更新日: 2023.05.24 年収
「2024年問題」で深刻な人手不足? ドライバーの年収はアップする?
そこで今回は、運輸業界の2024年問題に関する見通しを説明し、消費者の立場で取り組める事柄についても紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも「2024年問題」とは
大企業では2019年4月、中小企業では2020年4⽉に、時間外労働時間の上限規制はすでに導入されています。しかし、一部例外が設けられており、自動車運転の業務についても、この時点では実施を見送られることになりました。働き方改革における時間外労働の想定が、運輸業界の実態と大きく異なっていたからです。
両者を近づける期間が必要と判断され、2024年3月31日までの猶予が与えられました。同年4月1日からは、トラックやタクシーの運転手は残業を抑える方向で調整が不可欠です。年960時間という上限規制のもとで働かなければなりません。
これは努力目標ではなく、違反した場合のペナルティが決められています。30万円以下の罰金、もしくは6ヶ月以下の懲役が課せられるのです。よって、ドライバー任せにするのではなく、運輸業界の事業主には企業レベルの対策が求められます。
人材確保のために給料がアップするのか?
時間外労働時間の上限規制により、ドライバーが行える業務量の上限も下がります。一方、依頼される量が変わらなければ、何とかそれらを時間内にこなさなければなりません。
規制前より仕事のスケジュールが過密になるので、ドライバーにかかる負担は大きくなってしまいます。そのおかげで離職者が増えて、人手不足が深刻化することも懸念されているのです。これらの対策として、ドライバーの給料を引き上げ、人材をたくさん募集することがあげられます。
しかし、時間外労働時間の上限規制が収益の低下につながり、そのような余裕をもてない企業もあるでしょう。よって、安易に給料のアップを期待できる状況ではありません。また、ドライバーの中には、給料に占める変動給の割合が高い人も多いです。
時間外手当の減少で月々の変動給がダウンすると年収が大幅に下がることも、じゅうぶんにありえます。そうなると離職者はさらに増えるため、事業主は給与体系の見直しといった予防策を早期に講じることも必要です。
消費者は思いやりをもって協力を!
運輸業界で働いていない人も、人ごとだと楽観視するのはよくありません。タクシーの運賃が上がったり、宅配便の到着が遅くなったりするなど、いろいろと好ましくない事態が起こる可能性もあります。そのような事態を避けるため、消費者として協力できることを考えてみましょう。
例えば、通販で買った商品を時間指定で受け取り、再配達が生じないように配慮することも有効です。すぐに商品が必要でない場合は、お急ぎ便を利用しないことも効果を見込めます。まとめて注文して配達を1回で済ませるなど、アイデア次第でさまざまな貢献が可能です。
社会問題として向き合っていこう
2024年には、運輸業界に時間外労働時間の上限規制が導入されます。深刻な人手不足が懸念されており、その影響でドライバーの給料は上がるかもしれません。
しかし、時間外手当が減る分だけ給料が下がってしまう可能性も高いです。消費者の生活に悪影響が生じるリスクもあるため、どうすればドライバーの負担が小さくなるのか、社会全体で考えていくことが理想といえます。
出典
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
公益社団法人 全日本トラック協会 2021年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(概要版抜粋)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー