「子どもの教育費は1人当たり1000万円は必要」というのは本当なのか?

配信日: 2017.11.09 更新日: 2024.10.10

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「子どもの教育費は1人当たり1000万円は必要」というのは本当なのか?
ちまたでよく耳にする「子どもの教育費は1人当たり1000万円は必要」というのは本当なのでしょうか? 

お子さまがまだ未就学児の家庭の家計相談を受けると、多くの方が教育費の心配をしています。とりあえず生まれたときに学資保険には入ったけれど、それで足りるのだろうか、とお悩みの方は多いものです。

実際のところ、いくらぐらいのお金がかかるのか考えてみたいと思います。

塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

いわゆる『教育費』は3つに分かれている

 
漠然と教育費といわれていますが、その『教育費』とはそもそも何のことでしょうか。
 
文部科学省は「子どもの学習費調査」を2年に一度行っています。現在のところ、最新のデータは平成26年度(2015年12月公表)となっており、インターネットを利用すれば、誰でも無料で閲覧することができます。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/1364721.htm
 
以下は、教育の中で長い期間を占める、小・中・高の12年間の教育費についてです。
「教育費(学習費総額)」は、
1)学校教育費:入学金や授業料、授業で使う教科書、用具など
2)学校給食費:給食費
3)学校外活動費:塾、家庭教師、通信教育、学習机・習い事、お稽古など
に分かれています。
 
オール公立の場合、学習費総額は、
小学校(6年)で約193万
中学校(3年)で約145万
高校 (3年)で約122万
以上で合計460万。
 
別調査ではありますが、国立大学が242万円というデータがありますので、合わせると約702万円。大学を私立理系にすると522万円で、合わせると約982万円。1人1000万円必要というのも、あながち間違った数字ではないですね。
 

これらの金額は「必ず要する額ではない」ということ

 
さて、上記の約1000万円は、塾やお稽古も含めて子どもの教育にかかったお金です。学校教育費だけで見ると、小中高の12年で約147万円。これに対し、塾やお稽古などの学校外費用が276万円。
いわゆる『教育費』のうち、なんと6割が必ずしも必要でないものにかかっているのです。
 


 
つまり、6割は「必要でかかった」教育費ではなく、親や本人の意思で「かけた」教育費なのです。
 
もちろん、学校外活動費を0にするというのは現実的ではありませんが、1000万円もかけられないから十分な教育をしてあげられない、子どもはこれ以上望めない、と思う必要はないのかもしれません。
 
また、公立小学校や中学校の教育費は、日頃の家計から支払っていることが多いもの。1000万円の貯金がなければ進学できない、ということはないのです。
 

「かかる」のではなく、優先順位をつけて「かける」意識を持つ

 
お金は有限です。価値のあるところ、家族が幸せになるところに優先してかけていくことで、より豊かに感じることができるはずです。そう考えたときに、学校外活動費については本当に必要か、我が家はどれくらいかけられるのか、かけた金額に見合っているだろうか、という考えは持ちたいものです。
 
みんながやっている習い事だから行かせなくては、みんなが持っているから与えなくては、そういうふうにまわりに合わせて「子育てにはたくさんお金がかかるもの」と思う必要はありません。
 
それぞれの家庭の『教育費』の定義について、考えるきっかけにしていただけたらと思います。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
https://mamasuma.com/

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