年金受給額と手取り給与の差。働きながら支給する場合の注意点は?
配信日: 2022.02.25
働きながら厚生年金に加入して、年金を受け取るときの注意点について詳しくご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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老齢厚生年金が支給停止になる場合とは
老齢厚生年金は老齢基礎年金に上乗せして支払われ、65歳から受け取ることができます。しかし60歳から65歳未満の人で老齢基礎年金の保険料を10年以上支払っており、厚生年金の加入期間が1年以上ある場合には「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることが可能です。
「特別支給の老齢厚生年金」を受給できるのは、男性は1961年4月1日、女性は1966年4月1日以前に生まれた人です。「特別支給の老齢厚生年金」の申請の際は、老齢基礎年金や共済年金も同時に繰り上げ受給の申請をする必要があります。
繰り上げ受給すると、老齢基礎年金では月ごとに0.5%ずつ減額され最大で30%の減額となります。2002年4月1日以降は減額率は0.4%となり、最大24%の減額です。65歳になっても、年金の受給額は生涯変わりません。
「特別支給の老齢厚生年金」を受給しながら厚生年金に加入して働いたときの支給停止額は、基本月額と総報酬月額相当額に応じて決まります。基本月額とは年金の年額を12(ヶ月)で割った金額です。総報酬月額相当額は会社から得た賞与を含む年収を12で割った金額です。「特別支給の老齢厚生年金」の場合は、支給停止調整開始額が28万円になります。
基本月額と総報酬月額相当額を足した金額が28万円以下なら、年金は全額支給されます。支給停止調整額は47万円なので基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額が47万円以下なら、両者を足したものから28万円を引いた2分の1の金額に12をかけたものが年間の支給停止額です。
支給停止額の計算は、基本月額と総報酬月額相当額によって5つのパターンがあります。支給停止調整開始額と支給停止調整額は、毎年見直されています。
例えば「特別支給の老齢厚生年金」が120万円なら基本月額は10万円となります。総報酬月額相当額にあたる年収の月平均額が30万円とすると、(10万円+30万円-28万円)×1/2×12=72万円となり、年間の支給停止額は72万円です。この場合の年収は年金額が120万円-72万円=48万円と会社で働いた収入の30万円×12=360万円を足して408万円となります。
65歳以上で働きながら老齢厚生年金を受け取る場合
65歳以上で老齢基礎年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いた場合も、年金の一部または全額が支給停止されます。しかし「特別支給の老齢厚生年金」とは異なる計算式になります。
65歳以上の場合は、基本月額と総報酬月額相当額を足した金額が47万円以下なら全額支給されます。両者の合計額が47万円を超えた場合は、両者の合計額から47万円を引いた額の2分の1に12をかけた金額が年間の支給停止額です。
例えば年金の年額が120万円で総報酬月額相当額が30万円の場合は、基本月額は10万円なので合計が40万円となり47万円以下なので年金の支給停止はありません。年金額が同じで総報酬月額相当額が40万円の場合は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円となり47万円を超えます。
このケースでは50万円-47万円×1/2×12=18万円が年間の支給停止額です。120万円-18万円=102万円が年金額、40万円×12=480万円が会社で働いた収入なので年収は102万円+480万円で582万円になります。
70歳未満の場合は、厚生年金保険が適用されている事業所で働いていれば厚生年金に加入する義務を負います。70歳以降も厚生年金保険が適用されている事業所で働いている場合も、在職中による厚生年金の支給停止の対象です。退職した場合は翌月から全額支給となりますが、年金の支給額に反映されていない厚生年金の加入分を加えて支給額が再計算されます。
年金受給額と手取り給与の差を考える
65歳を超えても多くの手取り給与を得ている場合には、年金を全額停止されても働いた方が年収が多い場合があります。支給停止されていた期間の年金をあとからもらうことはできませんが、退職すれば翌月から年金は全額支給されます。年金の支給停止にばかりとらわれず、どちらの年収が高くなるのかを考えて働きましょう。
大切なのは年金に振り回されない働き方
65歳未満の人が老齢厚生年金を早期受給すると年金そのものも減額され、年金の基本月額と総報酬月額相当額を足した金額が28万円を超えると支給停止されます。65歳から老齢厚生年金を受給すれば、年金の基本月額と総報酬月額相当額を合わせた金額が47万円を超えた場合に支給停止が始まります。受け取れる年金額と手取り給与の差を考えて、年収が多くなるような働き方をしましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員