更新日: 2022.06.01 年収

4~6月の給与で「標準報酬月額」が決まる? どんなことに影響がある?

4~6月の給与で「標準報酬月額」が決まる? どんなことに影響がある?
「標準報酬月額」という言葉をご存じでしょうか? 標準報酬月額とは、どのようなものか、何に使われるのか、どのように計算されるのかを解説します。
 
また、この標準報酬月額が4月から6月の給与が関係してくるというのはどういうことなのか、確認してみましょう。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

標準報酬月額とは? どうやって決まるの?

標準報酬月額とは、社会保険料の計算のため、報酬月額の区分ごとに設定されている計算用の金額のことです。この区分は、毎年4月から6月の3ヶ月間の給与の支給額に基づいて決定され、基本的に同年の9月から翌年の8月まで1年間使用します。
 
また標準報酬月額は、被保険者の標準報酬月額に基づいて年金事務所が決定します。標準報酬月額の決定のタイミングには下記の3つがあります。
 

1.資格取得時の決定

事業主は、従業員を雇用したときに就業規則や労働契約などの内容に基づいた報酬月額を届出して、このときに標準報酬月額を決定します(資格取得時の決定)。
 
その際、基本的に1月から5月に資格取得した場合、同年の8月まで使用し、6月から12月に資格取得した場合は、翌年の8月まで使用します。
 

2.定時決定

取得後は毎年1回、4月~6月の3ヶ月間に支払われる報酬月額のうち、支払いの基礎となる日数が17日以上であるもので算定されます。使用期間は、同年の9月から翌年の8月までです。
 

3.随時改定

被保険者に払われる報酬月額が大幅に変動した場合に、事業主からの届出に基づいて標準報酬月額を改定します。1月から6月までに改定された場合は同年の8月まで使用し、7月以降に改定された場合は翌年の8月まで使用します。
 
これは、固定的賃金に変動があり、継続した3ヶ月間に支払われた報酬総額を3(ヶ月)で除した額の標準報酬月額を従前と比べてみて、2等級以上の差が生じたときに改定します。これは、定時決定まで標準報酬月額を決め直さないと実態と大きくかけ離れるための措置です。
 

標準報酬月額の算定の基礎となる「報酬」って何が対象になるの?

標準報酬月額の対象となる報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものを含みます。また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。
 
ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与など一部の対価については、報酬に含みません。
 
【表1】


 

パートタイマーの場合は算定方法が異なる

パートタイマーの場合は、1ヶ月の労働日数によって算定方法が変わってきます。
 
【表2】


 

まとめ

標準報酬月額の算定の基礎となる報酬は、税金の計算とは若干異なる部分がありますので紛らわしいですね。
 
よく、「この時期は残業等を控えて標準報酬月額額を下げる」といった話がありますが、将来受け取る年金額の計算のもとにもなるものですので、あまり気にしないほうが良いのかもしれません。
 

出典

日本年金機構 算定基礎届の記入・提出ガイドブック
日本年金機構 Q 標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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