フリーターとフリーランスは同じ? 年収から見る共通点と相違点を解説

配信日: 2022.10.18

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フリーターとフリーランスは同じ? 年収から見る共通点と相違点を解説
フリーランスの人口が増えています。インターネットを通じて不特定多数に仕事を発注するサイトを運営する事業の国内大手、ランサーズ株式会社が実施した「新・フリーランス実態調査2021-2022年版」によると、副業を含めたフリーランスの人口は1577万人に達しました。2020年1月の調査では約1062万人だったことから、大幅に増えたことが分かります。
 
名前が似ているため、フリーランスの増加について、1980年代に登場した「フリーター」と混同している人がいますが、フリーターとは明確に異なる点もあります。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

フリーターとフリーランスの共通点

フリーターとは、1980年代から用いられ始めた「フリー・アルバイター」の略語です。これに対し、フリーランスは、用いられ方がまだ確定しているといえません。
 
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会(フリーランス協会)がまとめた「フリーランス白書2022」によると、フリーランスは「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義づけるとともに、「雇用ではなく、業務委託・自営で働く」「会社の看板ではなく、自分の名前で働く」と働き方の特徴を挙げています。
 
フリーターとフリーランスの主な共通点は、3つあります。
 

働き方の自由度が高い

フレックス制や時差出勤などが浸透してきてはいますが、会社員は基本的に毎週同じ曜日に、毎日同じ時間働くことが多いです。しかしフリーターやフリーランスであれば、働く時間を自分で決めることができます。自分が集中しやすい・働きやすい時間に勤務をしたり、早めに仕事を切り上げて子どもの送り迎えなどの用事を済ませたりといったことも可能です。
 

平均年収

フリーターのおおよその年収は、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、フリーターを含む「正社員・正職員以外」の平均年収は約260万円です。なお「正社員・正職員以外」とは、常用労働者のうち、正社員や正職員と呼ばれている人以外となるため、アルバイトやパートタイマー、嘱託などが含まれています。
 
フリーランスのおおよその年収は、フリーランス協会の「フリーランス白書2022」によると、過半数が400万円未満、2割以上が200万円未満となっています。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると平均年収は約369万円となるため、過半数は平均年収に近いか、それ以下の収入となります。
 

収入が安定しにくい

フリーターやフリーランスは基本的に収入が不安定です。フリーターの場合、多くは時給制のため働いた分しかお金がもらえず、昇給することがあっても、正社員の昇給と比べると低めといえます。また勤務先との契約が終了すると次の働き先がなければ収入がなくなってしまいます。
 
なお、フリーターも正社員と同じように1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険に加入します。もし勤務先から契約が終了となった場合、条件を満たしていれば自分が住んでいる地域のハローワークで手続きすることで、雇用保険の基本手当(失業手当)を受給できます。
 
フリーランスの収入は成果報酬になることが多いため、フリーター程ではありませんが働いた分しか収入にならないことが多いです。仕事の量は市況やクライアントの状況などによって変化するため、収入は安定しません。
 
なお、コロナ禍によって、フリーランスの数が増えるようになりました。働く時間や場所を自分で選択できるため、自分に合った働き方をする人が増えたと考えられます。ただし、コロナ禍の影響で、取引先の業務縮小などによって取り引きが停止したことで、収益が減少している人も多いのが現状です。
 

フリーターとフリーランスの相違点

フリーターとフリーランスには2つの相違点があります。
 

収入の上限

フリーターの場合、少しの昇給はあるものの、正社員のような昇進がないため大きく収入が増える見込みは少ないと考えられます。そのため、フリーターとして収入を上げるには、勤務時間を増やす方法や、仕事を掛け持ちする方法以外にありません。
 
一方で、フリーランスは自分次第で収入を増やすことができます。始めた当初は、時給換算すると最低賃金以下になってしまう場合もありますが、成果が出るにつれて収入も増えていきます。
 

身につくスキル

フリーターの仕事は一般的に専門性が少ないものが多く、また責任においても監督する立場である正社員が担当することが多いため身につくスキルは少ないといえます。ただし、働いている場所でのスキルは身につくため、そのまま正社員登用を目指したり、身に着けたスキルを生かせる職種に就いたりすることは可能です。
 
フリーランスでも、専門性の高くない業務を行っている人もいれば、自分の持っているスキルを生かして専門分野に従事する人もいます。ただ、フリーターと比べると専門性や業務に必要なスキルは高めになるでしょう。フリーランスの場合、自分自身でスキルアップしていくことで、さまざまな領域で活躍することができるでしょう。
 

フリーランスとフリーターは相違点が大きい

身につくスキルや収入の上限を比べると、フリーランスとフリーターは異なる点があるといえます。どちらも会社員などと比べると働き方の自由度が高いという共通点はありますが、平均年収や安定性などデメリットととれる箇所もあります。本記事で紹介したフリーターとフリーランスそれぞれの違いを踏まえ、自身にとって最適な選択を行いましょう。
 

出典

ランサーズ株式会社 新・フリーランス実態調査 2021-2022年版
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 フリーランス白書2022
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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