更新日: 2022.05.06 年収
【ホテル大蔵!?】財務省主計局主計官の仕事って? 役割や年収を解説!
本記事では、財務省主計局主計官の仕事や役割、年収を紹介していきます。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
財務省主計官の仕事
財務省主計官は、日本国政府の予算編成を行うにあたって、各府省庁が出した概算要求額に基づいて査定を行います。そこで各府省庁の担当者を呼んで、政策を実行するために必要な予算額などを聞いて、喧々諤々の折衝になることや、利益代表の政治家を巻き込むこともあります。
また一度、削られた予算が、局長級同士や大臣同士の折衝によって復活することがあり、これを復活折衝と呼んでいます。
予算編成期間は、財務省の明かりが消えることがないといわれ、休日返上で作業しなければならず、財務省内に寝泊りする方もいる状態です。大蔵省時代では、仮眠室に泊まることから、「ホテルオークラ」にかけて「ホテル大蔵」と呼ばれていました。
また財務省主計官にとっても過酷な仕事状況です。査定される各府省庁も説明などに追われることになります。これは戦後になって始まったわけではなく、戦前においても大規模な予算が必要な帝国陸軍や海軍においても、厳しい査定を経て予算を獲得していました。
例えば、大蔵省主計局の主査だった30代の福田赳夫(たけお)氏(後の内閣総理大臣)が、出張で満洲に訪れたときに、関東軍憲兵隊司令官だった東条英機氏が接待を行ったことがありました。予算編成時に帝国陸軍が予算を獲得できるように官官接待を行っていたわけです。
以上のように、財務省主計局は、日本国政府の予算編成などを担当する部署であることから、各府省庁そして政治家に対しても影響力を発揮しています。その中の最前線で予算の査定を行っているのが財務省主計官になります。
財務省主計官の年収
財務省主計官は、課長級の役職で月額給与が、「一般職の職員の給与に関する法律」の行政職俸給表(一)によると、9級~10級となるため、45万8400円~55万9500円の間になります。
年収を計算するために、行政職俸給表(一)の10級1号俸を俸給月額とし、また地域手当と期末手当に絞って、図表1に算出していきます。
図表1
月額 | 年額 | |
---|---|---|
行政職俸給表(一)10級1号俸として計算 | 52万1700円 | 626万400円 |
地域手当 ※1 | 10万4340円 | 125万2080円 |
期末手当 ※2 | 224万3310円 (半年に1回分で計算) |
448万6620円 (年に2回分で計算) |
※1 地域手当はその地域の物価に応じた手当のことで、東京の場合俸給月額の20%分が支給されます。
※2 期末手当はいわゆるボーナスのことで、一般職の場合俸給月額の4.3ヶ月分が支給されます。
年収を計算すると、1199万9100円になります。
財務省主計官になる方法
財務省主計官において、厚生労働第1係や、第2係担当になると、その後の出世として財務省主計局長や財務事務次官になれる可能性が出てきます。主計官になるには、主計局主査時代に大きなサポートなどをして、そのときの主計官を助けたりすると就任できる可能性があります。主計局主査は、担当する主計官をサポートするポストで、課長補佐級の役職です。
もしこれから財務省主計官を目指すのであれば、まずは国家公務員総合職試験に合格して、財務省に入省することです。大卒者の場合の初任給は、月額23万2840円で、大学院卒の場合であれば、初任給が26万4400円になります。
財務省に入省して、主計局の仕事を覚えて、上司である主計官をサポートしていくことで、やがては財務省主計官になれる可能性があるといえるでしょう。
出典
神一行 大蔵官僚―超エリート集団の人脈と野望(講談社、1986)
倉山満 検証 財務省の近現代(光文社新書、2012)
e-Gov法令検索 一般職の職員の給与に関する法律
内閣官房 国家公務員の給与(令和4年版)
人事院 国家公務員の諸手当の概要
内閣官房 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第17号)の概要
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士