更新日: 2022.03.12 年収

日本にいるアッパー層の平均資産額はいくら?

日本にいるアッパー層の平均資産額はいくら?
日本におけるアッパー層は、民間シンクタンクの調査の結果から、2019年当時は調査対象世帯のうちの約2%でした。しかし、そのわずか2%の人たちが、全体の2割強に該当する金額の純金融資産を保有していました。また2013年から始まった、安部政権の経済政策もあり、2019年までにアッパー層の世帯も若干増加し、また純金融資産の保有額も増加しました。
 
ここでは、これらの状況について、少し掘り下げてみてみることにします。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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日本におけるアッパー層にあたる人たちは、どれくらいいるのか?

日本のアッパー層にあたる人たちが、一体どの程度の割合でいるか、ご存じでしょうか? 参考となる情報は、(株)野村総合研究所が2020年12月に公表した、NRI富裕層アンケート調査の結果にある「純金融保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数」からみることができます。
 
この結果では、預貯金、株式、生命保険などの世帯が保有する金融資産の合計額から、負債を差し引いた純金融資産保有額に基づいて、超富裕層、富裕層、準富裕層、アッパーマス層、マス層の5つに分類をしています。
 
それぞれにおいて、純金融資産保有額が5億円以上を超富裕層、1億円以上5億円未満が富裕層、5000万円以上1億円未満が準富裕層、3000万円以上5000万円未満がアッパーマス層、3000万円未満がマス層となっています。
 
この分類でみた、保有資産規模と世帯数をみると、超富裕層では97兆円で8.7万世帯、富裕層では236兆円で124.0万世帯、準富裕層では255兆円で341.8万世帯、アッパーマス層では310兆円で712.1万世帯、マス層では656兆円で4215.7万世帯となっています。
 
ちなみに、アッパー層を富裕層と超富裕層とすると、2つの層のそれぞれの合計が333兆円で132.7万世帯となり、アンケート調査の対象となった全世帯のうちのおよそ2%、純金融資産保有額でみると総額のうちの約21%を占めることになります。
 

日本のアッパー層の平均資産額はどの程度になるか?

132.7万世帯で333兆円の純金融資産を保有している富裕層および超富裕層のアッパー層は、平均資産額が1世帯あたり約2億5000万円となります。
 
ちなみに、アッパー層に該当する世帯数は、アベノミクスが始まった2013~2019年時点まで増加し続けており、超富裕層では2013年の5.4万世帯から3.3万世帯の増加、富裕層では95.3万世帯から28.7万世帯の増加となっています。あわせて、純金融資産額をみると、超富裕層が73兆円から24兆円の増加、富裕層では168兆円から68兆円の増加となっています。
 
ちなみに、2013年におけるアッパー層の平均資産額は、1世帯あたり約2億4000万円となり、2019年までにおよそ1000万円の増加となっています。
 
ところで、アンケート調査対象の98%が該当する準富裕層、アッパーマス層、マス層ですが、2013年と比較すると2019年時点で、世帯数および純金融資産額とも、同様に増加しています。
 
2013年の世帯数と比較してみると、準富裕層では315.2万世帯から26.6万世帯の増加、アッパーマス層では651.7万世帯から60.4万世帯の増加、マス層では4182.7万世帯から33万世帯の増加となっています。また、純金融資産額をみると、準富裕層は242兆円から13兆円の増加、アッパーマス層では264兆円から46兆円の増加、マス層では539兆円から117兆円の増加となっています。
 
ちなみに、2013年の準富裕層、アッパーマス層およびマス層の純金融資産の合計額は1045兆円となります。実は、2013年の純金融資産の合計額のうち、この3つの層が占める割合は、2013年は約81%だったのが2019年には約79%に減少しています。
 
これは、準富裕層とアッパーマス層の割合がわずかながら減少したことによります。一方で、富裕層が微増している状況については、アベノミクスの効果と考えることができるかもしれません。
 

国が考える富裕層に該当する人たちとは?

民間のシンクタンクが実施した調査結果から、日本の富裕層の割合と資産の状況についてみてきました。ところで、国が想定する富裕層に該当すると判断する基準については、参考となるものに日経新聞の2015年9月3日付の記事があります。これは、国税庁が納税状況を確認する対象と判断する基準について記載したもので、10の基準があります。
 
この基準をみると、例えば、有価証券の年間配当4000万円以上、貸家などの不動産所得1億円以上や所得合計額1億円以上などとされています。これらの内容から、そもそも富裕層を特定する目的や条件は異なってはいるものの、国税庁が考える富裕層も、先のアンケート調査における超富裕層および富裕層とおおむね合致しているといえます。
 

この先もこのまま進むと金持ちの人とそうじゃない人との二極化が鮮明になる

その昔、日本は一億総中流といわれていましたが、平成から令和にかけて、資産を多く持っている人にはお金が集まり、そうではない人は収入が減るなど、格差が広がったといわれています。
 
取り上げたアンケート調査の結果からも、その傾向をみることができました。格差があっても稼げる人はより稼げる社会か、もしくは所得の再分配等で格差が小さい社会か、将来の方向性について、答えを出していく段階にあるのかもしれません。
 
出典
・(株)野村総合研究所 野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計
・日本経済新聞 2015年9月3日付記事
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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