更新日: 2022.03.11 年収

平均年収と国民総所得の関係性。日本人の国民総所得はどれくらい?

平均年収と国民総所得の関係性。日本人の国民総所得はどれくらい?
国民総所得の増加により、日本人の平均年収も連動して上がるのでしょうか? 国民総所得は、増減しつつも増加傾向にあるなかで、平均年収についてはほぼ横ばいで、大きく増えることはありませんでした。
 
ここでは、この2つの指標について、関係性をみることとし、そもそも「平均年収」と「国民総所得」がどういうものなのか確認していきましょう。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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「国民総所得」が増えても、日本人の「平均所得」が必ずしも上がらない残念な状況

日本の名目の国民総所得(Gross National Income: GNI)の推移をみると、1997年に約4.5兆ドルで、ここから多少の増減を繰り返しながら2012年にピークの約6.4兆ドルとなります。一度減少に転じ、その後は若干増加して2020年に約5.2兆ドルと推移しています。
 
一方、日本における国民の平均年収の推移ですが、1997年に467万円でピークとなり、そこから減少の一途をたどり、2012年には408万円となります。その後は少しずつ増加して、2020年には433万円となります。
 
先のGNIと平均年収との金額の推移だけで比べてみると、この2つの間に強い相関はないといえます。実は、1990年代後半から国民総所得が増加しても、平均年収は同じようには増加しなくなりました。ちなみに、以前は、国民総所得と平均年収のこれまでの推移をみると、国民総所得の増加にあわせて、平均年収も増加するという状況が続いていました。
 

目にする機会が増えた「国民総所得」とは何か?

一国の経済状況について、生産と所得の分配状況や、どこからの所得で、どこに向けた消費なのかなどは、「国民経済計算」でみることができます。国際連合が定める国民経済計算の作成基準となるSNA(System of National Accounts)の1993年基準(93SNA)では、これまで利用していたGNP(Gross National Products, 国民総生産)から、GNIへの切り替えが行われました。なお、日本における国民経済計算を作成する際の最新の基準は、2008年に採択された2008SNAとなります。
 
ところで、このGNIが増えると、私たちの「平均年収」も増えると思われた方が少なくないのには理由があります。これは、2013年、当時の安部政権下における政府の成長戦略に、1人あたりのGNIを10年で150万円増やすと盛り込まれていたことに関係しているといえます。
 
日本から海外への資本や人材の投資が増える状況では、従来の国内総生産(Gross Domestics Product: GDP)にはこの投資の収益が反映されません。そのため、GNIを指標とすることで、戦略的に海外投資を行うことが日本経済の将来にとって重要となる、という説明ができるわけです。ちなみに、名目GNIは、GDPに「海外からの所得の純受取」を足し合わせたものとされています。
 
補足ですが、ニュースなどでよく耳にする国内総生産であるGDPですが、簡単にいうと一定期間に国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額で、国の経済状況を知る手がかりとなります。
 
また、「海外からの所得の純受取」とは、海外在住の日本の居住者が生み出した付加価値から日本在住の海外の居住者が生み出した付加価値を差し引いたものとなります。すなわち、海外で活動する企業が増えたことによる海外投資からの収入とみることができます。
 
ちなみに、このGNIですが、ひとつ気をつけなければならない点があります。それは、「国民総所得」と名前がついていますが、この「国民」が指すものは、私たち国民一人ひとりではありません。ここでいう国民とは、企業なども入っており、企業の利益なども含まれている状態です。よって、GNIが増加したことによって、私たちの賃金が同じように増えるかどうかまでは分かりません。
 

日本人の「平均年収」を知る手がかりは、行政が実施する統計調査にあり!

日本人の「平均年収」の数字は、どこから出てくるのでしょうか?よく利用される引用元としては、国税庁が実施している「民間給与実態調査」、あるいは厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」による統計調査のデータとなります。
 
一方は税務行政に利用するため、もう一方は労働行政に反映させるためと目的が異なっています。民間給与実態調査は、1949(昭和24)年から実施されている統計法による基幹統計に位置づけられており、「民間給与実態統計調査規則」に従って調査を実施しています。
 
この調査では、民間事業所の年収の実態を給与階級別、事業所規模別、企業規模別等で把握し、租税務行政運営等の基本資料とすることを目的としています。
 
一方の賃金構造基本統計調査は、1948(昭和23)年から実施されている統計法による基幹統計で、「賃金構造基本統計調査規則」に従って調査を実施しています。この調査では、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、職種や経験年数別等で明らかにし、賃金構造の実態を詳細に把握することを目的としています。
 
実は、これら以外にも平均年収をみるうえで参考となる統計調査として、厚生労働省実施の毎月勤労統計調査、国民生活基礎調査、総務省統計局実施の家計調査(家計収支)、人事院の職種別民間給与実態調査などがあります。
 

経済状況を説明する指標を詳しくみると、経済政策を理解する助けとなる

国民総所得の10年間の推移からは、おおむね微増の状態が続いています。しかし、日本人の平均年収については、おおむね10年前と変わらない水準となっています。ちなみに、ニュースや新聞をみていて、当初、国民総所得が増えることで、私たち個人の収入も変化するだろうと考えた方もいることでしょう。私たちが政府の経済政策を理解するうえで、国民総所得(GNI)といった経済指標が何かを把握する努力をしていく必要があります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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