「世帯年収800万円」なのに生活が苦しい! 子ども2人の「4人家族」の支出を検証

配信日: 2023.05.24

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「世帯年収800万円」なのに生活が苦しい! 子ども2人の「4人家族」の支出を検証
地域差はありますが、「世帯年収800万円」というと一般的には少ない年収ではありません。しかし、「なぜか生活が苦しい」ということはありませんか? それはなぜでしょうか。
 
本記事では、世帯年収800万円の家庭が、いわゆる「一般的な生活水準」で35年過ごした場合、毎月の生活費にいくら使えるのか、計算してみます。意外と厳しい結果となりました。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

児童のいる世帯の平均年収は約813万円

厚生労働省の調査によると、2020年の1世帯あたりの平均年収は全世帯で564万3000円、児童のいる世帯で813万5000円となっています。
 
世帯年収800万円とは児童がいる家庭であれば平均値という結果になっていますが、図表1の所得の分布状況を見ると全体の11%程度となっており、中央値は440万円です。世帯人数や世帯主の年齢などさまざまですが、全世帯の平均である564万3000円以下の割合は61.5%にものぼり、年収800万円という年収は決して多いわけではありません。
 
図表1
 

 
厚生労働省 2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況
 

世帯年収800万円で使える生活費とは

以下の条件において、35年間のうちに自由に使えるお金がいくらあるのか、計算してみましょう。
 

●世帯年収800万円(夫700万円、妻100万円)
●5000万円のマイホームを35年の住宅ローンで購入
●子ども2人は大学まで進学
●車は2台所有
●年1回は必ず旅行

 
まずは、世帯年収800万円の手取り収入を額面の80%として計算します。妻は年収103万円以下であるため、扶養内として全額が手取りです。
 
(700万円×80%+100万円)×35年=2億3100万円
 
次に住宅ローン5000万円の返済総額を、住宅保証機構株式会社が提供している住宅ローンシミュレーションを使って計算してみます。金利は2023年5月時点におけるフラット35の最低金利1.83%とします。その結果、6774万6906円となります。
 
子ども2人は幼稚園から大学まですべて国公立に進学したとして、大学まで出すためにかかる学費総額を計算します。金額は文部科学省と日本政策金融公庫の調査を元にしています。
 
幼稚園・小学校・中学校・高校約574万円+(大学入学費用約67万円+大学在学費用約104万円×4年)=約1057万円
 
車は常に2台所有し、1台300万円を10年で乗り換えるとします。
 
300万円×2台×3回=1800万円
 
年1回の旅行にかかる費用は10万円として、35年分を計算します。
 
10万円×35年=350万円
 
以上で35年間にかかる大きな支出をざっくりと上げた形になります。これらを収入から差し引いて生活に使える金額を算出します。
 
2億3100万円-(約6775万円+約1057万円+1800万円+350万円)÷35年=約375万円
約375万円÷12ヶ月=約31万円

 

月31万円では生活費だけでギリギリ

総務省統計局の家計調査によると、2022年における家計の消費支出は、2人以上の世帯で29万865円となっています。月31万円では生活するだけでギリギリということになります。そのため、計算に含めていない、家の固定資産税や修繕費などのねん出は難しいでしょう。
 

まとめ

世帯年収800万円の家庭が、マイホーム購入、子ども2人を大学まで行かせる、10年おきに新車を購入、年1回は旅行といった生活をした場合には生活が苦しくなってしまうという計算結果となりました。給与アップや子育てにかかる費用の軽減なども期待しつつ、家計を見直し、必要であれば費用の削減にも取り組んでみましょう。
 

出典

厚生労働省 2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況

文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します

日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~

総務省統計局 家計調査報告 -月・四半期・年-

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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