更新日: 2022.09.08 年収

年収に株式の配当金は含まれる? 配当金の確定申告の必要性

年収に株式の配当金は含まれる? 配当金の確定申告の必要性
「貯蓄から投資へ」の流れの中で、株式投資を始める人が増えています。
 
配当金のある株式に投資をすると、配当金を受け取ることができます。「この配当金が年収に含まれるのか」についてよく理解していない人も多いかもしれません。もしも年収に含まれるのであれば、会社員の給料と同様に、税金や社会保険料が引かれているはずです。
 
「税金を追加で支払う必要があるのか」という問題を理解するためには、年収と配当金の関係を知っておく必要があります。
 
この記事では、年収と配当金の関係や、配当金を受け取った場合に確定申告の必要があるのか、について解説します。
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年収と配当金の関係

会社員として働きながら株式投資をしている場合、給与と配当金を受け取っている方もいるでしょう。「年収」に会社員の給与が含まれることは容易に想像できますが、配当金は年収に含まれるのでしょうか?
 
結論からいうと、配当金も年収に含まれます。
 
これを理解するためには、「年収」「所得」「配当所得」という言葉を理解しておく必要があります。
 

年収と配当金

一般的に「年収」というときには、会社員の給与に関連した文脈で語られます。
 
年収とは、1月1日から12月31日の1年間に支払われる総支給額です。総支給額から、社会保険料や所得税・住民税などの税金を差し引いた金額が手取りです。したがって、年収は税金などが引かれる前の基本給や残業代、ボーナスなどの総額を指します。
 
年収には、会社員としての給与以外にもさまざまな収入が含まれます。
 
税法上では、「年収」ではなく「所得」という言葉を使います。年収から給与所得控除額を差し引いた額が、「所得」になります。税法上、所得に区分されるものは10種類あります。

・給与所得
・事業所得
・利子所得
・配当所得
・譲渡所得
・不動産所得
・一時所得
・退職所得
・山林所得
・雑所得

このように、配当所得は所得の種類の一つであり、配当金は年収に含まれることが分かります。継続的に配当収入がある場合、年収に含めることができます。
 

配当所得とは?

配当所得とは、株式会社などから受け取る剰余金や利益の配当です。株式を購入すると、利回りにしたがって配当金を受け取ることができます。
 
配当所得は、以下の計算方法で計算されます。

配当収入(源泉徴収税額を差し引く前の金額)-株式などを取得するための借入金の利子=配当所得の金額

ちなみに「借入金の利子」とは、株式を購入するために借金した場合の利子を指します。
 

配当金と確定申告

配当金に確定申告は必要なのでしょうか? 確定申告とは、1月1日から12月31日までの収入から必要経費を差し引いて、所得を計算し、税金を納める手続きです。
 
会社からの給与収入しかない人は、会社が源泉徴収してくれるので確定申告は不要ですが、給与以外に配当金の収入がある場合には、どうなるのでしょうか?
 

配当金にかかる税金

株式の配当金を受け取ると、税金がかかります。税率は20.315%であり、内訳は所得税15.315%、住民税5%です。
 
給与の場合、累進課税制度が採用されており、所得に応じて税率が決まっています。しかし、配当金の場合には一律で20.315%の税金が課税されます。
 

配当金に確定申告は必要か?

配当金の確定申告は原則として不要です。株式を購入するときや証券口座を開設するときに、「源泉徴収あり」か「源泉徴収なし」を選ぶことができます。
 
源泉徴収とは、配当所得にかかる税金を証券会社が差し引くことをいいます。「源泉徴収あり」を選択すれば、配当金の支払時に税金が源泉徴収されるので、確定申告をする必要がないのです。面倒な確定申告の手続きを省略するためには、「源泉徴収あり」を選択するとよいでしょう。
 

配当金を確定申告すべきケースとは?

証券口座を開設するときに「源泉徴収なし」を選択すると、税金の管理は自分で行わないといけません。ただし、この場合でも、会社員としての本業の収入以外の収入が20万円未満の場合には、確定申告が不要です。また、NISAなど少額非課税制度を活用している場合にも、税金の申告が不要になります。
 
配当金などの収入が20万円以上の場合で、「源泉徴収なし」を選択しているときには、確定申告をする必要があります。
 
では、配当金を確定申告するメリットはなんでしょうか?
 

損失が出ている口座がある場合

複数の証券口座を持っていて、損失が出ている口座があるときに、利益が出ている口座と損益通算ができます。損益通算によって、利益から損失を差し引いて、かかる税金の金額を下げることが可能です。
 
例えば、A証券で10万円の譲渡損益、5万円の配当所得がある一方で、B証券で40万円の譲渡損失、10万円の配当所得があると仮定しましょう。
 
このときにA証券では25万円の利益があるので、5万787円の税金がかかります。一方でB証券では、合計で30万円の損失があるので、税金はかかりません。これを損益通算すると、合計で5万円の損失となり、税金がかかりません。
 
このように、利益が出ている証券口座の税金を取り戻したい場合には確定申告をします。
 

本業の収入が低い場合

配当所得にかかる税金は20.315%ですが、「源泉徴収あり」を選択すると、総合課税にすることができます。総合課税では、累進課税制度が採用されているため、所得が多いほど税率も高くなります。
 
配当所得を総合課税で申告すると、配当控除が受けられるので、税率は7.2%以上になります。所得税率と、控除された税率分の差額の還付が受けられるので、所得が一定以下の会社員は確定申告をしたほうがいいかもしれません。
 

まとめ

この記事では、主に年収と配当金の関係について解説しました。
 
株式などの配当金は年収に含まれるので、確定申告が必要になります。ただし、証券口座の開設時に「源泉徴収あり」を選択すれば、確定申告は不要となります。
 
ほかに損失が出ている口座がある場合や、本業の収入が少ない場合にはあえて、「源泉徴収なし」を選択することも検討しましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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