子どもの学歴と親の収入は比例するって本当?東大生の親の平均年収は本当に高いの?
配信日: 2022.02.28
すべてに共通するわけではありませんが、親の年収は子どもの学歴と比例する要因と判断される傾向にあります。実際に東京大学学生委員会の「学生生活実態調査結果報告書」では、親の平均世帯年収は1050万円以上といった結果も出ているほどです。
今回は、親の年収と子どもの学歴に相関関係があるかどうかをはじめ、東大生の親の平均世帯年収や父親と母親に多い職業などをまとめて解説します。子どもの学歴を形成するために何が必要なのかを模索している方は、記事を参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
親の収入は子どもの学歴と比例する要因の1つ
親の年収は子どもの学歴と比例する要因の1つとする論文「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」をお茶の水女子大学が発表しています。
平成29年度全国学力・学習状況調査の結果および保護者に対する調査をもとに、家庭状況などが児童生徒の学力とどのように関係するのかを分析したものです。
分析の結果「概ね世帯収入が高いほど子供の学力が高い傾向が見られる」「保護者の最終学歴については、学歴が高いほど子供の学力が高い傾向が見られる」といった見解を伝えています。
引用:保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究|国立大学法人お茶の水女子大学
各教科の平均正答率が高いのは家庭の経済的背景が高い児童生徒
「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」は文部科学省からの委託研究で、10万人規模の小6と中3の児童生徒の保護者を調査対象としたものです。
保護者の年収や学歴などといった、家庭の社会経済的背景をLowest SES・Lower middle SES・Upper middle SES・Highest SESの4つに指標化して、テストの平均正答率との相関関係を分析しています。
そこで、家庭の社会経済的背景がもっとも高い世帯のHighest SESと、もっとも低い世帯であるLowest SESと各教科の平均正答率を比べています。中3の国語Aで14.33ポイント、国語Bで18.25ポイント、数学Aで24.24ポイント、数学Bで20.12ポイント、Highest SESが上回っていることを証明しています。
東大生の親の平均世帯年収は1,050万円以上
東京大学が実施する「2020年度(第70回)学生生活実態調査」によると、東大生の親の42.5%が平均世帯年収1050万円以上でした。東京大学からは具体的な金額が公表されていないため、あくまでも1050万円以上としかいえません。
一方で国税庁は給与所得者の1人あたりの平均給与を461万円としています。この平均給与461万円と比べると、東大生の親の平均世帯年収1050万円以上は倍以上高いことがわかるのではないでしょうか。
平均世帯年収450万円未満は14.0%
東大生の親の具体的な平均世帯年収を表にまとめると以下のようになります。そのうち平均世帯年収450万円未満は14.0%でした。
世帯年収(2020年調査) | 割合 |
---|---|
450万円未満 | 14.0% |
450万~750万円未満 | 15.2% |
750万~950万円未満 | 16.9% |
950万~1050万円未満 | 11.4% |
1050万円以上 | 42.5% |
確かに平均世帯年収が高いことは東大に入学するために有利でしょう。しかし、平均世帯年収450万円未満の家庭からも、例年10%以上は東大に入学しています。実際に、2018年は13.2%、2016年は10.9%が平均世帯年収450万円未満の家庭でした。
平均より低い世帯年収水準だとしても、本人の努力次第で東大に入学できる証明になっています。
父親の職業で多いのは「管理的職業」の38.4%
東大生の父親の職業でもっとも多いのが、管理的職業の 38.4%です。次に専門的・技術的職業の22.7%、以降は教育的職業の9.4%、事務の7.5%、販売の5.6%、サービス業の3.6%と続きます。
管理的職業と専門的・技術的職業、教育的職業を合わせると7割近くを占める結果となっています。
なお、無職は2.4%、その他が1.9%とごくわずかに存在する状況です。
母親は「無職」の家庭が31.7%
東大生の母親の職業になると、父親とはまた違った結果が出ています。無職がもっとも多く31.7%、次に事務の20.9%、専門的、技術的職業の12.6%、教育的職業の11.2%、サービス業の10.5%と続きました。この場合の無職とは専業主婦が多い状態を意味します。
東大合格者は、国公立や私立の中高一貫校出身も多く、それらの学校に合格するには中学受験のための膨大な予習・復習が必要です。母親のサポートも必要不可欠となるため、子どもの中学受験合格や教育の充実度を上げるために、母親が職業に就かない例は多いでしょう。
経済格差が教育格差につながる傾向にある
親の年収が高いことが子どもの学歴に影響する可能性は高いといえます。東京大学が学生向けに行った調査でも、平均世帯年収1000万円以上の家庭の割合が高くなっていました。
親の年収が高ければ、教育に使えるお金も多く確保でき、充実した学習環境を用意するのに有利でしょう。しかし、親の年収が高いことが子どもの学歴が高くなる理由ではありません。
経済的に不利な環境でも、学力の高い子どもは一定数います。逆に親の年収が高くても、学力の低い子どももいます。年収が低いだけで子どもの可能性を諦めるのではなく、親として子どものために何ができるのか、どうするのがベストなのかを考えて取り入れていきましょう。
出典
国立大学法人お茶の水女子大学:保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究
国立大学法人お茶の水女子大学:平成29年度全国学力・学習状況調査「保護者に対する調査」文部科学省委託研究「平成29年度全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」
東京大学学生委員会:2020年度(第70回)学生生活実態調査結果報告書
国税庁:平均給与
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部