更新日: 2022.03.29 年収

同じ年収1000万円でも「片働き世帯」と「共働き世帯」では、どのくらい手取りが違うの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

同じ年収1000万円でも「片働き世帯」と「共働き世帯」では、どのくらい手取りが違うの?
男女雇用機会均等法の制定をきっかけに、女性の社会進出が進んでいます。2020年には、夫婦のどちらかのみ働く片働き世帯よりも、夫婦共に働く共働き世帯が多くなっており、現在も増加の傾向です。
 
そこで、年収1000万円の片働き世帯と、夫婦2人で世帯年収1000万円の共働き世帯なら税金や手取りにどのくらいの違いがあるのでしょうか?
 
今回は、世帯年収1000万円の税金や手取りの違いをはじめ、年収1000万円で所得制限の対象になる制度について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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世帯年収1,000万円の割合は全体の12.1%

厚生労働省の「所得金額階級別世帯数の相対度数分布」によると、世帯年収1000万円以上の世帯の割合は全体の12.1%です。

1,000万~1,100万円 3.1%
1,100万~1,200万円 1.9%
1,200万~1,300万円 1.7%
1,300万~1,400万円 1.2%
1,400万~1,500万円 0.9%
1,500万~1,600万円 0.7%
1,600万~1,700万円 0.5%
1,700万~1,800万円 0.4%
1,800万~1,900万円 0.3%
1,900万~2,000万円 0.2%
2,000万円以上 1.2%
合計 12.1%

 
なお、同調査における世帯年収の平均は552.3万円です。世帯年収1000万円は、平均よりも2倍に近い水準でした。
 

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世帯年収1000万円の税金や手取りの違い

世帯年収が1000万円の場合、片働き世帯と共働き世帯が支払う税金や社会保険料、手取りの違いを比較していきましょう。

【年収1000万円の夫と専業主婦の妻、16歳未満の子どもが2人いる片働き世帯】

年収1000万円-195万円(給与所得控除)=805万円
805万円-150万円(社会保険料控除)-43万円(基礎控除)-33万円(配偶者控除)=559万円(課税所得)
所得税:559万円×20%(税率)-42万7,500円(控除額)=71万500円
住民税:559万円×10%=55万9000円(=住民税)
1000万円-150万円(社会保険料)-126万9,500円(所得税と住民税)=71万500円

【夫と妻のそれぞれが年収500万円、16歳未満の子どもが2人いる共働き世帯】

500万円-144万円(給与所得控除)=356万円
356万円-43万円(基礎控除)-75万円(社会保険料控除)=223万円(課税所得)
所得税:223万円×10%(税率)-9万7500円(控除額)=12万5500円
住民税:223万円×10%(住民税)=22万3000円
500万円-75万円(社会保険料)-34万8500円(所得税と住民税)=386万1500円
386万1500円×2人=772万3000円

※社会保険料は年収の15%、住民税は所得の10%、千円未満は切り捨てで計算
 
722万500円と776万3000円の差額は約54万円で、共働き世帯の方が手取りは多いです。
 

年収1,000万円で所得制限の対象になる制度

世帯年収1000万円の場合、片働き世帯か共働き世帯かによって所得制限の対象になる制度があります。子育てに関わる「児童手当」「高等学校等就学支援金制度」の2つの制度で、所得制限の対象になった場合、その分だけ受け取れるお金が減ります。
 
それぞれの制度の概要をはじめ、片働きか共働きは支給対象になるかどうかを解説します。
 

児童手当は片働きで支給対象

中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育する方に支給される児童手当は、以下のように所得制限限度額を設けています。
 

扶養親族の数 所得制限限度額 収入の目安
0人(前年末に児童が生まれていない場合) 622万円 833.3万円
1人(児童1人の場合) 660万円 875.6万円
2人(児童1人+年収103万円以下の配偶者の場合) 698万円 917.8万円
3人(児童2人+年収103万円以下の配偶者の場合) 736万円 960万円
4人(児童3人+ 年収103万円以下の配偶者の場合) 774万円 1002万円
5人(児童4人+年収103万円以下の配偶者の場合) 812万円 1040万円

 
例えば、会社員の夫と専業主婦、子ども2人の片働き世帯なら年収960万円、子ども3人の片働き世帯なら1002万円を超えなければ、児童手当支給の対象です。なお、所得制限限度額は、前年(1月から5月までの月分は前々年)の所得額で判定します。
 
さらに2022年10月以降は、夫婦どちらかが年収1200万円以上の場合、児童手当が支給されません。

【児童手当支給月額】

●3歳未満:一律1万5000円
●3歳以上小学校修了前:1万円(第3子以降は1万5000円)
●中学生:一律1万円

※所得制限の対象となる場合、特例給付で月額一律5000円(児童1人当たり)が支給されます。

 

高等学校等就学支援金制度は片働き・共働きともに支給対象

高等学校等就学支援金制度は、収入などの要件に応じて、授業料に充てるための就学支援金が支給されます。以下のように、片働き世帯か共働き世帯かで所得制限が変わります。
 
所得要件となる年収の目安は以下を参考にしてください。
 
【片働き世帯の場合】

子の数 年11万8800円(月額9900円)の支給対象 年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象
子1人(高校生)
※扶養控除対象者が1人の場合
~約910万円 ~約590万円
子2人(高校生・中学生以下)
※扶養控除対象者が1人の場合
~約910万円 ~約590万円
子2人(高校生・高校生)
※扶養控除対象者が2人の場合
~約950万円 ~約640万円
子2人(大学生・高校生)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約960万円 ~約650万円
子3人(大学生・高校生・中学生以下)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約960万円 ~約650万円

 
【共働き世帯の場合】

子の数 年11万8800円(月額9900円)の支給対象 年39万6000円(月額3万3000円)の支給対象
子1人(高校生)
※扶養控除対象者が1人の場合
~約1030万円 ~約660万円
子2人(高校生・中学生以下)
※扶養控除対象者が1人の場合
~約1030万円 ~約660万円
子2人(高校生・高校生)
※扶養控除対象者が2人の場合
~約1070万円 ~約720万円
子2人(大学生・高校生)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約1090万円 ~約740万円
子3人(大学生・高校生・中学生以下)
※扶養控除対象者が1人、特定扶養控除対象者が1人の場合
~約1090万円 ~約740万円

 

片働きより共働きのほうが手取りは多い

片働き世帯にするか共働き世帯にするかは、家庭によってさまざまな事情があるので一概にどちらがよいという答えはありません。ただし、世帯年収が1000万円の場合、片働き世帯と共働き世帯を比較すると手取りが多いのは共働き世帯です。そのほかに児童手当や高等学校等就学支援金制度といった子育てに関わる制度も、世帯年収1000万円でも片働き世帯と共働き世帯かで支給対象が変わってきます。
 
手元に残せるお金がどのくらい違うのかを考慮して、今後共稼ぎ世帯にするか片働き世帯にするかの判断材料にしてください。
 
出典
文部科学省:高等学校等就学支援金制度
文部科学省:高等学校等就学支援金制度 (年収目安)
厚生労働省:児童手当制度の概要
内閣府:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部
厚生労働省:各種世帯の所得等の状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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