申請先は、いずれもお住まいの市区町村役場になりますので、必要書類や申請方法等については担当窓口でご確認ください。
なお、東京都では児童扶養手当に加えて児童育成手当が支給されますが、同様の制度がある市町村もありますので担当窓口で確認してください。
高等教育の無償化制度を利用する(※2)
平成30年12月28日に閣議決定された「高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針」は、ひとり親を含む低所得者世帯の子供であっても、社会で自立し、活躍することができる人材を育成する大学等に修学することができるように、その経済的負担を軽減するため、(1)授業料及び入学金の減免と、(2)給付型奨学金の支給を合わせて措置することとされました。
この制度では、対象となる大学・短期大学・専門学校等に2020年4月から進学する予定の、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯が対象となります。この制度の適用を受けると、進学先によって以下のような支援(住民税非課税世帯の上限額を例示)を受けることができます。
なお、今後の予定として、対象となる学校の公表と奨学金の予約採用申し込みが夏ごろ始まる予定ですので、日本学生支援機構のホームページ(※3)等で最新情報を確認してください。
母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用する(※1)
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、配偶者のない女子または配偶者のない男子であって現に児童を扶養して、親等に対し、その経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進することを目的とした貸付制度です。
この制度には、その使途に応じて12種類の貸付金がありますが、中でも修学資金は、進学先に応じて、就学期間中以下の資金(私立の自宅外通学の場合の限度額を例示)を無利子で借りることができます。
貸付の相談及び申し込みは、お住まいの市区町村役場または福祉事務所になります。また、大学院生に対する貸し付けもありますが、所得制限があり、一定額以上の所得がある方は利用できません。
まとめ
ひとり親の子育て支援として、高校卒業までは児童手当に加えて児童扶養手当が支給され、その後の高等教育には授業料及び入学金の減免と給付型奨学金が支給されるようになりますので、これらの制度を利用されると良いでしょう。
出典(※1)厚生労働省 子供・子育て支援 母子家庭関係
(※2)文部科学省 高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要
(※3)日本学生支援機構ホームページ
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士