祖父母と同居して世帯収入が増えると「高等学校等就学支援金」の対象からは外れる?
配信日: 2022.04.09
高校生のいる世帯の中には、収入のある祖父母と同居しているケースも存在するでしょう。このような場合、世帯収入が増えたことで支援の対象から外れるのでしょうか?
今回は、高等学校等就学支援金における世帯収入の考え方について説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高等学校等就学支援金にかかる所得基準の基本的な考え方
高等学校等就学支援金とは、高校等に就学する生徒に対し、授業料に当たる金額の支援金を給付するものです。これにより、世帯で支払う授業料は実質無料になります。いわゆる「高校授業料無償化」と呼ばれるものです。
高等学校等就学支援金は、どの世帯でも対象になるわけではなく、世帯収入などの要件があります。具体的には、「保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額」が、30万4200円未満になる世帯が制度の対象です。
この金額を超える世帯は支援制度の対象にならず、通常どおりの授業料を納付することになります。高等学校等就学支援金の対象になるか否かの年収ラインは、両親のうち何人が働いているかや、世帯における高校生以上の子どもの人数などにもよります。
例えば両親のうち1人が働いていて、世帯の高校生が1人である場合、目安となる年収は約910万円です。これが両親共働きで世帯の高校生が1人となると、年収ラインは約1030万円になります。
また、世帯に高校生の子どもが2人いる場合、両親のうち1人が働いているなら約950万円、共働きなら約1070万円が年収ラインです。このように、世帯の状況によって年収のラインは変動します。そして重要なのは、基準となる年収は、両親の収入を合算したものであるという点です。
父親が世帯主で年収900万円、母親が年収300万円、高校生の子どもが1人という世帯があったとします。「メインで収入を得ているから」「世帯主だから」という理由で父親の年収だけをみて無償化の対象になると考える方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
基準となる年収は、高校生の保護者等のものです。つまり、父親の収入も母親の収入も合算した年収で判断されます。すなわち、例として挙げたケースなら、保護者等の年収は1200万円で支援の対象外となります。
収入のある祖父母が同居している場合の判断の仕方
それでは、前の段落で説明した内容を前提に、祖父母が同居している場合を考えてみましょう。
年金や仕事で収入を得ている祖父母が同居していれば、確かに世帯全体の年収は上がります。しかし、高等学校等就学支援金は、保護者等の所得で判断されるという点がポイントです。
ここでいう保護者等とは、高校生の親権などを有している人です。つまり、高校生の親権を有していない祖父母の収入は、支援金の対象かどうかを判断するための所得には含まれません。
例えば、両親・祖父母・高校生1人という構成の世帯で、両親が高校生の親権を有している状態であれば、祖父母の収入は関係なく、両親の収入のみで支援対象になるかどうかが判断されます。
ただし、何らかの事情により、祖父母が親権者や未成年後見人などになっている場合は、祖父母の収入で支援対象になるかどうかが判断されることになります。
なお、誰の所得が支援の判断基準になるかは、やや複雑な部分もあります。親権者全員の所得で判断する場合もあれば、一部の親権者・未成年後見人・主たる生計維持者などで判断するケースもありますので、個別の事情を踏まえて考えることが大切です。
同居した祖父母の収入が所得の判断基準に含まれるかはケース・バイ・ケース
祖父母と同居して世帯の収入が増えた場合でも、祖父母が支援対象の高校生の親権者・未成年後見人などでなければ、祖父母の収入は判断基準に含まれません。
高等学校等就学支援金の対象となるか否かの所得基準には複雑な部分もあるため、個別の状況を踏まえた上で、慎重に判断することが重要です。ぜひこの記事を参考に、自身の状況を実際に当てはめて考えてみてください。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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