更新日: 2022.01.16 年収

低所得世帯の教育に関する給付。支援が受けられる具体的な年収は?

低所得世帯の教育に関する給付。支援が受けられる具体的な年収は?
「学費の負担が大きすぎる」「一人暮らしのお金まで出せない」「家族の迷惑になる」などの経済的な理由から、学び続けることをためらっている人も多いでしょう。そこで政府は、低所得世帯でも学びたい気持ちがある人に向けて、令和2年4月から新しい支援制度を開始しています。
 
学費と生活費をトータルでサポートする「高等教育の修学支援新制度」というものです。今回は、支援の概要や支援の対象となる世帯の具体的な年収をご紹介します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

低所得世帯の教育に関する給付「高等教育の就学支援新制度」

高等教育の就学支援新制度の特長は、従来の「貸与型」とは異なり返還の必要がない「給付型奨学金」を受けられる点です。さらに就学中の生活費を支える給付型奨学金に加えて、「入学金・授業料の減免」をセットで受けられます。
 
ここでは、返還不要の2つの支援である「入学金・授業料の減免」と「給付型奨学金」の内容について詳しく見ていきましょう。

 

授業料・入学金の免除あるいは減額

高等教育とは、大学、短大、高等専門学校(高専)、専門学校などで受けられる教育のことです。ここでは大学と高専を例に、対象となる学生に向けた「昼間制」の入学金・授業料の減免額(図表1)を見ていきましょう。
 
【図表1】

    

大学 高専
国公立 私立 国公立 私立
授業料減免上限額
(年額)
53万5800円 70万円 23万4600円 70万円
入学金減免上限額
(1回限り支給)
28万2000円 26万円 8万4600円 13万円

出典:文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額
 
上記金額は、「住民税非課税世帯」に向けたものです。「住民税非課税世帯」に準ずる世帯の人が受けられる支援は、上記金額の3分の2または3分の1となります。
 
夜間制や通信課程の場合も、上限金額は異なりますが支援の対象です。なお、国公立の大学・短大・専門学校および高専の通信課程、高専の夜間制は現在開講されていません。

 

給付型の奨学金

給付型の奨学金は学資支給金とも呼ばれ、生活費などとして使えます。
 
ここでは大学と高専を例に、「住民税非課税世帯」に向けた「昼間制」の給付型奨学金の毎月の給付額(図表2)を見ていきましょう。
 
【図表2】

    

大学 高専
国公立 私立 国公立 私立
自宅から通う場合 2万9200円 3万8300円 1万7500円 2万6700円
自宅外から通う場合 6万6700円 7万5800円 3万4200円 4万3300円

出典:文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額
 
入学金・授業料の減免の場合と同じく、「住民税非課税世帯」に準ずる世帯の人が受けられる支援は上記金額の3分の2または3分の1となります。
 
給付型の奨学金は、夜間制であっても昼間制と同じ金額です。私立の大学・短大・専門学校の通信課程の場合には、年額5万1000円を上限に支給されます。

 

高等教育の就学支援新制度の対象条件とは?

学生が支援を受けるためには、以下の認定要件を満たす必要があります。
 

・家計の経済状況に関する要件(資産および所得)
・学業成績・学修意欲の要件

 
支援の認定要件となる基準を満たす世帯年収は、家族構成や家族の年齢などによって異なります。
 
支援の対象となるか、どれくらいの支援が受けられるかは日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」で調べられるので活用しましょう。

 

家計の経済状況のうち資産の基準

対象となる資産の範囲は、預貯金や有価証券などの合計額のことで、不動産は含まれません。支援の対象となるのは、資産が以下の基準額に該当する場合です。
 

(基準額)

生計維持者が2人:2000万円未満
生計維持者が1人:1250万円未満

 

家計の経済状況のうち年収の基準

対象となる年収の目安と支援額は、図表3のとおりです。
 
【図表3】

支援対象者 年収の目安
両親、本人(18歳)、中学生の家族4人世帯の場合
年収の目安
両親、本人(19〜22歳)、高校生の家族4人世帯の場合
支援額
住民税非課税世帯の学生 〜270万円 〜300万円 満額
住民税非課税世帯に
準ずる世帯の学生
〜300万円 〜400万円 満額の2/3
〜380万円 〜460万円 満額の1/3

出典:保護者の方へ | 高等教育の修学支援新制度
 

学業成績・ 学修意欲

学業成績や学ぶ意欲も、支援を受けるための重要な要件です。以下のような流れで、学業成績と学ぶ意欲がチェックされます。
 

(高校生の場合)

1. 学生から学校に支援について相談
2. 申込時までの評定平均値が3.5以上の場合は進路指導で、成績が3.5未満と基準に満たない場合には面談やレポートでそれぞれ学びの意志を確認
3. 学校からの推薦を取り付けたら、日本学生支援機構へ申し込む

 

(大学生、専門学校生などの場合)

1. 学生から学校に支援について相談
2. 1年生の場合は高校評定平均値3.5以上または入学試験の成績が入学者上位1/2以上など、2~4年生は学業成績が1/2以上または単位取得数など、学業成績要件を確認して判定。成績が基準に満たない場合には、成績や単位により学修計画書を提出
3.学校からの推薦を取り付けたら、日本学生支援機構へ申し込む

 
なお支援開始後の成績や授業の出席率が良くない場合には、支援の打ち切りなどもあるため注意しましょう。

 

意欲の高い住民税非課税世帯の学生は満額受け取れる

政府は返還不要の「高等教育の修学支援新制度」をはじめており、経済的な理由から学生が進学や修学を諦めない社会を目指しています。学費と生活費の両面から学生を支援するというもので、従来の返還を必要とする貸与型とは異なる点が特長です。
 
認定要件を満たす学生が対象で、住民税非課税世帯の学ぶ意欲が高い学生なら支援を満額受け取れます。

 
出典
政府広報「高等教育の修学支援新制度」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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