更新日: 2023.02.15 年収
年収800万円の手取り額は700万円とどのくらい違う?シミュレーションをもとに解説
年収が上がっても、思ったほど手取り額が増えないこともあります。年収が700万円から800万円に上がった場合、手取りにはどれくらいの違いが出てくるのでしょうか。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
収入から引かれるもの
一般的に、会社から支給される給与の総額を額面といい、そこから税金などが差し引かれた実際に口座に振り込まれる金額を手取りといいます。会社員などの場合、額面から引かれるものとしては次のようなものがあります。
●健康保険料
●厚生年金保険料
●雇用保険料
●所得税
●住民税
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料はまとめて社会保険料といわれ、控除の対象となります。また、所得税と住民税は年収の額面から控除額を引いた部分に、一定の税率をかけて算出されます。
手取りの計算に当たっては、計算を簡略化するために以下の条件で行います。
●控除に関しては社会保険料と給与所得控除、基礎控除(48万円)のみ
●住民税は一律10%とする
●年収を12等分したものを月給と仮定(賞与については考慮しない)
●健康保険料は介護保険について考慮しない
●令和4年12月時点での制度に基づき計算
年収800万円の手取りはどれくらい?
まずは年収800万円の手取りから確認していきます。毎月の給与を67万円とすると、社会保険料は年間でおおよそ下記のようになります。
健康保険料:40万248円
厚生年金保険料:71万3700円
雇用保険料:4万200円
社会保険料合計 115万4148円
社会保険料控除と給与所得控除(年収800万円ちょうどとして計算)、基礎控除を足した控除額の合計は353万4148円で、課税対象となる所得は446万5852円となります。所得税は税率20%の区分に該当するので46万5670円、住民税は税率10%で計算して44万6585円です。
年収800万円から社会保険料と所得税、住民税を差し引いた手取りの金額は、簡易的な計算で593万3597円となります。
年収700万円の手取りは?
続いて、年収700万円の手取り額についても確認してみます。前述と同じ条件で月々の額面給与は58万3000円程度とした場合、社会保険料は下記のとおりです。
健康保険料:34万7268円
厚生年金保険料:64万7820円
雇用保険料:3万4980円
社会保険料合計 103万68円
社会保険料控除と給与所得控除(年収700万円ちょうどとして計算)、基礎控除を足した控除額の合計は331万68円です。年収700万円の課税所得は368万9932円で、所得税は税率20%の区分に該当して31万486円、住民税率を10%とすると住民税は36万8993円となります。この場合、年収700万円の手取り額は529万453円です。
年収における額面ほど手取りに差が出ないのはなぜ?
年収800万円と700万円の額面の差は100万円ですが、手取りでは64万円程度で100万円も差はありません。
年収800万円 | 年収700万円 | |
---|---|---|
健康保険料 | 40万248円 | 34万7268円 |
厚生年金保険料 | 71万3700円 | 64万7820円 |
雇用保険料 | 4万200円 | 3万4980円 |
所得税 | 46万5670円 | 31万486円 |
住民税 | 44万6585円 | 36万8993円 |
※筆者作成
その理由は税金や社会保険料にあります。日本の税金や社会保険料は、基本的に収入に比例して段階的に金額が高くなるため、年収800万円の場合は収入が100万円多い分、税金や保険料の負担も増えることで手取りの差は64万円程度になっているのです。
手取りを増やしたいときはどうする?
年収に対する手取り額を増やしたいと思ったら、何かしらの節税策を行うことが必要です。
例えば、ふるさと納税を行ったり、iDeCoを活用して所得控除の額を増やしたりするなどです。ほかにも、自身や家族のために年間で一定額以上の医療費を支出している場合、医療費控除の適用を受けることなども有効でしょう。節税策の実施により、年収800万円でも年収700万円の税負担に近づけることも可能です。
年収800万円と700万円の手取りの差は64万円程度
年収800万円と年収700万円では額面の差は100万円ですが、手取りの差はそこまでないというのが現実です。
ただし、今回の結果はあくまでも簡易的な計算によるものであり、実際は個別の事情などで手取りの差は異なります。少しでも手取りを増やしたいと思ったら、収入を増やすだけでなく、節税策などについても考えていく必要があるでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士