収入や支出が変化した今こそ、家計を振り返るチャンス!
配信日: 2020.05.18 更新日: 2024.10.10
生活の変化に伴い収入や支出が変化し、家計に不安を抱えたときは、まず何をすればいいのでしょうか。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
家計不安がなぜ起こるのか
具体的なライフプランの「見える化」をしていなくても、誰もがおおよその将来のことは考えていると思います。よって、想定していない事態が起きた場合に「わが家は大丈夫なのだろうか?」と、不安な気持ちになるのも当然といえるでしょう。
また、仕事に行く、学校に行く、という当たり前の毎日が急に変わることで、家計の収支のバランスも変わります。予測していなかった収入の減少や支出の増加は、ストレス要因のひとつにもなります。
支出の変化をチェックしよう
家にいる時間が増えると、電気や水道の使用量が増え、水道光熱費が上がります。家で食事をするので食料品費も上がり、室内や手指を清潔に保つための日用品の使用量も増えます。
その一方で、交際費や外食費、旅行や帰省のための交通費やレジャーにかかる費用などは少なくなる傾向があります。また、家にいる時間は月額定額のWi-Fiを使用するため、スマホの通信量が減ったというケースもあるでしょう。
このように支出増と支出減の費目があるのは当然なのですが、あまりにも食料品費や日用品費が増えている場合は買い物の仕方を振り返りましょう。
買い物に行ったとき、家庭で使用できる以上の分量を買いだめしていないでしょうか。
買い物になかなか行けない状況のときは、いつもより少し余分に買って備えておく「買い置き」は必要になりますが、「万が一のために、できるだけたくさん買っておこう」「もし使い切れなかったら誰かにあげればいいや」という気持ちで当面必要とする以上に「買いだめ」をすると、結果的に家計の無駄となります。
買い置きと買いだめの違いを知っておき、考えながら買い物するだけでも支出増を抑えることにつながります。
不安をあおる情報に揺さぶられない
テレビやインターネットにはたくさんの情報が流れています。
不安をあおる情報にだけ目を向けてしまうと将来に対しての不安がさらに増し、「今より収入が減ったらどうしよう」「仕事や物が無くなったらどうしよう」とネガティブなことばかり考えてしまいがちですが、不安なときこそ頭の切り替えが必要です。
万が一、今の仕事が続けられなくなった場合、同じ職種、同じ給料、同じ通勤時間などにこだわり続けていると、新しい仕事を見つけにくくなるかもしれません。仕事も需要と供給のバランスで決まります。
例えば事務職をしていた方が、これまでどおり事務の仕事を続けたいと思っても、希望する職種での仕事が見つからないこともあるかと思います。
そんなときは一時的に気持ちを切り替えて、人手不足となっている育児介護などの福祉関係、小売りやデリバリーの食料品関連、建築や工事など、事務の仕事が見つかるまでは別の分野で働くという選択肢を検討してみる必要もあるでしょう。
また、「収入は得たいけど、人と接する仕事は敬遠したい」という方は、仕事をして収入を得ることを優先するか、収入が減っても仕事を控えることを優先するか、今の自分の気持ちを整理しておくと不安にあおられず、ストレスの軽減につなげることができるのではないでしょうか。
今だからこそ家計と向き合う
家計が回らなくなるのは「収入+資産<支出」のときです。収入より支出が上回ったとしても、一時的であれば、貯蓄を取り崩して生活することもできます。そしてまた収入が増えたら貯蓄をすればいいのです。
家にいる時間が長い今だからこそ、わが家の収入はいくらなのか、貯蓄はいくらあるのか、現金以外の不動産などの資産価値はいくらなのか、万が一のときの保障が足りているのか保険を見直してみるなど、家計と向き合うことが大切になります。
家計と向き合い、将来の収支を数値化することで、お金の不安の原因が見えてきます。原因を知ることで初めて対策を打つことができるのです。
また、お金の不安と心の不安は切り離すことはできません。不安について誰かに話すだけでも気持ちの整理ができるものです。「お金のことなので身近な人には話しにくい」という場合は、ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント