うれしい? 実は迷惑? 社会保険の適用拡大に関する派遣社員たちの本音とは
配信日: 2022.10.13
基準を満たしたパート・アルバイトなどの人の社会保険の加入が段階的に義務化されるというものですが、「自分が対象かどうか分からない」「勤め先から通知が来て手続きをした」という人など、さまざまいらっしゃるのではないでしょうか。
適用拡大が始まる直前の8月に行われたエン・ジャパン株式会社の調査結果から、世間の本音を探ってみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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社会保険の適用拡大、いまだに知らないという人が半数!
この調査は、『エン派遣』の利用者(有効回答数:3256名)を対象に行われたもの。10月から社会保険の適用拡大がスタートすることを知っている人は、全体の54%でした。裏を返せば、半数近くの人は知らないという状況。全員が対象になるわけではないものの、それでもこの認知度というのは果たして高いのか低いのか……といったところですね。
厚生労働省によると、2022年10月から適用されるのは「従業員数101人以上の企業で働くパート・アルバイト」の人。2年後の2024年10月からは、「従業員数51人から100人の企業で働くパート・アルバイト」にも適用が拡大されます。
●週の所定労働時間が20時間以上
●月額賃金が8.8万円以上
●2ヶ月以上の雇用の見込みがある
上記の条件を満たした学生以外のパート・アルバイトの人で、勤め先から何の通知もないという場合は、念のため確認しておいた方が良さそうです。
手取りが減る? 社会保険の適用拡大、迷惑に感じている人も
社会保険に入るとなると、年金が充実したり、出産手当金がもらえたりなどメリットも多いもの。しかし、毎月保険料が天引きされるなど目に見える変化が気になるという人もいるようです。実際のところ、どう考えている人が多いのでしょうか。
【社会保険に入ることはあなたにとって良いこと?迷惑なこと?】
1位:良い 46%
2位:どちらかと言えば良い 40%
3位:どちらかと言えば迷惑 12%
4位:迷惑 3%
90%近い人が好印象という結果に。しかし、はっきり迷惑と回答している人が3%、そしてどちらかと言うと迷惑と感じている人が12%いるという事実もあります。
社会保険に入れることを歓迎している人が「期待していること」トップ3は、以下のとおりです。
【社会保険への加入で期待すること トップ3】(複数回答)
1位:将来受け取る年金の増額 69%
2位:傷病手当金・出産手当金などの給付 65%
3位:月収や年収の上限額を気にせず働く 32%
やはり年金や健康保険面でのメリットを期待している人が多いことが分かります。保険料を納めるのであれば、それ相応の見返りがないと納得できませんからね。
いっぽうで、社会保険の加入義務を迷惑に思っている人の具体的な理由としては、以下のようなものがありました。
●扶養内で働き続けたいから。扶養内で働ける求人が少なくなる恐れがある。
●引かれる額が大きく、手取り給与が少なくなり生活が困窮するから。
●派遣社員だと、退職ごとに手続きが必要になるので面倒だから。
迷惑に思う理由を大きく分けると、「扶養の範囲内で働きにくくなる可能性がある」「手取りが減る」「手続きが面倒」の3つになりそうです。
中でも「手取りが減る」という事実については、「引かれる金額が決して少額ではないため、仕事量と収入が割に合わなくなる」「加入前と同じ手取りを維持するために勤務時間を増やさないといけない」といった切実な声が寄せられました。
また、手続きに関しては「夫の会社での手続きが必要なのが申し訳ない。もし短期で辞めた場合、何度も会社に迷惑がかかる」といった声も上がっています。
実際に今月から新たに社会保険に加入予定の人は、働き方を変えようと思っているのでしょうか。
【社会保険の適用拡大をきっかけに働き方で変えたこと・変えようと思っていること トップ3】(複数回答)
1位:勤務時間 49%
2位:勤務日数 36%
3位:時給/給与 26%
(「特にない 34%」除く)
この回答を見る限り、やはり勤務日数・時間を増やして加入前の手取りを維持したいと考えている方が多いのでしょうか。思い切って扶養から外れてガンガン働こうという人もいるかもしれませんね。いっぽうで、社会保険の加入対象から外れるために勤務時間や給料を減らすという選択も考えられそうです。
いずれにせよ、社会保険の加入義務が発生したことでメリットもあればデメリットもあるということがよく分かる結果になりました。段階的な適用が始まり、今後世間の捉え方がどう変わるかにも注目です。
出典
エン・ジャパン株式会社 社会保険の適用拡大についてのアンケート調査
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部