残業が春から夏にかけて多い人は要注意? 残業代で気を付けることは?
配信日: 2022.05.13
本記事では、残業代が春から夏にかけて支払われた場合に気を付けておく点を解説します。残業するタイミングに気を付けておくと役立つ情報なので、ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
目次
春から夏にかけて残業代が払われるとどうなる?
残業代が春から夏にかけて払われると、それ以降の手取り収入が減ると考えておいてください。社会保険料に影響する標準報酬月額は、定時決定といって、春から夏に受け取る報酬を基にして決まります。
全国健康保険協会によれば、定時決定は「4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定」する制度と定義しています。
4月から6月の収入が残業代で増えると、標準報酬月額と一緒に社会保険料も上がります。結果として、4月から6月の残業代は手取りが減る原因となります。
残業が増えて手取りが実際に減ったらどうしたらいい?
もし社会保険料が値上がりして手取りが減っても、年末調整や確定申告を行えば、払い過ぎている社会保険料は還付されます。また、標準報酬月額の定時決定は4月から6月に受け取る報酬を基準とします。
そのため、実際に残業をコントロールするのであれば、4月から6月の給与に反映される「3月から5月」にかけて残業を調整するようにしましょう。
残業が増えたことによるメリットは?
残業が増えたことによるメリットもあります。残業が増えて標準報酬月額が増えると、以下の2点がメリットです。
・将来受け取る厚生年金の受給額が増える
・傷病手当金の受給額が増える
厚生年金は将来の老後生活に必要な収入として欠かせません。厚生年金保険料を納める額が多いと、老後に収入として受け取る額も増える期待がもてます。また、傷病手当金を受け取る場合も、標準報酬月額が多いとメリットです。
傷病手当金とは仕事を3日連続して休んだ場合に、4日目から準報酬月額の3分の2を30日で按分して支給する制度です。そのため、標準報酬月額が高ければ、受給できる傷病手当金も多くなります。
残業が4月から6月に増えて注意することは手取額が減ること
4月から6月に残業がかさんだ場合に、手取りが少なくなる影響について解説しました。残業代が標準報酬月額に影響して、社会保険料が値上がりするのは気を付けるべき点です。ただ残業をコントロールできない場合もあるので、極端な調整が必要な注意点でもありません。
手取りが少なくなることを悲観する人もいますが、年末調整や確定申告をすれば還付されるので安心してください。どうしても手取りが少なくて気になる場合は残業を調整しておくことが望ましいです。
出典
全国健康保険協会 標準報酬月額の決め方
全国健康保険協会 傷病手当金について
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー