更新日: 2022.02.10 年収
収入は増えないほうがお得? 年収1000万円と年収800万円の税負担の差は?
本記事では、年収1000万円と年収800万円では、どれくらい税負担の差があるのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
年収が増えれば税負担も大きくなる
累進課税制度は、課税額が高いほど適用される税率が上がる制度です。日本では所得税・贈与税・相続税の3つに超過累進課税が採用されています。
所得税の税率と控除額は、下記を参考にしてください。
【図表1】
課税される所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000~194万9000円 | 5% | 0円 |
195万~329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万~694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万~899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万~1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万~3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
所得税の税率は、課税される所得額に応じて7段階に区分されています。
例えば課税所得が800万円の場合だと税率は23%までですが、1000万円になると税率33%と10%も変わります。
年収1000万円と年収800万円の税負担の差
年収1000万円と年収800万円は、額面年収なので、手取り額を計算するには社会保険料や税金を差し引かなくてはいけません。まず、それぞれの年収の手取り額を見ていきましょう。
【図表2】
年収800万円 | 年収1000万円 | |
---|---|---|
住民税 | 約45万円 | 約64万円 |
所得税 | 約46万円 | 約82万円 |
※社会保険料 | 約120万円 | 約132万円 |
控除額合計 | 約211万円 | 約278万円 |
手取り額 | 約589万円 | 約722万円 |
※健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を合算した金額
独身の会社員で基礎控除・社会保険料控除のみ考慮、それぞれの年収が800万円、1000万円だった場合のおおよその社会保険料・税金は(図表2)のとおりです。
年収800万円の人の手取り額は589万円、年収1000万円の人の手取り額は約722万円であり、その差は133万円です。日本では、所得が増えれば段階的に税金が高くなる「超過累進課税制度」を採用しているため所得税で大きな差が生まれます。
住民税や社会保険料も税金の差はありますが、所得税は36万円と、特に差が大きいことが分かるでしょう。
年収1000万円と年収800万円の人の割合
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」より、年収1000万円の人と年収800万円の人の割合を見ていきましょう。
【図表3】
※1:年収800万円 | ※2:年収1000万円 | |
---|---|---|
男性 | 10.6% | 8.0% |
女性 | 2.3% | 1.1% |
全体 | 7.2% | 5.2% |
※1:年収800万円(年収700万超~900万円以下のデータ)
※2:年収1000万円(年収900万超~1500万円以下のデータ)
調査結果によると、年収800万円の人の割合は7.2%、年収1000万円の人は5.2%であることがわかりました。
男女ごとに見ると、男性の年収800万円の人の割合は10.6%、年収1000万円の人は8.0%と2.6%の差があります。女性の場合は、年収800万円の人の割合が2.3%、年収1000万円の人は1.1%で差は1.2%。男性よりも、大きな開きは見られませんでした。
参考として、給与階級別分布によると、年収が最も多い階層は男性が300万円超~400万円以下の17.5%。女性は100万円超~200万円以下の23.4%。男女合計で見ると、もっとも多い階層は、300万円超~400万円以下の人の17.4%です。
年収1000万円と年収800万円の税負担の差は約56万円
年収1000万円の人と、年収800万円の人の税負担の差は約55万円、社会保険料を合わせると約67万円です。手取り額を見ると、年収1000万円の人は約722万円、年収800万円の人は約589万円と、社会保険料や税金で約210~280万円くらい控除されます。
日本では「超過累進課税制度」を採用しているため、所得が増えれば税金は高くなります。ただし、年収1000万円と800万円には133万円の手取り収入の差があるため、収入が増えるほうがお得だといえるでしょう。
出典
国税庁「No.2260 所得税の税率」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー