更新日: 2022.05.24 年収

日本は貧しくなった…? サラリーマンの年収の推移

日本は貧しくなった…? サラリーマンの年収の推移
サラリーマンの平均年収が停滞しており、日本が貧しくなっているといわれることがあります。日本経済の停滞が騒がれる昨今、サラリーマンたちの年収はどのように変化しているのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

日本のサラリーマンの平均年収

日本のサラリーマンの平均年収と聞かれて、あなたは答えることができるでしょうか。国税庁の令和2年分民間給与実態統計調査によれば、1年間を通じて勤務した給与所得者の平均給与はおよそ433万1000円でした。
その前の年の令和元年分の平均給与は436万4000円でした。令和元年と比べ、平均給与が1%減少となったようです。
 

20年間の平均年収の推移

平成13年から令和2年分までの給与の推移としては、平成13年時点では454万円でした。20年前と単純に比較すると、4%ほど少なくなっています。では、途中の推移はどうでしょうか。平成13年から令和2年までの20年間の推移は次のように推移しています。
 

平均給与 対前年比の増減率
平成13年 454万円 -1.5%
平成14年 447万8000円 -1.4%
平成15年 443万9000円 -0.9%
平成16年 438万8000円 -1.1%
平成17年 436万8000円 -0.5%
平成18年 434万9000円 -0.4%
平成19年 437万2000円 0.5%
平成20年 429万6000円 -1.7%
平成21年 405万9000円 -5.5%
平成22年 412万円 1.5%
平成23年 409万円 -0.7%
平成24年 408万円 -0.2%
平成25年 413万6000円 1.4%
平成26年 415万円 0.3%
平成27年 420万4000円 1.3%
平成28年 421万6000円 0.3%
平成29年 432万2000円 2.5%
平成30年 440万7000円 2.0%
令和元年 436万4000円 -1.0%
令和2年 433万1000円 -0.8%

※国税庁 「民間給与実態統計調査」を基に筆者作成
 
途中増減を繰り返しながら、直近10年ほどは400万円台前半で推移しています。
 

果たして本当に日本は貧しくなったのか

貧しくなったという言葉の定義にもよりますが、仮に「自由に使えるお金が減ってしまった」ことを貧しいと考えるのであれば、日本はこの20年で貧しくなっているといえます。消費税は5%から10%へ2倍になり、厚生年金保険料は13.934%から18.3%まで引き上げられるなど、税負担や給与から控除される社会保険料などは確実に増えています。
 
こうした税負担や社会保険料の増加などにより、同じ収入でも実質的な手取り・可処分所得が減っていることを考えると、相対的に貧しくなっているとも考えられます。
 
実際、国民の所得と税金・社会保険料の負担割合を示す国民負担率は平成13年には36.5%だったものが、令和2年度の実績は47.9%になっています。令和3年度の実績見込みでは48%になる見込みです。少子高齢化による医療費の増大や現役世代の減少に伴う税収減などを考えると、今後国民負担率が大きく下がることは期待できないでしょう。
 

物価高の追い打ちによる貧しさも

また、現在の日本においては物価高も無視できません。2022年に入って電気やガス、ガソリンといった光熱費や燃料、トイレットペーパーなど生活必需品が既に値上げされています。また、小麦価格の値上げなども発表されているなど、食品含め全体的な物価の高騰が驚異的なスピードで進んでいます。
 
今後このようなスピードで物価高が進んでいくと、食料や生活必需品の購入すらためらうようになり、本格的に貧しいと感じる人たちが増えていくことでしょう。
 

まとめ

日本は現状、平均給与が伸び悩んでいる状態にあります。その中で、国民負担率は50%近くにも上り、物価高による支出の圧迫もあり、自由に使えるお金という観点からは日本は貧しくなっているともいえます。
 
ただし、貧困にあえぐ途上国と比べると、平均的な日本人はまだまだ裕福といえます。とはいえ、今後もこの状況が続くと、日本においても貧しいと感じ、貧困にあえぐ人が増えていくかもしれません。
 

参考

国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
国税庁 平成21年分民間給与実態統計調査
厚生労働省 厚生年金保険料率の引上げが終了します
国税庁 国民負担率(対国民所得比)の推移
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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