更新日: 2022.03.22 年収
共働きで世帯年収1000万円と専業主婦(夫)で世帯年収1000万円世帯なら、手取りはどちらが多い?
では、共働きで年収1000万円の世帯と、片働きで年収1000万円の世帯では、負担する社会保険料や税金額にどのくらいの違いが発生するのでしょうか? また、最終的な手取り額はどちらが多くなるのでしょうか?
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com
片働きで年収1000万円の手取り額
では、妻が専業主婦での片働きで、年収1000万円の場合、手取り額はいくらになるのか計算してみましょう。
この計算上、所得控除で使用するのは、社会保険料控除、基礎控除(※1)、配偶者控除(※2)のみとし、東京在住(40歳以上)の給与所得者であることを条件とします。
年収1000万円の社会保険料負担額(※3)は、月額で約11万円、年額約130万円です。また、年収1000万円の給与所得控除額は、195万円です。
これらの数値を基に、所得税額そして住民税額を計算してみましょう。そして年収から社会保険料、所得税額、住民税額を引いた額が最終的な手取り額になります。
給与所得金額:1000万円-195万円=805万円
課税所得金額:給与所得金額-各種所得控除(社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除)=805万円-(130万円+48万円+38万円)=589万円
所得税額:589万円×20%-42万7500円=75万500円
住民税額(均等割額):5000円
住民税額(所得割額):805万円-(130万円+43万円+33万円)=599万円×10%=59万9000円
最終的な手取り額=1000万円-130万円-75万500円-5000円-59万9000円=734万5500円
共働きで年収1000万円の手取り額
では、共働きで年収1000万円の手取り額を計算してみましょう。
今回は夫と妻それぞれが年収500万円のケースと、夫が年収700万円、妻の年収は300万円の2つのパターンで計算してみたいと思います。
こちらの計算においても、所得控除で使用するのは社会保険料控除、基礎控除とし、夫婦ともに東京在住(40歳以上)の給与所得者と仮定します。
■夫婦それぞれ年収500万円の場合の手取り額
給与収入が500万円の場合、社会保険料は月6万1377円、年額にすると約74万円です。そして、給与所得控除額は500万円×20%+44万円=144万円です。ここから、所得税および住民税額を求めていきましょう。
給与所得金額:500万円-144万円=356万円
課税所得金額:356万円-(74万円+48万円)=234万円
所得税額:234万円×10%-9万7500円=13万6500円
住民税額(均等割額):5000円
住民税額(所得割額):356万円-(74万円+43万円)=239万円×10%=23万9000円
年収500万円の手取り額は、500万円-74万円-13万6500円-5000円-23万9000円=387万9500円です。それが2人分ですので、2倍の775万9000円が最終的な世帯の手取り額です。
片働きで年収1000万円の手取り額が734万5500円ですので、41万3500円も多くなっていることが分かります。
■夫の年収700万円・妻が300万円
では、夫婦で年収が違う場合をそれぞれ計算してみましょう。こちらの計算においても、所得控除で使用するのは社会保険料控除、基礎控除とし、夫婦ともに東京在住(40歳以上)の給与所得者と仮定します。
<夫(年収700万円)の手取り額>
年収700万円の社会保険料は、月額9万1323円。年額にすると約110万円です。そして、給与所得控除額は700万円×10%+110万円=180万円です。ここから、所得税および住民税額を求めていきましょう。
給与所得金額:700万円-180万円=520万円
課税所得金額:520万円-(110万円+48万円)=362万円
所得税額:362万円×20%-42万7500円=29万6500円
住民税額(均等割額):5000円
住民税額(所得割額):520万円-(110万円+43万円)=367万円×10%=36万7000円
年収700万円の夫の手取り額は、700万円-(110万円+29万6500円+5000円+36万7000円)=523万1500円です。
<妻(年収300万円)の手取り額>
年収300万円の社会保険料は月額3万5928円、年額にすると約43万円です。そして、給与所得控除額は300万円×30%+8万円=98万円です。
給与所得金額:300万円-98万円=202万円
課税所得金額:202万円-(43万円+48万円)=111万円
所得税額:111万円×5%=5万5500円
住民税額(均等割額):5000円
住民税額(所得割額):202万円-(43万円+43万円)=116万円×10%=11万6000円
年収300万円の妻の手取り額は、300万円-(43万円+5万5500円+5000円+11万6000円)=239万3500円です。
夫の手取り額と合わせると、762万5000円となり、片働きで年収1000万円の手取り額と比べると、27万9500円多くなることが分かるとともに、夫婦ともに500万円のケースと比べると13万4000円少なくなっています。
まとめ
共働きで世帯年収合計が年収1000万円の手取り額と、片働きで年収1000万円の手取り額を比較すると、共働きで世帯年収合計が1000万円の世帯の方が、手取り額が多くなることが分かります。
また、共働きでも夫婦の年収に差がないほうが手取り額は多くなる傾向にあります。
片働きで年収1000万円の場合、どうしても税額負担が大きくなりますので、ふるさと納税やiDeCoなどのほか、医療費控除などを利用して所得控除および税額控除額を増やすことが、手取り額を多くするポイントといえそうです。
出典
(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1199 基礎控除
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1191 配偶者控除
(※3)全国健康保険協会 令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員