更新日: 2022.11.22 年収

「年収1000万円」は富裕層? 富裕層の定義とその割合を確認

執筆者 : 守屋鮎美

「年収1000万円」は富裕層? 富裕層の定義とその割合を確認
年収において、一つの区切りと見られることの多い「年収1000万円」。一般的には富裕層と見なされることが多いですが、果たして年収1000万円は本当に富裕層なのでしょうか? 富裕層の定義からご紹介します。
守屋鮎美

執筆者:守屋鮎美(もりや あゆみ)

2級ファイナンシャルプランナー

世帯の純金融資産保有額によるマーケット分類

富裕層の定義としては、「一定以上の購買力や経済力を有している世帯・個人」であり、「層」といっている以上、資産やこの経済力・購買力を階層別に分類をした際の上位層であることになります。より広義に捉え細分化し、純金融資産5億円以上の「超富裕層」と純金融資産1億円以上の「富裕層」とに分類されることがあります。
 
ここでいう純金融資産保有額とは、預金額や株式・投資信託などの金融資産の合計から負債額を差し引いた額です。日本では株式会社野村総合研究所が「純金融資産保有額の階層別に見た保有資産規模と世帯数」において、この定義に基づいた日本の金融資産の保有額別のマーケット分析を行っています。
 
これによると、日本では

●超富裕層(5億円以上)
●富裕層(1億円以上5億円未満)
●準富裕層(5000万円以上1億円未満)
●アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
●マス層(3000万円未満)

の5段階に分類されています。
 
図表1 純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数

出典:「純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数」(2020年、株式会社野村総合研究所)より筆者作成
 

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各層の世帯数とその割合

それぞれの世帯数は図表1のようになっており、超富裕層と富裕層を合わせた世帯合計数は、132万7000世帯で全体のわずか2.4%、ここに準富裕層までを合計すると、474万5000世帯で全体の8.7%、準富裕層までを足し合わせても全体の10%以下にとどまります。
 
アッパーマス層以上を合算して、1186万6100世帯で21.9%となり、ようやく全体の上位2割となります。対して、純金融資産3000万円未満のマス層は4215万7000世帯で、全体の約8割をこのマス層が占めます。
 

年収1000万円は富裕層?

それでは、「年収1000万円」は富裕層と呼ぶことができるのでしょうか?
 
今回ご紹介した純金融資産保有額別でみると収入ではなく、あくまで純金融資産の保有額によって富裕層か否かが分類されるので、年収1000万円というくくりで富裕層か否かを分類することはできません。
 
しかし、割合でいうと、年収1000万円以上の層は年収別の割合からは4.9%となっています。年収1000万円はその割合からいっても日本の上位5%未満となり、かなりの上位層に位置することが分かります。4.9%というと、超富裕層と富裕層を合計した2.4%と準富裕層までを含めた8.7%の間の数値となります。
 
このことから、年収が高い=純金融資産保有額も高い、とイコールでは結べないので、年収1000万円が純金融資産保有額で判断される「富裕層」であるとはいえないものの、日本の全人口における収入の世帯割合で見ると、富裕層の割合と同じくらいの上位層に属していることが分かります。
 

年収1000万円の落とし穴

このように、年収1000万円というと、確かに収入別で見たときには5%未満の上位層となりますが、富裕層になるには純金融資産保有額1億円以上を目指さなくてはいけません。純金融資産保有額1億円以上となると、単純計算で年収の10倍が必要になるので、最低でも10年間は年収1000万円を維持しなくては到達できない計算です。
 
実際には額面年収1000万円の手取り額は約730万円となり、さらに日々の生活費等で収入全てを純金融資産に回せるはずがないので、年収が1000万円のままであれば、さらに時間がかかるでしょう。
 
また純金融資産保有額の計算上、負債額は金融資産の合計から差し引きされるので、例えば住宅ローンで8000万円の家を購入した場合、ローンの支払いを終えるまでは、その時点で残っている残債分が金融資産合計からマイナスされることになります。
 
年収1000万円でも、富裕層には容易に到達できないようです。富裕層を目指すのであれば、年収だけにとらわれることなく、投資信託や株式などで、いかに純金融資産保有額を増やすかに注力する必要がありそうです。
 

出典

国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査結果報告
株式会社野村総合研究所 NRI富裕層アンケート調査
 
執筆者:守屋鮎美
2級ファイナンシャルプランナー

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