更新日: 2022.09.26 年収

片働き年収1000万円・共働き年収1000万円の手取りの違い

片働き年収1000万円・共働き年収1000万円の手取りの違い
「年収1000万円」は多くの人にとっての憧れであり、目標でもあるのではないでしょうか。ただ、お分かりのように「年収」1000万円とは、そのまま使える1000万円が手元に入るわけではありません。1000万円から社会保険料や税金が天引きされた残額が支払われます。
 
では、ここで1つ気になりませんか。片働きの年収1000万円と共働きの年収1000万円、手取り額が全く同じとは思えません。今回は、片働きと共働きの年収1000万円の手取りの違いについて説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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所得税は高収入ほど割高になる

給与からは次の金額が天引きされています。

●健康保険料
●厚生年金保険料
●介護保険料(40歳誕生月から)
●雇用保険料
●所得税
●住民税

なお、会社によっては社宅代や財形貯蓄などが天引きされる場合がありますが、それは個別的な項目であるためここでは考慮しません。このうち所得税については、「累進課税制度」と「給与所得控除」が手取り額を考える上でのポイントになります。
 
累進課税制度とは、収入が高い人ほど高い税率が適用される仕組みのことで、所得税の場合は最低税率5%から最高税率45%まで段階的に設定されています。また、給与から差し引かれる「給与所得控除」も年収850万円超からは一律の金額となっています。つまり、年収が高い人ほど所得税が割高になるような計算方法になっているのです。
 

片働きと共働きの手取り額の違い


 
それでは「片働き年収1000万円」の場合と、「共働きで年収500万円ずつの世帯年収1000万円」の場合で、手取り額の違いを具体的に計算してみましょう。いずれも、ボーナスなし、東京都在住、40歳未満で介護保険料なし、所得控除は社会保険料控除、配偶者控除、基礎控除のみと仮定します。
 

片働き年収1000万円の手取り額

夫もしくは妻の片働きで年収1000万円の場合は図表1の給与天引き額となり、手取り額は743万円になりました。
 
図表1

年収 社会保険料(千円未満切り捨て、以下同じ) 所得税 住民税 手取り額
1000万円 120万円 77万円 60万円 743万円

筆者作成
 

共働き年収1000万円の手取り額

次に、夫と妻が年収500万円ずつの世帯年収1000万円の場合の手取り額を計算します。計算条件は上と図表1の場合と同様ですが、共働きで年収500万円のため「配偶者控除」はありません。この場合、2人合わせての手取り額は786万円となります。
 
図表2

年収 社会保険料 所得税 住民税 手取り額
夫:500万円 69万円 14万円 24万円 393万円
妻:500万円 69万円 14万円 24万円 393万円
1000万円 138万円 28万円 48万円 786万円

筆者作成
 

手取り額は共働き年収1000万円の方が43万円多い

今回の計算では、片働きの手取り額は743万円、共働きでは786万円となり、共働きの方が43万円多い結果となりました。社会保険料については、標準報酬月額65万円以上は厚生年金保険料が一律になる点から片働きの方が少ない結果となりましたが、やはり累進課税制度である所得税の差が49万円と圧倒的であることから、手取り額43万円の差に直結しました。
 

共働き年収1000万円の方が現実的かつ効率的

国税庁が公表している「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のうち年収が1000万円を超えている人はわずか4.6%となっており、限られた人のみが到達できる領域であることが分かります。
しかし、共働きで世帯年収1000万円であれば実現性は上がる上に、手取り額も片働きより50万円近く増えることから効率的とも言えるでしょう。
 

まとめ

片働きと共働きで同じ年収であれば、所得税の累進課税制度が大きく影響することによって、共働きの方が手取り額は多くなります。片働きか共働きかを迷っている方は、手元に残せる金額も考慮して検討すると良いでしょう。
 

出典

国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1410 給与所得控除
東京都主税局 個人住民税
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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