住宅ローンは年収の何倍まで組める? 年収からマイホーム予算を立てるのはやめよう

配信日: 2021.05.26 更新日: 2021.11.01

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住宅ローンは年収の何倍まで組める? 年収からマイホーム予算を立てるのはやめよう
住宅購入を検討し始める時、どうやって予算やローンの借入額を決めているでしょうか?
 
なかには年収の何倍までなら住宅ローンを組めるといった情報を耳にしたことのある人も多いことでしょう。
 
実際いくらまで組めるかは金融機関や利用する住宅ローンの条件によって異なります。今回は住宅ローンの借入額やマイホーム予算の立て方などを詳しく説明していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンは年収の5倍までという基準は?

住宅ローンのことを検討している時に、年収の5倍までが住宅ローンの基準になっているという話を聞いたことがある人は少なくないでしょう。
 
なかにはそれを基準に漠然と購入できる物件かどうか判断している人もいるかもしれません。5倍の根拠となっている情報はどこから発信されているものなのでしょうか? 実際に基準とするべき数字なのかを説明します。

 

1992年に打ち出された「生活大国5か年計画」の情報

住宅ローンが年収の5倍までというのは、1992年に閣議決定された「生活大国5か年計画―地球社会との共存をめざして―」という文書の中に記されている内容です。
 
第6章「特色ある質の高い生活空間の実現」第1節「住生活の充実」に書かれているのは、国民の住生活の充実と居住水準の向上をはかるため、東京を始め大都市圏においても、勤労者世帯の平均年収の5倍程度で良質な住宅が取得できるよう、地価水準や土地対策などを推進するというものでした。
 
この情報がきっかけで住宅ローンを組むなら、もしくは購入する住宅は年収の5倍という目安が広まったようです。

 

「年収の5倍」に根拠はない

住宅取得は年収の5倍までというのは、あくまでも経済計画上の政策で示された数字です。しかも1992年と約30年前の過去の話であるため、現在では5倍という数字には根拠があるとは言えません。実際に住宅取得や住宅ローンの契約を考えている人は、もっと別の要素から検討して金額を決めていくようにしましょう。

 

年収とマイホーム予算の関係

年収の5倍を目安にできないとなると、何を判断基準にマイホーム予算を決めていけばよいのでしょうか? ここでは年収とマイホーム予算の関係、実際に住宅を購入した人は年収の何倍程度の費用を住宅取得にかけているのかなどについて説明していきます。

 

みんなの住宅の所要費用をチェック

まずはほかの人が住宅取得にどれだけ費用をかけているかを住宅金融支援機構の「2019年度フラット35利用者調査」をチェックしておきましょう。住宅の所要資金を世帯年収で割った、年収倍率を示しています。
 

2019年

注文住宅       6.5倍
土地付き注文住宅   7.3倍
建売住宅       6.7倍
マンション      7.1倍
中古戸建       5.5倍
中古マンション    5.8倍

 
年収倍率の平均は5.5~7.3倍であることが分かります。いずれも「生活大国5か年計画」で示された5倍よりも大きな数字でした。

 

年収から購入予算を考えるのはやめよう

住宅の所要資金を世帯年収で割った年収倍率の全国平均は、5倍より大きい数字でした。しかしこれは全国平均ですので、もっと高い倍率や低い倍率で住宅を取得している人もいます。地域によって地価も異なりますし、頭金の額も家族の人数も各家庭で異なります。
 
住宅ローンの借入額は年収の何倍まで組めるのかも、申込者の雇用形態や現在借りている他のローンの状況、金融機関によって異なります。単純に年収だけを目安に住宅の購入予算や住宅ローン借入額を決めるのは危険です。

 

年収から逆算するデメリット

年収から逆算して住宅ローンの借入額や住宅の購入予算を決めるのがなぜ危険なのか、理由をいくつか挙げていきます。
 
・同じ年収でも住宅購入を決めた年齢によって異なる
 
同じ年収600万円でも購入時期が20代か40代かでさまざまな条件が変わります。20代であれば、返済期間を長く設定できるので月々の返済額は低く設定できますが、40代となるとそうはいかないことも。また、20代は年収がこれから上がる可能性も高いですが、家族の状況や家計に変化が生じやすくなります。
 
・子どもの人数などの家族構成によって、住宅にかけられる予算が変わる
 
同じ年収でも子どもの人数が多ければ、その分教育や生活費にかける予算が多くなります。住宅費にかけられる費用は家族構成によって異なるのです。

 

年収以外の要素を加味して借入額を設定しよう

住宅ローンの借入額は、単純に年収だけでは決められません。同じ年収でも家計や家族の状況がひとりひとり異なるように、年収以外の要素も加味して設定する必要があります。
 
また、住宅購入にかかるのは単純に土地や住宅建設の費用だけではないことも知っておきましょう。これから家族が増える、昇進などにより将来にわたって自身の状況に変化が生じる可能性もあります。年収以外に借入額に加味しておきたい要素について詳しく説明します。

 

マイホーム取得以外にかかる費用を考えよう

マイホームは土地代や建設費用などの取得費用だけが必要なのではありません。中古住宅であればリフォームの必要がある場合もありますし、生活に必要な家具や家電、雑貨を買い足す必要もあります。さらには登記費用や印紙代、ローンや保険の手続きといった諸費用もかかってきますので、貯金を全て頭金に使うことは避けましょう。
 
また、車の維持費や教育費、家電の買い替え、固定資産税など将来かかってくる費用もしっかり考えておきましょう。

 

無理のない返済額かどうか考えよう

マイホーム購入時にはマイホーム所得以外の費用がかかりますし、無事購入した後も固定資産税などさまざまな費用がかかります。一方で、住宅借入金等特別控除のように住宅ローン残高の1%が所得税の額から控除される制度もあります。
 
あらゆる要素を加味して、毎月の返済額に無理がないかどうかをしっかり考えましょう。住宅ローンの借り入れにおいては、年収から考えるのではなく可能な返済額から借入額を決定していきましょう。

 

実際に組む住宅ローンは返済できるかを考えて

住宅ローンの借入額は年収だけでは決められません。正社員か自営業か、ほかに組んでいるローンはないか、さらには金融機関によっても異なります。年収から住宅ローンの借入額や住宅購入予算を考えるのではなく、将来にわたって無理なく返済し続けられるかどうかを考慮して検討しましょう。

 
出典
住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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