更新日: 2022.03.31 年収
年収1000万円の個人事業主は1年にいくら税金を納めている?
年収1000万円の個人事業主は、実際どれくらい税金を納めているのでしょうか? 具体的な事例をあげて計算してみましょう。税金の計算方法についても詳しくご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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年収1000万円の個人事業主が払う税金は約149万円
年収1000万円の個人事業主が1年にいくら税金を納めているのか、確かな税額を算出するには、課税所得金額(年収から経費と控除額を引いた金額)が必要になります。
そこで、1年間にかかった経費を300万円、控除は青色申告控除と基礎控除のみと仮定して計算してみましょう。この条件で計算すると、年収1000万円の個人事業主が払う税金は約149万円になります。
▶ 年収1000万円の個人事業主が払う税金:149万円
経費:300万円
基礎控除:48万円
青色申告控除:65万円
個人事業主が払う税金の計算方法
年収1000万円の個人事業主が払う税金がどうして149万円になるのか、詳しい計算方法を見ていきましょう。税金の額を算出するためには、まず「課税所得金額」を算出します。年収から経費を引いた金額が所得額、所得額から控除額を引いた金額が課税所得金額です。
今回は、経費300万円、控除は青色申告控除と基礎控除のみという設定で計算しているので、年収1000万円の個人事業主の課税所得金額は587万円になります。
<年収1000万円の個人事業主の課税所得>
所得:1000万円 - 300万円 = 700万円
課税所得:700万円 - 65万円 - 48万円 = 587万円
年収:1000万円
経費:300万円
基礎控除:48万円
青色申告控除:65万円
<計算式>
所得 = 年収 - 経費
課税所得 = 所得 - 控除額
次に、税金額を見ていきましょう。税金額の詳しい計算方法は、次の章で解説しますので、ここでは金額のみご紹介していきます。
税金額は、課税所得金額を元に算出した4種類の税金の合計です。年収1000万円の個人事業主の場合、所得税額74万6500円、住民税額59万2000円、個人事業税額が 14万8500円です。課税所得金額が1000万円以下の場合は消費税は免除されます。
したがって、年収1000万円の個人事業主の税金額は148万7000円となります。
<年収1000万円の個人事業主の税金額>
税金額 = 74万6500円 + 59万2000円 + 14万8500円 = 148万7000円
所得税額:587万円 × 20% - 42万7500円 = 74万6500円
住民税額(およそ10%とする):587万円 × 10% + 5000円 = 59万2000円
個人事業税額(第1種事業税率5%とする):(587万円 - 290万円)× 5% = 14万8500円
消費税額:0円
<計算式>
税金額 = 所得税額 + 住民税額 + 個人事業税額 + 消費税額
個人事業主が払う税金は4種類
年収1000万円の個人事業主が1年に納める税金は、約149万円ということがわかりました。この税金額は、次の4種類の税金の合計です。それぞれの税金がどのようなものなのか詳しくみていきましょう。また、それぞれの税金額の算出方法と、税金が免除される条件についてもご紹介します。
・所得税
・住民税
・個人事業税
・消費税
所得税
所得税は、事業などで得た利益に対して課せられる税金です。所得税額は、課税所得額に応じた税率をかけ、そこからさらに、課税所得金額に応じた税金控除額を引いて算出します。
所得税の税率は、図表1のように、課税所得金額に応じて5%から45%の7段階に分けられ、さらに税率に応じた税金控除額が定められています。
<所得税の計算式>
所得税額 = 課税所得額 × 税率 - 税金控除額
図表1
課税所得額 | 税率 | 税金控除額 |
---|---|---|
1000 ~ 194万9000円 | 5% | 0円 |
195万 ~ 329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万 ~ 694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万 ~ 899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万 ~ 1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万 ~ 3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円 以上 | 45% | 479万6000円 |
※国税庁「No.2260 所得税の税率」を元に作成
住民税
住民税は、個人事業主が事業所を置いている都道府県・市区町村に支払う税金です。所得に応じた税金(所得割)と、一定額の税金(均等割)の2種類の合計が、住民税額になります。
所得割は、都道府県民税と市区町村民税を合わせて、課税所得額の10%。均等割は、都道府県民税と市区町村民税を合わせて5000円です。都道府県や市区町村によって若干の違いがあり、詳しくは各市区町村の公式サイトなどで確認できます。
<住民税の計算式>
住民税額 = 均等割額 + 所得割額
所得割額 = 課税所得額 × およそ10%(都道府県民税額 + 市区町村民税額)
均等割額 = およそ5000円(都道府県民税額 + 市区町村民税額)
※都道府県・市区町村により異なる
個人事業税
個人事業税は、個人事業主が事業所を置いている都道府県に支払う税金です。課税所得金額に業種に応じた税率をかけた金額が、個人事業税額になります。業種ごとの税率は、図表2のとおりです。290万円の所得控除があるので、課税所得が290万円以下の場合は個人事業税がかかりません。
<個人事業税の計算式>
個人事業税額 = (課税所得金額 - 所得控除 290万円) × 税率
図表2
※東京都主税局「個人事業税」を元に作成
消費税
消費税は、商品やサービスを販売した場合の取引に対して課される税金です。個人事業主の場合は、課税所得金額が1000万円を超える場合に対象となります。
売上に対する消費税額から、仕入れにかかった消費税額を引いた金額が、個人事業主が支払う消費税額です。消費税の税率は10%(軽減税率の場合は8%)です。
<消費税の計算式>
消費税額 = 売上に対する消費税額 - 仕入れにかかった消費税額
個人事業主の税金は経費と控除によって大きく変わる
年収1000万円の個人事業主が1年に納めている税金は、およそ148万7000円(経費300万円、控除は青色申告控除の65万円のみの場合)ということがわかりました。ただし、この約149万円という税金額は、あくまでも一例にすぎません。
実際の税金額は、経費の額によって上下します。また、青色申告控除のほかにも、社会保険料控除、生命保険控除、医療費控除、扶養控除などさまざまな控除が設定されているので、条件によっては、課税所得金額がさらに少なくなるケースもあります。
個人事業主の税金は経費と控除によって大きく変わるため、必ずしも一定ではないという点を理解しておきましょう。
出典
国税庁「No.1199 基礎控除」
国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
国税庁「No.2260 所得税の税率」
東京都主税局「個人事業税」
国税庁「消費税のしくみ」
中央区「個人住民税額シミュレーション」
総務省「個人住民税」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員