更新日: 2022.04.28 年収

奨学金を利用する場合に関係あり? 奨学金にまつわる親の収入基準を解説

執筆者 : 川辺拓也

奨学金を利用する場合に関係あり? 奨学金にまつわる親の収入基準を解説
子どもの進学に合わせて、奨学金の利用を考えている人もいるでしょう。しかし、親の収入が審査に影響することを知らない人も多くいます。
 
本記事は、奨学金と親の収入基準について解説します。直前になって慌てないように、奨学金の制度や、申請できる条件を事前に押さえておきましょう。
川辺拓也

執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)

2級ファイナンシャルプランナー

利用できる奨学金の種類を解説

大学や専門学校に進学する場合に使える、3つの奨学金の特徴を解説します。

給付奨学金

第一種奨学金

第二種奨学金

 
日本学生支援機構(JASSO)の調査で、奨学金を受け取っている大学生は47.5%いることが分かっています。奨学金を利用したいときに困らないように、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
 

・返済が不要な給付奨学金

給付奨学金は、返済が要らない「給付型」の奨学金です。給付奨学金を利用するには、学力審査と収入審査をクリアしないといけません。
 
JASSOは、進学前に利用するために以下の基準を定めています。

・高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること
・将来、社会で自立し、および活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること

返済が不要な奨学金なので、ほかの奨学金に比べて審査は厳しいです。収入基準も後述するので、学力審査と一緒に利用できるか確認しておきましょう。
 

・無利子で借りられる第一種奨学金

第一種奨学金は、無利子で借りられる「貸与型」の奨学金です。返済は必要ですが、返済額は元金だけになります。給付奨学金と同じく、学力基準と収入基準をクリアしないといけません。
 
JASSOでは学力基準の定義を、以下のように定めています。

・高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
・高等学校卒業程度認定試験合格者であること。

ただし、住民税が非課税の世帯や生活保護受給世帯であれば、全履修科目の評定平均値が3.5に満たなくても審査に通過するケースもあります。
 

・返済するときに利息が発生する第二種奨学金

第二種奨学金は、返済するときに利息が付く「貸与型」の奨学金です。
 
JASSOによると、学力審査は以下のいずれかに該当していれば問題ないとしています。

・高等学校または専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
・特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
・進学先の学校における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
・高等学校卒業程度認定試験合格者であること。

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奨学金を利用できる収入基準

それでは、それぞれの奨学金が申請できる収入基準をみてみましょう。奨学金を利用できるかどうかは、生活を支える「生計維持者」の収入によって決まります。

・給付奨学金

給付奨学金は「資産基準」と「収入基準」の条件に該当していないといけません。「資産基準」は、世帯の総資産が2000万円未満である必要があります。
 
「収入基準」は3つの区分で構成されていて、支給額算定基準額を満たすことが条件です。
 
・支給額算定基準額とは、昨年の収入に基づく住民税の情報から計算した金額
支給額算定基準額 = 課税標準額 × 6% - (調整控除額 + 調整額)(100円未満切り捨て)
 
実際に3つに分けられた収入基準をみていきます。
 
【図表1】

支援区分 収入基準
第1区分 本人と生計維持者の市町村民税所得割が非課税である
支給額算定基準額の合計が100円未満である
第2区分 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上2万5600円未満である
第3区分 本人と生計維持者の支給額算定基準額の合計が2万5600円以上5万1300円未満である

出典:独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
 
要件が区分ごとに違っているので、親の収入にあてはめると図表2の目安になります。
 
【図表2】

世帯人数 世帯構成 第1区分(万円) 第2区分(万円) 第3区分(万円)
2人 本人
親(収入有)
給与所得:207
給与所得以外:125
給与所得:298
給与所得以外:176
給与所得:373
給与所得以外:230
3人 本人
親(収入有)
子(中学生)
給与所得:221
給与所得以外:137
給与所得:298
給与所得以外:178
給与所得:373
給与所得以外:234
4人 本人
親A(収入有)
親B(無収入)
子(中学生)
給与所得:271
給与所得以外:172
給与所得:303
給与所得以外:191
給与所得:378
給与所得以外:255
4人 本人
親A(収入有)
親B(無収入)
子(中学生)
給与所得
 親A:221
 親B:115
給与所得以外
 親A:137
 親B:115
給与所得
 親A:242
 親B:155
給与所得以外
 親A:138
 親B:155
給与所得
 親A:320
 親B:155
給与所得以外
 親A:185
 親B:155
5人 本人
親A(収入有)
親B(パート)
大学生
中学生
給与所得
 親A:321
 親B:100
給与所得以外
 親A:207
 親B:100
給与所得
 親A:395
 親B:100
給与所得以外
 親A:256
 親B:100
給与所得
 親A:461
 親B:100
給与所得以外
 親A:309
 親B:100

出典:独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準より筆者が作成
 
収入基準に該当するか確認したい場合は、JASSOの「進学資金シミュレーター」を利用してみて下さい。
 

・第一種奨学金

第一種奨学金は、生計維持者の収入が審査基準になります。選考される収入の目安を図表3にまとめました。
 
【図表3】

世帯人数 給与所得 給与所得以外
3人 657万円 286万円
4人 747万円 349万円
5人 922万円 514万円

出典:独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準より筆者が作成
 
給付奨学金と違い、資産基準による審査がありません。給与所得の場合、所得証明書等における収入金額で確認してください。給与所得以外の場合、同じく所得証明書等における所得金額で確認できます。
 

・第二種奨学金

第二種奨学金も、第一種奨学金と同様で、生計維持者の収入が審査基準となります。選考される収入の目安を確認しましょう。
 
【図表4】

世帯人数 給与所得 給与所得以外
3人 1009万円 601万円
4人 1100万円 692万円
5人 1300万円 892万円

出典:独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準より筆者が作成
 
第一種奨学金と比べると、年収の基準が緩和されていることが分かります。第二種奨学金も、資産基準はなく家計審査のみです。
 

奨学金を利用するなら早くから綿密な準備と確認を

奨学金の制度と収入基準を確認して解説しました。
 
収入と学力で審査されるため、奨学金を受け取るべきかどうか、早くから検討しておくことが望ましいです。実際にJASSOの調査では、奨学金の申請が不採用になった割合は1.4%とわずかですが存在しています。
 
いざというときに「利用条件を満たしていなかった」とならないように、制度や条件は前もって確認しておきましょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構
独立行政法人 日本学生支援機構 平成30年度 学生生活調査結果
独立行政法人 日本学生支援機構 給付奨学金の学力基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準
独立行政法人 日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準
独立行政法人 日本学生支援機構 進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準
日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー