「出世を望まない若者が増えてる」現代、役職別で給料に差はどのくらいあるの?
配信日: 2023.01.06
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
出世を望まない若者の割合
東晶貿易株式会社が全国の20代の若者に対して実施した調査によると、今後出世したいか(役職者になりたいか)という問いに対してなんと77.6%が「いいえ」と答えたようです。実に、8割近い若者が出世を望んでいないという結果でした。
図表1
出典:転職サイト比較plus 「出世欲」に関するアンケート
出世したくない理由
若者が出世をしたくない理由のトップは「責任のある仕事をしたくない」というものでした。続いて「プライベートを大事にしたい」となっていることから、仕事よりプライベートを優先したいと考えており、仕事がプライベートに影響することを嫌っているようです。
図表2
出典:転職サイト比較plus 「出世欲」に関するアンケート
また、「目立ちたくない」「給料UPに興味がない」という回答もあるようです。ここから、現代の若者の多くはお金や社会的な地位よりも自分の時間をどう自由に使うかなど、プライベートの充実に重きを置いており、仕事やお金に重きを置いていない方が多いということが分かります。
おそらく、インターネットやスマートフォンの普及も相まって最近の若者は限られたお金でプライベートをどう楽しく過ごすかという工夫に長けており、お金や社会的地位に対する欲求がそう強くないのだろうということが想定できます。
役職別で給料にどれくらいの差があるの?
ここで役職別の給与にどれくらいの差がついているか見ていきましょう。「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」によれば、雇用期間の定めのない方のうち非役職者の令和3年の賃金は平均で27万7400円となっています。
それに対して係長級は37万7800円、課長級の方で47万6300円、部長級の方で57万7900円となっています。
図表3
出典:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況 役職別にみた賃金
非役職者と部長級の賃金を比較すると2倍以上の差がついています。課長級と比較しても1.7倍以上の差がついています。
一見すると大きな差がついているように思いますが、人生が一変するほどの金額ではありません。せいぜい日々の生活が楽になったり、ちょっとしたぜいたくができたりする程度になるくらいでしょう。出世を強く望まない若者からすると、それだけでは出世したくなるほど魅力的な金額には映っていないのです。
たとえ給与が2倍となったとしても、人生が大きく変わったり成功者と呼ばれるような方と肩が並べられたりするわけではない。にもかかわらず給与が増えた分責任が重くなったり、働く時間が長くなったりするくらいなら現状で満足、あるいは出世してまでお金を得たいとは思わないと考えていることが想定できます。
最近ではインターネットを利用した副業や投資など自分の好きなことをしながら本業以上に稼いでいるという若者も存在しています。また、現在は本業以上の稼ぎはなくとも、そういった形でお金を稼ぐことを目指してる若者も存在しているようです。
そういった若者にとってはたとえ給料が2倍になったとしても出世に魅力は感じないのでしょう。
非役職者と部長職との給与差は2倍程度で若者は出世を望まない傾向に
出世を望んでいない若者が増えているといわれる理由のひとつに非役職者と役職者との給与の差が小さいことがあるようです。役職別の給与において、非役職者と部長職の差は2倍以上となっていますが、プライベートを重視し重い責任を負いたくないと考える現代の若者からは2倍程度の給与では出世が魅力的に感じないようです。
一方で、出世を望む若者にとってある意味ではライバルが少なくチャンスともいえる状況です。出世を望むも望まないも、それぞれの人生です。これからの社会はおのおのが望む働き方に応じてキャリアを形成できるよう、経営者や上司の側から率先して変わっていくことが必要な時代なのかもしれません。
出典
厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査の概況 役職別にみた賃金
転職サイト比較plus 「出世欲」に関するアンケート
アデコ株式会社 仕事観に関する調査
執筆者:柘植輝
行政書士