更新日: 2022.10.22 年収
【残業は平均123時間!?】教師の仕事は「業務外の仕事」が多い!?長時間労働を減らすにはどうすればいい?
一体、どうして日本の小中学校の教員は激務をこなさなければならないのでしょうか。また、どのような業務をしているのでしょうか。この記事では、日本の公立学校教員の労働環境について、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「過労死ライン」を超えて働く教員! 残業代も不十分
総務省によると、小中学校の教員の平均給与月額(給料と諸手当の合計)は、40万9427円、市区町村の教員の賞与は4.45ヶ月分でした(2021年度)。
ここから小中学校の教員の平均年収を計算すると、約673万5000円です。一般労務職や技能労務職の公務員より年収は高いにもかかわらず、積極的になりたいと考える人は減っていることがうかがえます。
小中学校教員の人材が不足している原因の一つに挙げられるのが、勤務時間の長さです。
2018年にOECD(経済協力開発機構)が加盟する48カ国・地域を対象に行った調査によると、日本の小中学校教員の、1週間当たりの仕事時間は小学校が54.4時間、中学校が56時間で、加盟国の中で最長となりました。教員の勤務時間の長さはかねてより社会問題になっていて、改善が求められていました。
しかし、連合系のシンクタンク、連合総研が2022年9月に公表した調査結果によると、公立学校教員の残業時間は1ヶ月当たり平均123時間で、「過労死ライン」といわれる月80時間を大きく上回っていることが分かっています。中には、自由に休みが取れないと悩む教員もいるようです。
公立学校教員は、残業代が出ません。その代わり、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」で給料の4%に当たる額を上乗せすることが決められています。
この「4%」というのは8時間分の残業代を計算したものだそうですが、実際にはその15倍以上の時間、残業をしているのです。
日本の教員の残業時間が長い原因
それでは、小中学校教員はどうして勤務時間が長いのでしょうか。先ほどのOECDの調査結果で、1週間当たりの授業時間を見てみると小学校教員は23時間、中学校教員は18時間、加盟国の平均が20.3時間で、日本の教員が突出して多いわけではありません。
日本の教員が加盟国の平均よりも顕著に多かったのは、「事務業務」で加盟国の2倍近い時間を割いていることが分かりました。「授業計画」や「準備」についても加盟国より2時間近く多くなっています。
また、中学校教員については「課外活動」に割く時間が突出して長く、7.5時間でした。加盟国の平均が1.9時間だったことを考えると、実に4倍近い時間を割いていることになります。
教員の負担を減らすことが欠かせない
また、小中学校が課題だと感じることとして、「支援職員の不足」や「特別な配慮を要する子どもを指導できる教員不足」を挙げています。この、「特別な配慮を要する子ども」については、1993年と2006年を比べても小学校で3.3倍、中学校で5.7倍と大きく増えています。
子どもの数が減っているのにもかかわらず配慮を要する子どもが増えているということは、それだけきめ細かい指導・対応が求められているということでしょう。
また、グローバル化・ICT化の推進により、小学校でも英語教育やプログラミング教育を行うようになりました。時代が変わり、多様な業務をこなさなければならないのに教員の数が変わらなければ、負担は増えます。
このような負担や長時間労働を減らすには、教育に関わる人材を増やしていくことが求められているのではないでしょうか。
長時間労働を減らすために求められる取り組み
すでに小学校については教職課程を修了しなかった社会人が「教員資格認定試験」で2種免許状を取得することができるようになりました。また、部活動についても教師ではなく、地域の人に担ってもらう方向で検討が進められています。
より多くの人が教育活動に関われるように調整していくことで、教員の負担や長時間労働を減らすことができるようになるかもしれません。
出典
連合総研 連合総研シンポジウム 子どもたちと向き合う時間のために
文部科学省 我が国の教員の現状と課題 –TALIS 2018結果より–
国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research OECD国際教員指導環境調査(TALIS)
総務省 地方公務員の給与水準
中央教育審議会 教職員をめぐる状況
文部科学省 学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部