更新日: 2022.07.27 年収

高年収でも結局「損」!? 実際「お得な年収」っていくらなの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

高年収でも結局「損」!? 実際「お得な年収」っていくらなの?
多くの人があこがれる高年収。日本では、高年収とされる年収1000万円以上の人は、全体の4.6%に過ぎません。しかし、わずか上位4.6%に入っても税負担が増えたり、公的支援が受けられなかったり、損をすることが多々あります。
 
高年収が損をする理由はなんでしょうか?最も「コスパ」のいい年収の水準とはどの程度でしょうか。
FINANCIAL FIELD編集部

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高年収が損をする理由

サラリーマンであれば、高い年収を目指して業務に励む人も多いですが、年収が高いことで損をする場合もあります。したがって、高年収=豊かな生活ができるとは限りません。年収が高いことで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
 

所得税が上がる

日本では、所得が高いほど所得税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。最低税率5%、最高税率45%であり、所得が高いと税金が一気に上がります。
 
図表1

課税対象額 所得税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 9万7500円
330万円超695万円以下 20% 42万7500円
695万円超900万円以下 23% 63万6000円
900万円超1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超 45% 479万6000円

国税庁 「所得税の税率」を基に筆者作成
 
例えば、年収190万円であれば、所得税は190万円×5%=9万5000円です。しかし、4010万円であれば、4010万円×45%-479万6000円=1365万4000となり、実に年収の3割以上が税金で引かれます。
 

給与所得控除額が小さくなる

「給与所得控除」とは、フリーランスの必要経費に類似したもので、1年間の給与に応じて差し引かれる控除です。年収が高いほど給与所得控除額が小さくなります。
 
図表2

収入金額 給与所得控除額
162万5000円以下 55万円
162万5000円超180万円以下 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

国税庁 「給与所得控除」を基に筆者作成
 

児童手当を受給できない

「児童手当」とは、児童を養育する保護者に対して、児童が中学校を卒業するまで行政から支給される手当です。支給額は児童の年齢に応じて、1万円から1万5000円です。
 
中学校卒業までに1人当たり200万円が支給される制度であり、子育て世帯には貴重なお金です。しかし、2020年の閣議で、「2022年10月」から世帯主の年収が1200万円程度を上回る世帯に対して、児童手当が支給されないことになりました。
 

基礎控除がなくなる

「基礎控除」とは、確定申告や年末調整で所得税額を計算する時に、全ての納税者を対象に差し引くことができる所得控除を指します。この基礎控除額は年収が高いほど小さくなり、一定額を超えるとゼロになります。
 
図表3

納税者本人の合計所得金額 控除額
2400万円以下 48万円
2400万円超2450万円以下 32万円
2450万円超2500万円以下 16万円
2500万円超 0円

国税庁 「基礎控除」を基に筆者作成
 
たいていの人は48万円ですが、合計所得金額が2500万円を超えると基礎控除がなくなります。
 

公的支援制度が受けられない

マイホーム購入や教育費といった人生における高い買い物をする時に受けられるさまざまな公的支援制度が受けられなくなります。


・就学支援金
・東京都の給付型奨学金
・日本学生支援機構の奨学金
・国の教育ローン
・すまい給付金

上記の制度はいずれも所得制限が設けられています。年収が高いと、税金の負担が大きくなり、政府の支援も受けられなくなります。
 

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お得な年収の条件とは?

年収が高いと税金が上がったり、公的支援を受けられなくなったり、不利に扱われることがあります。しかし、そもそも年収が低いと手元に残るお金が少なくなり、余裕のある生活を送ることができないでしょう。
 
税負担が少なく、公的支援が受けられるが、手元にお金がある程度残る「コスパのいい年収」の条件とはなんでしょうか。
 
結論からいえば、家族構成やライフスタイルによって異なります。ただ、年収600万円程度が「コスパがいい」とされることが多いようです。
 
例えば、年収600万円で、課税所得額が330万円であれば、所得税率は10%で済みます。累進課税で所得税が10%から20%に上がるボーダーラインのギリギリといえます。
 
児童手当を始めとして、所得制限を1000万円強に設定している教育や住宅関連の支援制度も受けられます。扶養控除等のさまざまな控除を活用すれば、手元に残るお金はさらに増えます。
 

一番お得な年収

600万円を例に、最適な年収について考えてみましょう。
 
事例:4人家族(夫、妻、子供2人)
4人家族の場合、夫婦のうち最も稼ぐ人の年収が600万円であることが理想です。年収が600万円で各種控除を差し引いて、課税対象額が330万円以内であれば、所得税と住民税が10%で済みます。
 
配偶者控除も問題なく受けることができます。児童手当は、所得制限の限度額を超えていませんので、1人につき1万円から1万5000円が支給されます。
 
ただし、この場合、配偶者の年収は103万円に抑えましょう。103万円を超えると、パート代に所得税が課税され始めます。「稼ぎ頭が600万円、配偶者が103万円」とすれば、最適な年収といえるでしょう。
 

出典

国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
内閣府 児童手当制度のご案内
日本生命 児童手当の見直し
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 家族と税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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