経営者の年収ってどうやって決めているの?
配信日: 2022.05.12
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
経営者とは
経営者の定義には諸々ありますが、今回の記事では会社を経営する責任者、いわゆる社長と呼ばれる方と、お店や事務所など個人で事業を経営している個人事業主の方を経営者として考えてみます。
社長の年収はどう決めている?
会社の社長の給与は法律上、役員報酬と呼ばれるものになります。この役員報酬は原則、毎年の株主総会によって決められます。株主総会とは、会社に出資し、株(いわゆる経営権)を持っている人たちの経営会議です。
法律上、会社の運営方針や経営権を持つ株主と、会社を実際に運営している社長とは、必ずしも一致している必要はありません。大企業においては、株主と社長が別であることがほとんどです。
そのため、大企業の社長の年収は経営状態などを勘案して、株主総会で社長を含む経営陣の報酬総額が決定された後、それぞれの役員報酬を取締役会などで決めていくという流れが一般的です。
一方、社長が株主を兼ねている、いわゆる中小企業などに多い形態の会社の場合、社長個人が会社の経営状態など考慮して自由に決めています。
例えば、一人社長で社員などがいない場合は、会社の利益全額を役員報酬として年収を多く確保する方もいますし、先を見据えて年収を抑え、会社にお金を留保する方もいます。
個人事業主は年収をどう決めている?
個人事業主となる経営者には、年収を決定するという概念はありません。年間の事業収入から経費を差し引いた利益が、そのまま年収となります。
ただし、利益が想定よりも多く、年収が高くなることで税金が増えそうな場合、節税対策として設備投資などを行って利益(=年収)が低くなるようにしたり、逆に利益が低くなり過ぎて年収が下がりそうなときは、設備投資を控えめにするなどして、自分の年収を多く確保することもあります。
経営者の年収はどう決めるべきなのか
経営者の年収をどう決めるのかというのは、特に中小企業の社長の方に多い悩みです。経営者の年収については、基本的に会社の経営状態と経営者の考え方に沿って決めていくのが一番でしょう。
例えば節税を重視する場合、会社にかかる法人税と社長個人の役員報酬にかかる所得税などを勘案して、できるだけ税金が低くなるポイントで決定します。
また、会社の成長を一番に考えるという場合、経営者の報酬はあえて少なめにして、その分、会社の営業活動などに使うお金を増やします。
そのほかにも、会社の経営や節税の観点から総合的に考え、税理士や会計士、コンサルタントなどと相談して決めることもあります。
いずれにせよ、大企業など株主と経営者である社長が別という状況ではない限り、経営者の年収は経営者が自由に決められるため、会社の今後のことも考えた上で慎重に決定するべきではないでしょうか。
経営者の年収は経営者自身の考えに基づいて決めている場合が多い
経営者の年収は、会社の規模や事業形態によって異なるものの、多くの中小企業の社長や個人事業主においては自身の考えによって決められているというのが実情です。
とはいえ、実務上、年収の決め方は経営者個人ごとに最適解が異なります。もし経営者の方で年収について迷ったときは、税理士など専門家へ相談して決定することをお勧めします。
執筆者:柘植輝
行政書士