更新日: 2023.04.11 年収

【年収が12万円アップ!?】2023年4月から残業の「割増賃金率」が倍増! 年収への影響は?

執筆者 : 佐々木咲

【年収が12万円アップ!?】2023年4月から残業の「割増賃金率」が倍増! 年収への影響は?
残業代を計算する際に用いる割増賃金率ですが、2023年4月1日より中小企業の月60時間を超えた残業部分の割増賃金率が、それまでの25%から50%へ引き上げられました。本記事では、割増賃金率改正の概要と、従業員への影響について解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

中小企業の残業に対する割増賃金率が1.5倍に

残業代を計算する際の1時間当たりの賃金には「割増賃金率」が乗じられ、所定労働時間内の労働よりも高い賃金が支払われる仕組みになっています。60時間を超える残業に対する割増賃金率は、2023年3月31日までは大企業で50%、中小企業で25%と違いがありましたが、2023年4月1日より中小企業も50%に引き上げられました(図表1)。
 
大企業については2010年4月1日より割増賃金率50%となっていましたが、今回の引き上げにより、中小企業の割増賃金率も大企業と同水準に改正された形です。
 
図表1


厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
 

割増賃金率は雇用形態を問わずに適用される

労働基準法は原則、勤めている会社の種類や雇用形態を問わず、日本国内で働くすべての人に適用されます。労働基準法に規定されている残業代の割増賃金の支払いに関しても同様で、正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなど従業員全員に支払われなければなりません。
 
今回の改正についても当然ながら、中小企業で働く全従業員に適用されます。正社員の場合には年収が増えて困るという人は少ないかと思いますが、パートなど扶養を考慮しながら働いている人は、思いがけず年収が増えてしまう可能性があるため注意しましょう。
 

1時間当たりの賃金は1.2倍に

例えば、1時間当たりの賃金が2000円である場合、中小企業の割増賃金は2000円×1.25=2500円でしたが、2023年4月1日からは月60時間超の残業に対しては、2000円×1.5=3000円となります。残業1時間当たりの賃金は1.2倍になるということです。
 
割増賃金率は25%から50%へ倍増しますが、残業代が倍になるわけではない点に注意しましょう。
 

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年収にどのくらい影響するのか

今回の改正によって、年収がどれだけ増えるのかを以下の条件のもとで計算してみましょう。
 

・1時間当たりの賃金2000円
・毎月の残業時間80時間

 

【改正前】
80時間×(2000円×1.25)×12ヶ月=240万円
 
【改正後】
{60時間×(2000円×1.25)+20時間×(2000円×1.5)}×12ヶ月=252万円

 
同じ残業時間であっても、改正後は12万円(252万円-240万円)年収が増える結果となりました。
 

社会保険の算定基礎届に要注意

社会保険料の算出に使われる「標準報酬月額」は、原則として、その年の4・5・6月の給与額によって決定され、9月から翌年8月まで適用されます。
 
中小企業勤務で、60時間超の時間外労働が日常的にある人は、4・5・6月に昨年同様の残業を行うと昨年の同時期よりも高い残業代が付いて標準報酬月額が増え、それにより社会保険料が増額するかもしれない点に注意しておきましょう。
 
2023年9月に社会保険料が増額されていた場合には、割増賃金率の改正が多少なりとも影響している可能性があります。
 

まとめ

中小企業の月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が、2023年4月1日より25%から50%に引き上げられました。時間外労働が多い人は、昨年通り働いていても年収が10万円程度アップするかもしれません。
 
このような改正前後は会社側に混乱が生じる場合があるため、中小企業に勤務している人は4月分の給与明細については誤りがないかいつも以上に注意して見てみるとよいでしょう。
 

出典

東京労働局 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士
 

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