財務省主計局長の役割とは? 日本国政府の予算や決算の責任者の年収に迫る
配信日: 2022.05.04 更新日: 2022.05.06
本記事では、財務省主計局長の仕事や、役割、年収を紹介していきます。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
財務省主計局長の仕事
財務省主計局は、財務省において花形のポストとされ、日本国政府の予算編成や決算の作成、会計制度の企画立案などを行います。
予算は国家の意志といわれ、時の政権の重点政策によって予算の振り分けが異なってきます。しかし予算は限られるため、経済効果が高く、また優先順位の高い施策へ配分するとともに、いかに無駄を排除するかが重要となります。
そこで財務省主計局には、各府省庁に対して予算査定を行う主計官を置きます。また決算の取りまとめは、国家公務員一般職試験の合格者であるいわゆるノンキャリア官僚の課長で、日本国政府の予算のすべてを把握しているぐらいの高い実務能力をもった方が担当します。
財務省主計局で行われる予算編成は、通常国会に上程される予算案に仕上げるまでに約半年以上かけます。そこで主計局長は、予算編成の責任者として指揮をするとともに、政治家との折衝などに対応します。
国会には予算修正の権能を持つものの、通常国会に上程された予算案の予算額変更や、増額などがされたことは戦後になって1回もありません。軽微な修正として予算条項の追加などが4回ほど行われています。
財務省主計局長が予算編成のスケジュールに従って、局内を指揮してきたたまものといえるでしょう。
財務省主計局長の年収
財務省主計局長は国家公務員の指定職に該当し、各省の局長級よりも上位で、警察庁次長や公安調査庁長官、文化庁長官が同列の俸給です。年収は俸給月額と地域手当、期末手当に絞って、図表1で算出していきます。
図表1
月額 | 年額 | |
---|---|---|
指定職俸給第6号 | 103万5000円 | 1242万円 |
地域手当 ※1 | 20万7000円 | 248万4000円 |
期末手当 ※2 | 336万3750円 (半年に1回分で計算) |
672万7500円 (年に2回分で計算) |
※1 地域手当はその地域の物価に応じた手当のことで、東京の場合俸給月額の20%分が支給されます。
※2 期末手当はいわゆるボーナスのことで、指定職の場合俸給月額の3.25ヶ月分が支給されます。
財務省主計局長の年収を計算すると、約2163万1500円になります。
財務省主計局長になる方法
財務省主計局長は、財務省の本流といえるポストです。そして主計局長になった方は、4例を除いて、必ず財務事務次官になっています。
財務省の内部部局には、主計局のほか、大臣官房、主税局、理財局、国際局、関税局があり、その中で主計局のポストを担当すると主計局長になれる可能性があります。その他大臣官房のポストも同様です。
一方で「主税畑」や「国際畑」となると、最終ポストが国税庁長官や財務官になるなど財務省の本流ではなくなります。
そのため財務省主計局長を目指す場合、主計局の役職経験を積み上げていくことが近道といえます。
もしこれから財務省主計局長になるために、財務省本流を目指すのであれば、東京大学法学部を卒業し、国家公務員総合職試験に合格した上で、財務省に入省することが理想的なルートといえるかもしれません。
国家公務員総合職試験合格者で大卒者の場合の初任給は、月額23万2840円です。財務省に入省して、主計局の仕事をこつこつと行っていくことで、やがては財務省主計局長になれる可能性があるでしょう。
出典
e-Gov法令検索 一般職の職員の給与に関する法律
内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)
人事院 国家公務員の諸手当の概要
内閣官房 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第17号)の概要
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士