更新日: 2022.03.22 年収
年収960万を超えるともらえない給付や手当にはどんなものがある?
では、年収960万円を超えるともらえない給付や手当には、どのようなものがあるのでしょうか。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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児童手当
児童手当とは、中学卒業までの児童を養育している人に対して支給されるもので、この年齢や数によって支給額が異なります。
とはいえ、3歳未満であれば一律1万5000円、中学生でも一律1万円が支給されるので、家計にとって非常に助かる手当といえます。
しかし、この児童手当を受けるためには、図表1のような収入基準を満たしていなければなりません。
<図表1>
ちなみに、この所得上限額以上の場合でも、1人あたり5000円の特例給付を受けることができましたが、これも2022年10月支給分より年収1200万円以上の人は受けることができなくなります。
ただし、扶養親族の数が3人以上で年収が960万円以上1200万円以下の場合は、引き続き特例給付の支給対象です。
子育て世帯への臨時特別給付金
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、子育て世帯の家計を支援する目的で、0~18歳までの子ども1人に対して10万円相当の給付を行うことが決定しました(2022年2月時点)。
この支給方法については、以下の3つが用意されており、自治体が選択することになっています。
1.先行給付金(5万円)+追加給付金(5万円)
2.先行給付金(5万円)+クーポン給付金(5万円)
3.一括給付金(10万円)
また、離婚などによって給付金を受け取れていない人に対しては、10万円限度の支援金が支払われます。
■給付を受けるための所得基準
この子育て世帯への臨時特別給付金を受け取るための所得基準(所得上限額)は、児童手当の条件を用いることとしています。
したがって、扶養親族が3人いる場合(年収103万円以下の配偶者+子ども2人)であれば、年収が960万円以下である必要があります。
■先行給付金の対象となる児童
先行給付金(5万円)の対象となる児童は以下に該当する児童です。
1.令和3年9月分の児童手当支給対象となる児童
2.令和3年9月30日時点で高校生の児童(平成15年4月2日~平成18年4月1日生まれ)
3.令和4年3月31日までに生まれた児童手当の支給対象となる児童
高等学校就学支援金制度
高等学校に通う子どもを持つ世帯の家計支援制度の1つで、公立高校の場合は学費が全額(11万8800円)無料となり、私立高校の場合も所得に応じて支援金額が加算されます(最大39万6000円)。
そして、この制度を利用する際にも所得基準(※4)を満たさなければなりません。その年収目安は図表2、3のとおりです。
<図表2:片働き世帯>
<図表3:共働き世帯>
世帯年収と子どもの年齢によりますが、年収が960万円を超えていると、この制度は利用できない可能性があります。
国の教育ローン
一定以上の収入があり、奨学金などを利用できない世帯に対して、低金利で貸し付けを行う制度に、日本政策金融公庫が行っている国の教育ローンがあります。
1.65%(2022年3月時点)の比較的低い固定金利で借りることができるため、奨学金などが受けられない人にとっては非常にありがたいローンといえます。
ただし、この制度を利用する際にも所得基準を満たさなければなりません。その基準は図表4のとおりです。
<図表4>
子どもの数が2人までであれば、年収960万円でも利用できますが、子どもの数が3人以上になると、年収960万円を超えた場合は利用できません。
まとめ
年収960万円とは、児童手当における配偶者と子ども2人の世帯をモデルケースとした所得制限額です。
子どもが2人いる世帯でこのケースに当てはまる場合は、年収960万円がさまざまな給付や手当が受けられるかどうかのボーダーラインとなることが分かります。
ただし、子どもの数や世帯収入などによって所得上限額は異なりますので、一概に年収が960万円を超えたからといって、給付の対象外となるわけではありません。
これからもさまざまな給付や手当などの支援制度が出てくると思いますが、その際には必ず収入要件をチェックし、もし当てはまる場合は積極的に利用するようにしましょう。
出典
(※1)厚生労働省 児童手当制度の概要
(※2)内閣府 子育て世帯への臨時特別給付
(※3)内閣府 令和3年度子育て世帯への臨時特別給付(先行給付金)のご案内
(※4)文部科学省 所得基準に相当する目安年収(例)
(※5)文部科学省 高等学校等就学支援金制度
(※6)日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」
(※7)日本政策金融公庫「ご利用条件」
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員