更新日: 2021.11.29 年収

年収1000万円の人は所得税を年間いくら払っている?

年収1000万円の人は所得税を年間いくら払っている?
年収1000万円の高所得層でも、所得税の負担が意外と重く感じられる人は多いのではないでしょうか。同じ年収1000万円でも、家族構成などの要素で所得税額は左右されるため、人によって負担感が異なります。
 
ここでは、所得税の計算方法やケース別の試算額、所得税の節税方法をまとめました。ご自身の所得税の把握や節税に、ぜひ役立ててください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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中村将士

監修:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

所得税額の算出方法

 
所得税は、個人の所得に対して課せられる税金です。税額は、年間の総収入額から給与所得控除などを除いた所得金額からさらに所得控除を差し引いた「課税所得」に、課税所得の金額に応じた税率をかけて計算します。
 
収入が給与所得のみの人の所得税額の計算式は、次のとおりです。
 
所得税額={(総収入額-給与所得控除-所得控除)×税率}-控除額
 
主な所得控除の種類として、次のようなものが挙げられます。

●基礎控除
●社会保険料控除
●生命保険料控除
●地震保険料控除
●配偶者控除(配偶者特別控除)
●扶養控除

また、税額の計算に用いられる課税所得ごとの税率と控除額は、以下のとおりです。
 

課税所得金額 税率 控除額
1000~194万9000円 5% 0円
195万~329万9000円 10% 9万7500円
330万~694万9000円 20% 42万7500円
695万~899万9000円 23% 63万6000円
900万~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

 

年収1000万円の人の所得税額はいくらくらい?

 
総務省「2020年家計調査」によると、年収1000~1250万円の4人家庭の、1ヶ月あたりの所得税負担額の平均は4万7109円です。年間では4万7109円×12ヶ月=56万5308円程度が、平均的な所得税額だと考えられます。
 
以下で「家族を扶養していない場合」と「扶養している場合」のモデルケースについて、実際に所得税額を試算してみましょう。
 

家族を扶養していない場合

《条件》

●収入は給与所得のみ
●給与所得控除:195万円
●社会保険料控除:150万円
●基礎控除:所得税48万円

 
以上の条件の場合、年収1000万円の人の課税所得は、次のとおりです。
 
課税所得金額=1000万円-(195万円+150万円+48万円)=607万円
 
課税所得607万円の所得税率は20%、控除額は42万7500円なので、所得税額は以下のようになります。
 
所得税額=607万円×20%-42万7500円=78万6500円
 

家族を扶養している場合

 
家族を扶養している場合は、所得控除に配偶者控除や扶養控除が加わります。

《条件》

●収入は給与所得のみ
●専業主婦の妻、16歳・20歳の子あり
●給与所得控除:195万円
●社会保険料控除:150万円
●基礎控除:所得税48万円
●配偶者控除:38万円
●扶養控除:101万円(一般の控除対象扶養親族(16歳の子)38万円、特定扶養親族(20歳の子)63万円)

この場合の課税所得金額は、次のとおりです。
 
課税所得金額=1000万円-(195万円+150万円+48万円+38万円+101万円)=468万円
 
課税所得468万円の所得税率は20%、控除額は42万7500円なので、所得税額は以下になります。
 
所得税額=468万円×20%-42万7500円=50万8500円
 
家族を扶養していない場合と比べて、所得税額は約28万円安くなる計算です。
 

所得税額の節税対策はどうすればよい?

 
所得税を節税するには、収入や所得税額から控除を受けられる制度を活用する方法が有効です。主な制度には、次のようなものがあります。

●医療費控除
●iDeCo
●ふるさと納税
●住宅ローン控除

ご自身の状況に照らして、使える制度がある場合は積極的に活用するとよいでしょう。以下で、それぞれの制度の概要を説明します。
 

医療費控除

 
自分や同一生計の家族のために支払った年間の医療費が一定額を超える場合、以下の式で計算した金額を、所得控除として所得から差し引けます。
 
医療費控除の金額=支払った医療費の合計額-保険金などで補填された金額-10万円又は所得金額の5%(どちらか少ない額)
 
また、一定の健康診査・予防接種などを受けている人は、医療費控除の代わりに特定一般用医薬品などの購入費について保険金などで補填される金額と1万2000円を差し引いた金額が控除される「セルフメディケーション税制」も選択できます。
 

iDeCo

 
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛け金の全額が所得から控除される、私的年金制度です。一般的な給与所得者の場合、最高で年間27万6000円の掛け金が所得控除の対象となります。掛け金を運用して得た利益も非課税となるため、効率良く老後資金を創出できるメリットもあります。

 

ふるさと納税

 
ふるさと納税は、選んだ自治体への寄付金が所得税、住民税から控除される制度です。所得税からの控除額は、次の式で計算します。
 
控除額=(ふるさと納税額-2000円)×所得税率
 
年収1000万円の人の場合、最大で17万6000円程度の節税効果が期待できます。
 

住宅ローン控除

 
住宅ローン控除は、個人が住宅ローンなどを利用して住宅の新築や購入、増改築などを行った場合、年末のローン残高に応じた金額が、毎年の所得税額から控除される制度です。適用を受けるには、対象の物件や住宅ローンが条件を満たしていることに加え、確定申告(初年度)や年末調整で申請する必要があります。
      

所得税の仕組みを理解すると納める金額がわかる

 
同じ年収1000万円でも、所得税額は家族構成や所得控除の金額などによって異なります。所得税額の計算の仕組みを理解して、ご自身に当てはめて試算してみましょう。
 
また、所得税を節税できるさまざまな制度があるため、適用できるものがあれば、節税効果も含めてシミュレーションしてみるのがおすすめです。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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