更新日: 2023.02.10 年収
「現状維持では生活できない…」そんなときには「ベア」を実施してほしい!「賃上げ」との違いや「もう一つの意味」を解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
まずベアの由来をチェック
ベアは「ベースアップ」を略したもので、基本給を意味する「ベース」と水準の「アップ」を組み合わせた言葉です。これは個人単位ではなく、すべての従業金の基本給を対象としています。
アルファベット表記は「base up」ですが、主な報酬が「職務給」である欧米では使われていません。和製英語なので、一般的にはカタカナで記述されることが多いです。「ベア」が広く認知されたのは戦後の高度経済成長期に入ってからで、その起源は1950年頃にまでさかのぼります。
当時は生産活動の活性化で景気が良く、この影響によってインフレが起こっていました。物価の上昇に対して給与が「現状維持」では生活が苦しくなります。そこで「基本給も上げてほしい」という労働者側の要求か増え、ベースアップという概念や言葉が生まれたのです。
賃上げと何が異なるのか?
「ベアと賃上げの違い」を知るには、「定期昇給」について理解する必要があります。こちらは個人単位の制度で、役職や勤続年数といった属性を踏まえて給与を上げるものです。一般的に、時期や金額などは企業の「就業規則」などに記載されています。
一方、ベアに関する事柄は、「労働組合」が企業(使用者)と交渉することで決まります。要求の根拠になるのは、企業の業績向上や世間の物価上昇による相対的な給与低下です。そして、交渉が成功すれば、結果に応じて一律で基本給が上げられます。
上記のベアと定期昇給を合わせた給与アップが「賃上げ」です。賃金の土台部分がベアで高くなり、その上の積み上げ部分が定期昇給で増えていきます。すなわち、給与が上がる点は共通していますが、あくまでもベアは賃上げの一部です。
ベアに関して勘違いしやすい点
景気の良しあしや労働組合の影響力など、ベアは個人の力が及ばない要素に大きく依存します。よって、たとえ自分が業務で最大限に努力を続けても、必ずしも実施されるとは限りません。自分の働きが軽視されているわけではないので、勘違いしないように注意が必要です。
また、ベアという言葉は株式のジャンルでも使われています。アルファベットによる表記は「bear」であり、日本語で表現すると「熊」です。熊が狩りをするときに、爪を振り下ろすことなどが由来となっています。その様子からイメージされる相場の下落に関する言葉なので、給与のベアと混同しないように気を付けましょう。
社会人として正確な知識を身につけておこう!
ベアについて知識があると、春闘に対する関心が大きくなりやすいです。その場合、社会人として景気や企業の業績について考える良い機会になります。また、賃上げとの違いを把握していると、今後の給与の推移を見通しやすくなることもメリットです。他にも勘違いしがちな点があるので、この機会にベアを正しく理解しておきましょう。
出典
日本労働組合総連合会 「ベア」ってなに?
連合総研 成果主義的な人事・賃金制度における賃金表と労働組合の役割
doda Q. 「定期昇給」って何?「ベースアップ(ベア)」との違いは?
SMBC日興証券 ブル・ベア (ブル・ベア)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部