夫の扶養で損をするかも? 共働きで得する妻の年収を段階ごとに解説
配信日: 2022.01.10 更新日: 2022.01.11
ここでは、税金、社会保険料、扶養控除の3つの観点から、損をしない年収のボーダーラインをまとめました。働き方を検討するときの参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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目次
住民税・所得税がかからない妻の年収は98万円/103万円以下
所得税と住民税の金額は、所得額から所得控除額を差し引いた金額(課税所得金額)に、所得税率、住民税率を掛けて計算します。所得額が基礎控除および個々に適用される所得控除の合計額以内であれば、所得税・住民税は非課税です。
給与所得者の場合、所得額は年収から給与所得控除を差し引いて求めます。給与所得控除は最低55万円なので、所得税・住民税が非課税となる年収は、55万円+基礎控除額(+基礎控除以外の所得控除額)までです。
控除額の金額は所得税と住民税で異なるため、注意しましょう。年収2400万円以下の人の基礎控除額は、所得税では48万円、住民税では43万円です。
つまり、非課税となる年収のボーダーラインは、所得税については給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円、住民税は給与所得控除55万円+基礎控除43万円=98万円となります。また、基礎控除以外に適用される所得控除があれば、控除額の分だけボーダーラインは引き上がります。
社会保険料がかからない妻の年収は106万円または130万円未満
社会保険料がかかるかどうかは、妻が夫の被扶養者になれるかどうかで決まります。社会保険の被扶養者となるには、次の2つの年収要件を両方満たしていることが必要です。
●年収130万円未満
●被保険者の年収の2分の1未満
年収129万円でも、夫の年収が250万円しかない場合などは、夫の被扶養者にはなれません。
また、短時間労働者の社会保険の適用が拡大され、パートやアルバイトでも、次の要件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられています。
●従業員数500人超または短時間労働者の社会保険加入について労使合意のある事業所に勤めている
●週の所定労働時間が20時間以上
●雇用期間の見込みが1年以上
●賃金月額が8.8万円以上
年収に関していうと、賃金月額8.8万円以上=年収約106万円以上になると、従来の収入要件である年収130万円未満に当てはまる人も、扶養を外れて社会保険に加入必要が出てくる場合があります。
配偶者(特別)控除を全額適用できる妻の年収は150万円以下
夫の合計所得金額が1000万円以下で妻の合計所得金額が48万円以下であれば、夫の所得税や住民税の計算時に配偶者控除13~38万円が所得から控除されます。妻が給与所得者の場合、所得額48万円に給与所得控除55万円を足した103万円が、夫が配偶者控除を受けられる上限の年収です。
また、妻の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合は、1~38万円の配偶者特別控除が適用されます。満額の38万円の控除を受けられるのは、妻の年収がおよそ150万円までの場合です(夫の合計所得金額が900万円以下の場合)。年収150万円を超えると控除額は減っていき、およそ201万円を超えると配偶者特別控除は受けられなくなります。
共働きの妻は夫の扶養内で働くのが本当に得?
妻が非課税の範囲や被扶養者の範囲を超える年収を稼ぐと、税金や社会保険料などの負担は増えるでしょう。しかし、ボーダーラインの年収を大きく超えて働けば、支払う税金や社会保険料以上に手取り額が多くなり、世帯年収が増加します。
また、社会保険に加入すると厚生年金を受給できるため、年金額が増える点もメリットです。長期的な収入総額という点から見ると、扶養を外れたくないという理由だけで無理に働き方を抑えるのは、損をしているともいえます。
ただ、育児などで妻が働ける時間に限りがある、といった理由がある場合は、ボーダーラインの年収をギリギリ超えないように、働き方を意識するとよいでしょう。
扶養内で働くのが得とは限らない
税金や社会保険料、夫側の所得控除など、何を基準にするかによって、得をする年収は異なります。ボーダーラインの年収はいくらかきちんと把握して、働き方を調整しましょう。
無理に働き方を抑えないほうが、総合的な収入では得をする場合もあります。年収のボーダーラインだけで判断せず、個々の家庭の事情に合った働き方を検討することが大切です。
出典
個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
No.1410 給与所得控除|国税庁
No.1199 基礎控除|国税庁
被扶養者とは? | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員