更新日: 2022.01.20 年収
高卒と大卒では生涯賃金にどれくらい差が生まれる?
本記事では、高卒と大卒の生涯賃金にはどれくらいの差が生まれるかについて解説します。男女別・退職金・定年後の収入について細かくふれるため、それぞれの段階で得られる収入について参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高卒と大卒の生涯年収の差
生涯賃金とは、ひとりの労働者が生涯で得られる総収入です。では、高卒と大卒ではどれくらい生涯収入が違うのでしょうか。
ここでは高卒と大卒の生涯賃金の差について、独立行政法人労働政策研究・研修機構 「ユースフル労働統計 2020 労働統計加工指標集」を男女別に見ていきましょう。また、退職金や61歳以降の期間でも比べます。
※本項目の生涯年収の金額には、退職金は含まれません。また、学校を卒業してからすぐに就職し、60歳までフルタイムの正社員を続けたと仮定した場合の生涯賃金です。
高卒・大卒男性の生涯賃金の差
高卒・大卒の男性の生涯賃金を見ていきましょう。
●高卒:2億1370万円
●大卒:2億7210万円
高卒は19歳から60歳まで、大卒は23歳から60歳までの期間の収入です。労働年数は、高卒のほうが4年長いにもかかわらず、約6000万円の差があることが分かりました。
高卒・大卒女性の生涯賃金の差
高卒・大卒の女性の生涯賃金は以下のとおりです。
●高卒:1億5200万円
●大卒:2億1570万円
男性同様、勤務年数は高卒のほうが4年長いにもかかわらず生涯賃金には約6000万円の違いが出ました。
高卒と大卒では、男女ともに6000万円と大きな差があります。
高卒と大卒の退職金の差
高卒と大卒の退職金にはどれくらいの違いがあるのか見ていきましょう。なお退職金は男女計で、2017年の数値です。卒業から60歳までフルタイムの正社員を続けた人の退職金は、高卒で1400万円、大卒では1890万円と、高卒と大卒では退職金に約500万円の差がありました。
61歳以降にフルタイム非正規となった場合の差
高卒と大卒では、60歳で定年後にフルタイム非正規雇用となった場合の収入にも差が生まれます。独立行政法人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計 2020 労働統計加工指標集」によると、61歳以降に働いた場合の収入は、高卒では2970万円、大卒では4120万円です。男性の平均引退年齢である68.8歳までの賃金だとすれば、約8年間で1000万円以上の差が生まれる結果となりました。
高卒と大卒で生涯年収に差が生まれる理由
高卒と大卒で生涯年収に差が生まれる理由には、企業が採用時にコストをかけずに良い人材を集めたいという考えが反映されています。
一般的に、大卒の人は業務に関する基礎的な知識を備えいている、人材育成のための時間が高卒に比べると短くすむ、即戦力となりやすいなどの理由から、企業が大卒を採用基準とし、給与も高卒より多く設定する例が多くあります。そのため大卒のほうが賃金の高い仕事に就きやすく、生涯賃金に差が生まれる傾向がみられます。
高卒よりも大卒のほうが生涯賃金が高い
高卒と大卒では、生涯年収には大きな差が生まれることが分かりました。生涯年収に退職金や61歳以降の収入を含めた合計額も比較しましょう。なお、女性も61歳以降に同学歴の男性と同じ収入があったと仮定して算出しています。
●高卒:2億5740万円
●大卒:3億3220万円
●高卒:1億9570万円
●大卒:2億7580万円
退職金と、定年後に非正規でフルタイム勤務した際の収入を合わせると、生涯で受け取れる金額は男女それぞれ約8000万円の差となりました。
高卒か大卒かだけが収入の差ではなく、就職した企業の規模などによっても変わるでしょう。また、専門的な知識が必要な業種の場合は、資格取得などで高卒の人も年収アップが見込めます。学歴が違うからとあきらめず、収入を増やすためにスキルアップをめざしましょう。
出典
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2020 労働統計加工指標集
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部