更新日: 2023.02.22 年収

【年収の壁】扶養を外れるなら「180万以上」で損しない!?「98万~210万円の壁」について解説

執筆者 : 二角貴博

【年収の壁】扶養を外れるなら「180万以上」で損しない!?「98万~210万円の壁」について解説
年末調整や確定申告の時期になると扶養のことで悩む人もいるかもしれません。扶養から外れないようにパートの仕事を抑えている人もいるでしょう。しかし、収入を抑えるよりも年収の壁を越えて世帯の収入を増やした方が良い場合があります。
 
また、給与が一定額以上になると厚生年金保険料や健康保険料を負担しなければなりませんが、デメリットばかりではありません。現在の保障を厚くし将来の年金受給額を増やすこともできるのです。
 
本記事では、年収の壁を社会保険の壁と税金の壁とに区別して整理し、稼ぐべき年収額について考えていきましょう。
二角貴博

執筆者:二角貴博(ふたかど たかひろ)

2級ファイナンシャルプランナー

社会保険の壁は106万円と130万円

扶養から外れる壁として負担が大きいのは、社会保険の壁です。この壁は106万円と130万円の2段階に存在します。これまでは130万円の壁が指摘されていましたが、2022年に制度改正があり106万円の壁が設定されました。このため、社会保険に加入しなければならない人が増えたので、両方の壁を押さえておきましょう。
 

106万円の壁

配偶者の社会保険の扶養から外れる年収には、2種類あります。従来は130万円の壁だけを考えていれば良かったのですが、2022年10月からは加入要件が緩和されました。年収106万円以上であればパートでも、勤務先の社会保険に加入しなければならない人が増えたのです。
 
実際に加入しなければならない要件は図表1のとおりです。
 
図表1
 

 
出典:日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 
これまで社会保険に加入するには、500人を超える事業所で継続して1年以上使用される見込みが必要でした。しかし、2022年10月からは100人を超える事業所で継続して2ヶ月を超えて使用される見込みがあれば加入しなければなりません。
 
この改正は、2024年10月以降はさらに50人以上の事業所に適用されるので、影響が広がる可能性があります。年収106万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養に入っている人も、要件に当てはまれば扶養から外れ自分で社会保険料を支払う必要があります。例えば、年収106万円の場合、厚生年金の保険料と社会保険料として1万2500円を自己負担し、半分の1万2500円を会社が負担することになります。
 

130万円の壁

次の壁は年収130万円です。この壁を超えると正社員かパートの違いや会社の規模に関わらず、配偶者が加入する社会保険の扶養から外れます。扶養から外れると、自分が勤めている会社の社会保険に加入するか、国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。社会保険に加入するかどうか、いずれにしてもこれまでよりも負担が増え、手取り額が減ることになります。
 

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税金の壁

一方、税金の壁はさらに多くあります。本人に所得税や住民税がかかる段階と、扶養している人の配偶者控除や配偶者特別控除に影響がある場合です。年収の壁と原因を整理すると次のとおりとなります。
 

●98万円(住民税が発生する)
●103万円(所得税が発生する)
●150万円(配偶者控除が減り始める)
●210万円(配偶者特別控除がゼロになる)

 
ここからは、2つに分けて説明します。
 

住民税や所得税がかかりはじめるのは、98万円と103万円から

住民税の基礎控除は43万円、給与所得控除は55万円なので、あわせて98万円から住民税がかかりはじめます。これ以下でも均等割がかかる場合がありますが、基準はそれぞれの自治体の条例により異なるので、お住まいの自治体に確認しましょう。
 

配偶者控除や配偶者特別控除の影響を受けるのは、150万円~201万円

配偶者の所得により、本人の所得控除として、配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができます。それぞれの税率は図表2のとおりです。
 
図表2
 

 
出典:国税庁 No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき
 
配偶者の給与収入が103万円以下であれば、配偶者控除38万円が受けられます。また、103万円を超えて150万円までは「配偶者特別控除」と名称は変わりますが、控除額は同じ38万円です。年収が150万円を超えて201万円までの間も、段階的に配偶者特別控除を受けられます。201万円を超えると配偶者控除を受けることはできません。これが201万円の壁です。
 

稼ぐなら年収180万円以上を目指そう

ここまで見てきたとおり、配偶者の負担が急に大きくなるのは、社会保険料の負担が発生する106万円と130万円です。しかし、社会保険料の支払いにより手取りは減りますが、傷病手当金や出産手当金などの保険給付や将来の厚生年金受給額が増えることを考えると、長期的には損といえません。
 
また、配偶者特別控除が減り始める年収150万円の場合、自身の給与から天引きされる厚生年金保険料と社会健康保険料は、20万円を超えます。扶養から外れて150万円の手取りを維持するためには、年収180万円以上を目指すとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト

国税庁 No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき

 
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー

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