「パワーカップル」&「年収差が少ない」夫婦はどのくらいの割合存在する?
配信日: 2022.10.24
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
パワーカップルの定義は?
パワーカップルの定義には諸説ありますが、多くの場合、夫婦ともに年収700万円以上や1000万円以上など、平均よりも高い収入を有する場合に使われています。本記事内ではパワーカップルを、夫婦ともに年収700万円以上の場合と定義して考えていきます。
パワーカップルはどれくらいいる?
総務省が2021年に行った労働力調査の結果によれば、夫婦のいる世帯2845万世帯のうち、夫婦ともに年収700万円以上であるパワーカップルは31万世帯となっています。割合としては、わずか1%ほどです。
図表1
総務省 2021年労働力調査より筆者作成
妻と夫ともに年収500万円未満の世帯が825万世帯とおよそ30%近くを占めることを考えると、パワーカップルがいかに少数派であるかが実感できます。
夫婦間の年収差が少ないパワーカップルの割合は?
それでは、夫婦ともに年収が高いだけではなく、夫婦間の年収差が少ないパワーカップルの割合はどれくらいなのでしょうか。ただでさえ1%ほどしか存在しないパワーカップルのうち、年収差も少ない場合となると、相当少なくなることが想定されます。
前述の2021年の労働力調査では、夫婦ともに年収700万円から999万円の世帯は15万世帯、夫婦ともに1000万円から1499万円の世帯は3万世帯、夫婦ともに1500万円以上の世帯は2万世帯と、合計20万世帯となりました。ここから計算すると、年収差の少ないパワーカップルは全体のわずか0.7%と非常に少数です。
パワーカップルなら生活にゆとりがある?
パワーカップルなら生活にゆとりがあるかといえば、必ずしもそうとは限りません。年収が高いがゆえに子どもの教育や居住費にお金をかけており、生活に余裕がないという世帯もあるようです。
また、児童手当や各種教育の無償化といった教育支援策においては、金額が減額されたり対象外とされたりするなど、パワーカップルは国や行政からの支援が薄くなることもあります。日本の税制は累進課税のため、年収が高いほど所得税や健康保険など各種の税率や負担額も高くなり、額面ほど手取りは残りません。
そのため、一般的に想像しているものより、案外パワーカップルの生活はカツカツなのかもしれません。
パワーカップルとなるには?
パワーカップルを目指すのならば、基本的には夫婦ともに正社員で年収の高い職業などに就く必要があるでしょう。現実のパワーカップルの職業を考えると、公務員や大手企業の本社勤務、医師や弁護士といった士業などが想定されます。その他には経営者や会社役員、自営業などもあり得るでしょう。
いずれにせよ、年収差の少ないパワーカップルとなるには、それぞれが平均年収の高い職種に就けるような状況に持っていかなければなりません。
年収差の少ないパワーカップルの割合はおよそ0.7%
妻と夫の年収差が少ないパワーカップルはおよそ0.7%程度と、夫婦のいる世帯のうちごくごく一部です。憧れる方も多いかと思われますが、パワーカップルになれば必ずしも生活が豊かになるというわけでもありません。いざそうなれたとしても、仕事が多忙になり家族の時間が取れなくなるなど、予想しなかった問題が発生する可能性もあります。
パワーカップルに憧れを抱く夫婦においては、いま一度、そうなることが自分たちにとって真に幸せにつながるのか、じっくり考えてみてもよいかもしれません。
出典
総務省 労働力調査 V-1表(2021年)
執筆者:柘植輝
行政書士