更新日: 2022.03.25 年収

「年収600万円が手取り額で一番損しない」これって本当?

「年収600万円が手取り額で一番損しない」これって本当?
収入が多いのはうれしいことではありますが、年収が高いと税率が上がり、手取り額がどんどん下がってしまいます。また、一定の年収を超えると、手当や公的支援が受けられないこともあります。
 
本記事では、年収が増えることで不利になるものは何か、「年収600万円は手取り額で一番損しない」というのは本当なのかを詳しく解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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年収が増えると不利になるもの

まず、ここでは、年収が増えることで不利になる制度や手当を紹介します。ここで挙げる制度や手当は、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 
改めて、それぞれの制度の詳しい内容も見ていきましょう。

 

所得税率

所得税の税率は、表1のとおり課税される所得金額に対して5~45%の7段階に区分されています。
 
(表1)

課税される所得金額 税率(控除額)
1000円~194万9000円まで 5%(0円)
195万円~329万9000円まで 10%(9万7500円)
330万円~694万9000円まで 20%(42万7500円)
695万円~899万9000円まで 23%(63万6000円)
900万円~1799万9000円まで 33%(153万6000円)
1800万円~3999万9000円まで 40%(279万6000円)
4000万円以上 45%(479万6000円)

 
課税される所得金額が4000万円以上ある人は、税率が45%のため、年収のほぼ半分は所得税が占めることになるでしょう。

 

配偶者控除

納税者に配偶者がいれば、一定の金額の配偶者控除が受けられます。
 
(表2)

納税者の合計所得金額 一般の控除対象配偶者 ※老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900~950万円以下 26万円 32万円
950~1000万円以下 13万円 16万円

※配偶者の年齢が70歳以上(その年12月31日現在の年齢)
 
配偶者控除は控除額が3段階に分かれており、合計所得金額が900万円以下であれば38万円の控除が受けられます。ただし、納税者の合計所得金額が1000万円を超えると、控除は受けられません。

 

児童手当

児童手当は、中学校卒業までの児童を養育している人に支給される手当です。児童の年齢と人数で金額が変わります。
 
(表3)

児童の年齢 手当額
3歳未満 一律1万5000円
3歳以上小学校修了前 1万円(第3子以降は1万5000円)
中学生 一律1万円

 
児童手当は、扶養親族等の数によって所得制限限度額・収入額の目安が変わります。
 
(表4)

扶養親族等の数 所得制限限度額 収入額の目安
1人 660万円 875万6000円
2人 698万円 917万8000円
3人 736万円 960万円

 
なお、子どもの人数や配偶者の年収により限度額や収入額の目安は変わってきますので、(表4)は参考としてご確認ください。

 

給与所得控除

給与所得控除は、給与などの収入金額から給与所得控除額を差し引いて、税額計算等における所得金額を算出できる制度です。収入額に応じて、6段階に区分されています。
 
(表5)

給与等の収入金額 給与所得控除額
162万5000円まで 55万円
162万5001円~180万円まで 収入金額×40%-10万円
180万1円~360万円まで 収入金額×30%+8万円
360万1円~660万円まで 収入金額×20%+44万円
660万1円~850万円まで 収入金額×10%+110万円
850万1円以上 195万円(上限)

 
年収850万1円以上になると、所得控除額が上限の195万円になります。

 

手取り額で一番損しない年収はいくら?

「年収600万円は手取り額で一番損しない」と言われることがありますが、それは本当なのか、所得税率と多くの公的支援を受けられる範囲内で考えてみましょう。
 
年収600万円で控除される金額は、(表6)を参考にしてください。
 

【条件】

・子どもがいる家庭で、夫の年収が600万円の場合
・給与所得控除・基礎控除・扶養控除・配偶者控除を受けた場合で試算
・社会保険料は月収50万円(ボーナスなし・年収600万円)で計算

 
(表6)

所得税 13万80円 14万9742円
住民税 23万7580円 20万9242円
厚生年金保険料 54万9000円 50万2335円
健康保険料 29万5200円 14万5238円

 
年収600万円の人が給与所得控除・基礎控除・扶養控除・配偶者控除・社会保険料控除を受けた場合、課税される所得金額が227万5800円になります。
 
課税所得227万5800円の場合の所得税率は10%、控除額は9万7500円となります。年収600万円は比較的、手取り額で損しない金額と言えそうです。

 

手取り額で損しないかどうかは自分次第

年収が高ければ、公的支援が受けられない、所得税が高くなるなど一見すると不利に思えますが、メリットのほうがはるかに多いはずです。手取り率を上げるために、所得税や住民税を非課税にするとなると、年収を極端に下げなくてはいけないことになります。
 
自分や世帯にとって、どれくらいの年収がベストかは、その人のライフスタイルによって大きく変わります。今の生活をしっかりと見据えて、自分にあった収入を考えましょう。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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