世帯年収1000万円と世帯主の年収が1000万円。税金はいくら違う?

配信日: 2022.02.23

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世帯年収1000万円と世帯主の年収が1000万円。税金はいくら違う?
同じ年収1000万円でも、夫婦共働きなのか、片働きで個人の年収のみなのかでかかる税金が大きく変わります。本記事では、世帯年収1000万円と世帯主の年収が1000万円の場合、かかる税金はどれくらい違うのかを解説します。
 
日本の所得税の仕組みについても解説しますので、税金の仕組みを正しく理解しましょう。
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世帯年収1000万円の世帯でかかる税金

世帯年収や年収といわれるものは「額面年収」であり、実際の「手取り額」はその金額から所得税や住民税、社会保険料などが控除された金額です。まず世帯年収1000万円の世帯でかかる税金を見ていきましょう。
 

【条件】

・夫の年収:600万円
・妻の年収:400万円
・40歳以上の夫婦で、給与所得のみ
・基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除のみ考慮

 
【図表1】

所得税 約20万円 約8万円
住民税 約31万円 約18万円
社会保険料 約92万円 約62万円
合計 約143万円 約88万円

 
夫婦共働きの場合、夫と妻のそれぞれの年収で税金が計算されます。年収600万円の夫の手取り額は約457万円、年収400万円の妻の手取り額は約312万円となり、合計の手取り額は約769万円となりました。
 
なお、今回は夫婦のみの条件で試算していますが、仮に扶養親族がいれば、扶養控除が適用されるため、手取り額はもう少し増える計算になります。

 

世帯主の年収が1000万円の世帯でかかる税金

次に、世帯主の年収が1000万円であり、妻が専業主婦の場合でかかる税金について見ていきましょう。
 

【条件】

・夫の年収:1000万円
・妻の年収:なし
・40歳以上の夫婦で、給与所得のみ
・基礎控除、給与所得控除、社会保険料控除、配偶者控除のみ考慮

 
【図表2】

所得税 約75万円
住民税 約60万円
社会保険料 約132万円
合計 約267万円

 
夫の年収が1000万円の場合、所得税が約75万円、住民税が約60万円、社会保険料が約132万円かかることから、1年間でかかる税金は約267万円です。手取り額は約733万円となり、世帯年収1000万円の世帯と比べると、約36万円の差があることが分かりました。
 
なお、独身の会社員で年収1000万円の場合だと、配偶者控除が適用されなくなるため、手取り額はさらに10万円ほど減ると考えられます。

 

同じ年収1000万円でも税金に差が出るのはなぜ?

世帯年収1000万円も年収1000万円も、額面の金額は同じなのに手取り額が変わってくるのは一体なぜなのでしょうか。その理由には、日本の所得税の仕組みが大きく関わってきます。
 
ここでは、「超過累進税率」について詳しく解説します。年収が増えると、どのように所得税が変わっていくのかを正しく理解しましょう。

 

超過累進税率を採用している

超過累進税率とは、課税所得金額が多くなるにしたがって税率が段階的に高くなっていくことをいいます。日本の所得税の速算表は図表3のようになります。
 
【図表3】

課税される所得金額 税率(控除額)
1000円~194万9000円まで 5%(0円)
195万円~329万9000円まで 10%(9万7500円)
330万円~694万9000円まで 20%(42万7500円)
695万円~899万9000円まで 23%(63万6000円)
900万円~1799万9000円まで 33%(153万6000円)
1800万円~3999万9000円まで 40%(279万6000円)
4000万円以上 45%(479万6000円)

 
課税される所得金額が高くなるほどに税率も上がり、最大で45%の税率が課されます。世帯年収1000万円の夫婦の場合、年収600万円の夫は税率10%、年収400万円の妻の税率は5%です。
 
しかし、世帯主の年収が1000万円の場合は20%の税率が課税されるため、税額には大きな差が出ます。

 

同じ年収1000万円でも、世帯年収か世帯主の年収かでかかる税金は大きく変わる

同じ年収1000万円でも、世帯年収が1000万円なのか、世帯主の年収が1000万円なのかでは、かかる税金が約36万円も変わります。日本の所得税は、超過累進税率が採用されており、課税所得が高くなれば課せられる税率も高くなるからです。
 
今回は、それぞれ子どもがいない夫婦で試算しましたが、子どもがいるケースや独身の場合だと、また手取り額は変わってくるでしょう。

 
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
 

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