更新日: 2023.05.17 年収

保育士だけど手取りはたったの「15万円」! 給料が安いのは「当たり前」? 低待遇の理由と年収を上げる方法について解説

保育士だけど手取りはたったの「15万円」! 給料が安いのは「当たり前」? 低待遇の理由と年収を上げる方法について解説
幼い子どもを預かる保育士の仕事は、やりがいがある一方で責任が重いです。ただし、勤務時間が長く給料が低いなど、保育士の待遇をめぐってSNSなどで話題になることもあります。「手取り15万円しかなくて生活できない」といった声も少なくありません。
 
本記事では、保育士の待遇が低い理由や年収を上げる方法を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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保育士の給料はどのくらい?

厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模が10人以上の施設で働く保育士の「きまって支給する現金給与額」は26万6800円となっています。「年間賞与その他特別給与額」は71万2100円で、年収は391万3700円です。
 
手取り収入が額面の75%くらいだとすると、20万円前後になります。国税庁が公表している「令和3年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与は443万円となっており、一般的に保育士の給料は高くないといえます。
 
これらのデータはあくまで平均なので、実際には前後があり、場合によっては手取り15万円などの場合があってもおかしくないと考えられます。
 

保育士の低待遇の理由は配置基準?

幼い子どもの命を預かるという、責任の重い仕事といっても過言ではありませんが、それにもかかわらず保育士の給料が安い、待遇が低いと言われるのはなぜなのでしょうか。
 
保育園の運営は、保護者が支払う保育料のほかに国や都道府県、市区町村が負担する公費によって行われています。これらの公費は保育士の配置基準によって決められることが多いですが、実態と合っていないと指摘されることも少なくありません。
 
配置基準とは「子どもの数に対して保育士は何名必要か」を定めたもので、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」の第33条に規定されています。
 
0歳児は子ども3人につき保育士1人以上、1・2歳児では子ども6人につき保育士1人以上です。3歳児は子ども20人につき保育士1人以上、4歳児以上は子ども30人につき保育士1人以上となって、管理人数が大幅に増えます。子ども1人をみるだけでも大変なのに、例えば「3歳児の子ども20人を1人の保育士が対応する」状況に驚く保護者も多いかもしれません。
 
同じ月齢でも立って走り回る子もいれば、つかまり立ちするのがやっとの子もいます。寝かしつけのときも、すぐに寝る子もいれば、抱っこしないと寝てくれない子もいます。発達状況や性格など個人差も大きく、実際には、国が定めた配置基準を超える保育士やスタッフを抱えなければ回らないことも、じゅうぶん考えられます。
 
ただし、公費は配置基準分しか支給されません。水道光熱費、おむつなどの生活必需品、給食などの必要経費も当然発生するため、厳しい運営状況の中で人件費の抑制を行わざるをえない場合も多いでしょう。
 
このような背景もあり、そもそも保育士の給料が上がりにくい仕組みになっているといえます。
 

保育士の年収を上げるには?

保育士の給料を上げるには、保護者からの保育料を上げるか、公費の支給を増やすしかありません。
 
ただし、物価の上昇等によって実質賃金が下がることが多い状況で、保育料を大幅に上げるのは考えにくく、公費負担の増加が検討されても実現までに時間がかかるかもしれません。そのため個人の昇進や転職等による環境の変化によって年収を上げるのが現実的といえ、具体的には下記のような方法が考えられます。

・非正規雇用から正社員を目指す
・主任保育士や施設長などへの昇進を目指す
・給料が高い保育園へ転職する

内閣府の「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」によると、私立の非常勤職員1人あたりの給与月額は、一般保育士が約19万円、主任保育士は約34万円です。常勤職員になると、さらに上がります。
 
現在の職場で給料を上げるのが非常に厳しい場合は、他の保育園へ転職することも検討してみましょう。
 

まとめ

今回は、保育士の待遇が低い理由や年収を上げる方法について解説しました。
 
共働き世帯が多く、保育士は社会的に欠かせない仕事の1つです。「命を預かる仕事で責任も重いのに給料が安い」と指摘されて社会問題になることも多く、早急な待遇改善が求められます。
 
給料面が話題になることが多いですが、実際には勤務時間、残業の有無、人間関係などの問題も無視できません。そのあたりの内容も含めて、総合的に見直しを進めてもらいたいですね。
 

出典

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
e-Gov法令検索 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
厚生労働省 保育を取り巻く状況について
内閣府 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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