更新日: 2022.03.31 年収

個人事業主で確定申告が必要になる年収はいくら? 不要になるケースとは?

個人事業主で確定申告が必要になる年収はいくら? 不要になるケースとは?
個人事業主は会社員とは違い、自分自身で確定申告をします。しかし、収入によっては確定申告が不要になるケースもあるのはご存じでしょうか。
 
確定申告の制度を理解することで、節税や還付を受けられて得することが増えるでしょう。この記事では、各制度の仕組みと「個人事業主で確定申告が必要、不要になるケース」を説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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個人事業主で確定申告が必要・不要になる年収

個人事業主で確定申告が必要・不要の判断をするときは、年収ではなく、所得から所得控除を引いた額で判断します。なぜなら、所得控除額が所得を超える場合は確定申告が不要になるからです。
 
所得は「収入から経費を引いた額」です。仮に本年度の所得が50万で、所得控除が60万だった場合「所得50-所得控除60」となり、所得が0になって、確定申告をする必要がなくなります。
 
したがって、ご自身が受けられる所得控除を把握しておく必要があります。下記で、個人事業主が使える所得控除を確認していきましょう。
 

個人事業主が使える所得控除

個人事業主が使える15の所得控除をまとめました。意外と知らない所得控除もあるのではないでしょうか。(※所得控除を受けるにはそれぞれ条件があります)


・基礎控除
・社会保険料控除
・雑損控除

・医療費控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除

・地震保険料控除
・寡婦控除
・ひとり親控除

・勤労学生控除
・障害者控除
・配偶者控除

・配偶者特別控除
・扶養控除
・寄附金控除

日本国内に住所がない方の利用できる所得控除は、「基礎控除、寄附金控除、雑損控除」の3つのみです。寄附金控除には「ふるさと納税」も含まれているので、ふるさと納税を利用している方は、忘れずに控除申請をしましょう。
 

所得48万以下のとき確定申告は不要になる

個人事業での所得が48万以下のときは「基礎控除額の適用」により、所得が0になるため、確定申告は不要になります。基礎控除額は所得の金額によって、それぞれ異なります。合計所得金額2400万以下の方は48万円の基礎控除が適用されます。
 
2400万円超2450万以下の方の基礎控除額は32万、2450万円超2500万円以下の方で16万、2500万円超の方は基礎控除が受けられません。したがって、所得が48万以下の方は確定申告が不要となります。
 

確定申告が不要なケースでも申告したほうが良い3つの理由

個人事業主は所得が48万円以下であれば、確定申告は必要ありません。ただし、青色申告をしている個人事業主の場合だと、確定申告をしたほうが良いケースがあります。それは、本年度の事業が赤字になったときです。
 
確定申告と必要な手続きをすることで、節税や還付を受けられます。下記で事業で赤字がでたときに受けられる3つの制度を説明します。
 

損益通算で他の所得黒字と相殺できる

 
損益通算は赤字がでた場合に、他の黒字所得と相殺できる制度です。所得によって損益通算ができないケースがありますが、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得は損益通算ができます。
 
本年度の事業が赤字だった場合、他に所得がある方は、他所得から事業所得での赤字を差し引くことで、節税ができる仕組みとなっています。
 
例えば、事業所得で50万の赤字、給与所得で50万の黒字が出た場合に損益通算することで、所得が0になります。これにより、給与所得にも税金がかからず、節税できるのです。
 

赤字の繰越控除が3年間できる

損益通算をしても赤字が残る年は、最長3年間にわたって、赤字を繰り越せます。繰り越した赤字は、翌年から3年間の黒字と相殺できる仕組みとなっています。
 
例えば、本年度の事業所得が赤字50万で、翌年が黒字25万だった場合に「赤字50-黒字25=赤字25万」となるので、翌年も税金が課せられずに済みます。残った赤字の25万は、また次の年に繰り越せるのです。
 

純損失の繰戻還付が受け取れる

純損失の繰戻還付は、赤字を前年度に繰り戻しができる制度です。申請することで、前年度に支払った税金の還付が受けられます。純損失の繰戻還付を受けるには以下の条件があります。


・前年と本年度に青色申告書である確定申告書を提出していること

・本年度の確定申告書と同時に、「純損失の金額の繰り戻しによる所得税の還付請求書」を提出していること

本年度が赤字で、前年度が黒字であれば利用できる制度です。赤字がでた年は「赤字の繰越控除」もしくは「純損失の繰戻還付」のどちらを利用するか、事業の経営状態をみて判断すると良いでしょう。
 

所得から所得控除を引いた額で判断しよう

個人事業主が確定申告を必要・不要とする基準は「所得額から所得控除額を引いた額」で判断します。また、確定申告が不要な赤字経営の年でも、節税や還付が受けられる点から、確定申告をしたほうが良いケースもあります。
 
その年の所得を確認し、ご自身が受けられる所得控除を把握することで、確定申告が必要か不要かを判断されると良いでしょう。
 
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2020 確定申告
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 確定申告が必要な方
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1199 基礎控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2070 青色申告制度
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2250 損益通算
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.5763 欠損金の繰戻しによる還付
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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