更新日: 2022.11.08 年収

転職したら始業30分前に「掃除の時間」が含まれていました…給与が払われないのは違法ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

転職したら始業30分前に「掃除の時間」が含まれていました…給与が払われないのは違法ですか?
日本の多くの職場では、従業員が始業時間前に出社して仕事に取りかかる準備をしています。これは、従業員の自主的な行動であり、早めに来た分の給与が支払われることはありません。
 
では、始業30分前に「掃除の時間」が設けられており、これには必ず参加しなければならないとされている場合、この30分間について給与が支払われないとしたら、法律上問題はないのでしょうか。
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会社の指揮命令下にあれば給与の支払いが必要である

従業員が会社にいる時間のうち、給与が発生するのは「労働時間」についてです。しかし、何が労働時間に該当するのかについて、労働基準法は定めていません。
 
これについては、最高裁判所の判例があり、「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が会社の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かによって客観的に決定される」とされています。つまり重要なのは「会社の指揮命令下に置かれているか否か」ということです。
 
「会社の指揮命令下に置かれている」というのは、会社から「始業時間30分前には全員必ず出勤するように」といった指示がなされているような場合で、従業員が自分の判断で出勤するかどうかを選べない状況にあることを指します。
 
したがって、例えば制服の着用が義務付けられている職場で「始業前には必ず制服の着用を済ませておくように」という会社の指示がある場合は、制服への着替えの時間も「会社の指揮命令下に置かれている」状態です。
 
会社の指示によって従業員が出勤せざるを得ないのであれば、掃除の時間であれ、着替えの時間であれ、それは労働時間であり、給与の支払いが必要となるのです。これに反して会社が給与を支払わないとすれば、それは違法となります。
 

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給与の支払いが不要な場合

次に、従業員が始業時間よりも早く出勤している場合でも、給与支払いが不要な場合を見ていきましょう。これは、早めの出社が会社の指揮命令によって行われているのではなく、従業員の「自主的な意思」によって行われているような場合です。
 
例えば、従業員が自主的に少し早めに出勤し、仕事を始める準備をするような場合は、「指揮命令下に置かれている」とはいえず、労働時間には該当しません。また、若手社員がスキルアップのための自主的な勉強会を会社のミーティングルームで行うような場合も、会社からの指示がない自主的な行動です。したがって、この場合も給与の支払いは不要となります。
 
前述した制服への着替え時間は労働時間に該当する場合がほとんどですが、例外的に該当しない場合があります。例えば、制服の着用が義務とはされていないような場合です。制服はあってもその着用は任意である場合、従業員の意思で制服を着用しなければ着替えも不要となります。
 
したがって、このような場合には制服への着替え時間は「指揮命令下に置かれている」とはいえず、給与支払いが必要な労働時間とはいえないのです。
 

従業員が自由に使える時間か否かがポイント


始業時間よりも早く出社した分の時間に対して給与が必要となるかどうかは、「会社の指揮命令下に置かれているかどうか」で決まります。しかし、「指揮命令下」という言葉はわかりにくく、事例によっては判断が難しい場合もあるでしょう。
 
そんな時は、その時間が「従業員が自由に使える時間なのかどうか」を考えてみましょう。自由に使える時間であれば給与は不要、自由に使えないのであれば給与が必要ということです。
 

出典

裁判所 裁判例結果詳細(事件番号 平成7(オ)2029)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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