更新日: 2022.11.02 年収
江戸時代の「飛脚」のお給料って?必要なスキルは?どんな風に働いていたの?
時代劇を見た際にも、さまざまな人が歩いている中で、長い棒に荷物を結んだ状態で肩にかついで走っている飛脚の姿を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
今回は、江戸時代では欠かせない配達手段である飛脚のスキルや働き方、年収などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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飛脚になるには?
飛脚といえば、町人に依頼された仕事を引き受けるというイメージがある人は多いかもしれません。しかし実際には、3種類の飛脚が存在していました。
・3種類の飛脚
継飛脚(つぎびきゃく)ともいわれる「公用飛脚」は江戸幕府専用の飛脚で、運んでいたのは重要文書など公用書類です。
「大名飛脚」は大名に雇用されていた飛脚で、大名が江戸(あるいは自国)にいるときにもう一方と連絡をする役割をしていました。
「町飛脚」は公用飛脚や大名飛脚のように足で運ぶタイプもいましたが、荷物を運ぶ役「宰領(さいりょう)」が「馬方(うまかた)」を各宿場で乗り換えて運ぶタイプもあります。
馬方は馬に荷物をのせて運ぶ職業の人です。馬の両側に荷物をかけ、馬方が馬を引いてくれるため、宰領は馬に乗って荷物を無事に届けるまでの責任を持つという役割をしていました。
・飛脚に必要なスキル
馬車を使った町飛脚ではなく、足を使って運ぶ公用飛脚や大名飛脚の場合、健康で体力があることが重要でした。
宿場と宿場の距離は約8~12キロメートル程度だったので、1人で走る距離も同程度であったと考えてもよいでしょう。それだけの距離を走り続けなければならないため、体力があることは必須です。
また、飛脚は「ナンバ走り」という特殊な走り方をしていたとされます。体をあまりひねらないようにする走り方で、長時間走っても疲れにくく、坂道や階段などを上るのも楽だとして現代でも注目されています。
飛脚の収入は高いときで1回2万円以上に!
江戸時代の町人の日給が300文(約7500円)だといわれています。もし、1ヶ月で20日間働いたとして月給は約15万円、年収にすると約180万円です。
しかし、飛脚の年収は町人より高いのか安いのか、はっきりとした金額は出ていません。
・飛脚の料金設定
飛脚には大きく分けて3つの料金設定がありました。1文は約25円として計算をしています。
出発日が不定期、目的地まで10日以内に届ける「並便」は、30文(約750円)です。出発日が定期で、並便と同じく10日以内に届ける「幸便」は60文(約1500円)と並便の2倍の料金でした。ただ、届けるまでの日数が短いほど高額料金になります。最短5日ほどで届ける便があり、料金は1200文(約3万円)です。
さらに、チャーター便のようなものが「仕立便(したてびん)」といいます。仕立便の料金は5日で届ける場合で金3両(約30万円)、最短2日で届ける場合で14両(約140万円)です。
ただ、飛脚は自分1人で運ぶのではなく、目的地までの間にある宿場の数だけ運ぶ人数がいます。仕立便の最短2日で届けるコースが利用されて140万円の収入になったとしても、届け先までの宿場数が52(東海道の場合)であれば1人頭の収入は約2万7000円になります。宰領のように1人で目的地まで運ぶ場合は、馬方に支払う金額を除いて全額が自分の収入になります。
飛脚はとにかく体力勝負
飛脚の収入は毎月どのような仕事が多かったのかによって異なります。チャーター便のような高額な仕事が多ければ高収入になりますが、並便が多い場合は収入も多くありません。通常、飛脚は目的地までリレー方式で運ぶため、かかった人数分で割らなければならないからです。
スキルについては、長距離を走るので健康で体力があることが必要です。さらに、疲れにくい走り方をマスターしていれば、より仕事はしやすくなるでしょう。
出典
コトバンク 継飛脚とは
コトバンク 町飛脚とは
コトバンク 大名飛脚とは
コトバンク 馬方とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部