更新日: 2022.04.29 年収

日本の経済の方向性を決める日本銀行総裁の年収はどのくらい?

日本の経済の方向性を決める日本銀行総裁の年収はどのくらい?
銀行の中の銀行といわれる日本銀行、そのトップは日本銀行総裁です。日本銀行は金融政策の実行によって日本経済の方向性のかじ取りを行っています。
 
本記事では、日本銀行総裁の仕事内容や、年収を紹介していきます。
 
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

日本銀行総裁の仕事

日本銀行は、紙幣を発行し、通貨の価値や景気に応じて金融の調節を行うことを目的としており、銀行間の資金決済を円滑に行って通貨の信用秩序を維持しています。
 
つまり、紙幣の発行や、金融調節を通じて「物価を安定させること」、銀行間決済を行って「金融システムを安定させること」という2つの役割があります。
 

2つの役割

物価を安定させるには、金利を調節し、市場に出回っている通貨供給量を増減させて、金融市場を調節します。
 
紙幣をみると「日本銀行券」と記載があるように、日本銀行が紙幣を発行し、流通や管理を行っています。
 
例えば、デフレーションによって一定期間の間に物価が下落する現象が起きている場合、日本銀行が紙幣を発行して、国債や社債などを購入することで、金融市場に流通する通貨供給量を増やして物価の調節をします。金融システムを安定させるには、市場に資金を循環させる必要があります。
 
一般の方が銀行などの金融機関に預けている資金の一部を、金融機関が日本銀行当座預金に預けます。当座預金に預けられている資金は、ほかの金融機関などに貸し付けられています。
 
金融機関においては、借り入れたことになるため、その借り入れた資金を一般の方に貸し付けることで、金融システムが正常に機能するようになります。
 
つまり、資金を循環させることによって、金融システムを安定させるということです。
 

日本銀行総裁の仕事

日本銀行総裁の仕事は、日本銀行が行っている業務に関する報告を聞き、さまざまな決定を行うことです。
 
総裁の発言は重く、内容によっては金融市場に大きな影響力を与えることがあるため、慎重に発言しなければなりません。日本銀行総裁の任期は5年であり、国会同意人事として衆議院と参議院の両院の同意を得て、内閣が任命することになります。
 
一度任命されると、日本銀行法違反や、破産手続き開始の決定、心身の故障によって職務執行ができなくなる場合を除き、解任されることはありません。そのため、裁判官なみの身分保障をもつ特徴があります。
 

日本銀行総裁の年収

日本銀行の役員報酬は、日本銀行法第31条に基づき、特別国家公務員の給与などに勘案して定められています。
 
日本銀行総裁の2020年度の報酬は、図表1のとおりです。
 
図表1

俸給・手当月額
(手当は半期に1度)
俸給・手当年額
役員俸給(給与) 201万円 2412万円
役員手当(賞与) 558万8000円 1117万6000円

 
図表1の俸給・手当年額を計算すると、日本銀行総裁の年収は3529万6000円になります。
 
内閣官房が公表している「主な特別職の職員の給与」によると、内閣総理大臣の年間給与額が、約4032万円で、国務大臣などが約2941万円です。
 
内閣総理大臣よりは少ないものの、各省の国務大臣よりも年収が高くなっているのが特徴です。
 
日本銀行総裁が発言すれば、日本経済や金融市場に大きな影響を与えることから、責任が重く、その責任に見合った金額といえるでしょう。
 

日本銀行総裁になる方法

これまでの日本銀行総裁は、主に日本銀行出身者と、財務省出身者の2つの場合がありました。
 
戦後になって14人の方が就任(1名のみどちらの出身者でもない)をしており、日本銀行出身者と旧大蔵省出身者が交互に総裁をやる、いわゆるたすき掛け人事を行っています。
 
日本銀行出身者の場合、日本銀行に入行し、日本銀行理事まで経験した方が、副総裁を経て総裁になります。
 
また、改正日本銀行法が施行された1998年4月1日以降になると、3名の日本銀行出身者が連続して就任しています。戦後になって14名中8名の方が日本銀行出身者です。
 
財務省出身者の場合、財務(旧大蔵)事務次官経験者でなければ、総裁になれる可能性はありませんでした。しかしその例外が現在の黒田東彦(はるひこ)氏で、財務官経験者です。
 
今後、もし財務省出身者から日本銀行総裁が出るとすれば、財務事務次官経験者だけではなく、財務官経験者も対象になるでしょう。戦後になって14名中5名の方が財務省出身者です。
 
日本銀行総裁、黒田東彦(はるひこ)氏の任期は、2023年3月までとなります。
 
現在の副総裁として、日本銀行出身者の雨宮正佳(まさよし)氏がいるため、順当にいけば次期総裁の候補として濃厚な方といえます。
 
日本銀行総裁になるためには、日本銀行に入行して順当に役職を経験するのが、可能性が高いルートといえるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 日本銀行法
日本銀行 日本銀行の役職員の報酬・給与等について
内閣官房 主な特別職の職員の給与
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士
 

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